
コンビニ弁当は、自炊が面倒なときや忙しいときなどに便利。しかし、「毎日食べると身体によくないのでは?」と感じる人もいるかも。
プラス一品で栄養素を補う
「自炊のほうがコンビニ食より身体によいというわけではありません。どちらも偏った食事をしていたら健康を害します。大切なのは、栄養のバランスなのです。
がんばって自炊をしていても、自分や家族が好きなものばかりが食卓に並んでいては栄養が偏ります。お弁当や惣菜も同じ。不足している栄養に気づき、その食材、食品を加えることが何より大事です」
そう説明するのは、慈恵会医科大学病院栄養部の赤石先生。コンビニ弁当は塩分が多く、野菜が足りない内容になっている。同病院栄養部長の濱先生が説明を続ける。
「お弁当一品では1日に必要な栄養を摂取することはできません。これが続いたら、糖質や脂質が過剰になり、生活習慣病のリスクが高まります。お弁当に、ビタミンやミネラル、食物繊維を補える副菜をプラスしてください。難しい場合は、朝食や夕食で栄養バランスを整えます」
初めは、栄養バランスのよい組み合わせの食品を選ぶのは少しハードルが高いかもしれない。しかし、難しく考える必要はないという。
「野菜が足りないと思ったら野菜ジュースを追加するだけでもよいのです」(赤石先生)
おすすめコンビニ食品を医師2人に選んでもらった。バランスのとれた食生活の参考にしてほしい。
「栄養学」的おすすめ3品
焼き鳥丼
タンパク質量満点

鶏肉のもも、むね、そぼろの3種にいり卵を加えた高タンパクなのに低カロリーなヘルシーメニュー。タンパク質は女性のほぼ1日分の摂取量、エネルギーは1食分をカバーできる優秀な丼もの。野菜がねぎだけなので、サラダなど副菜をプラスしたい。
食材内容
白飯 鶏もも肉 鶏むね肉 卵ねぎなど
栄養成分
カロリー643kcal タンパク質42.3g 脂質14.8g 炭水化物87.0g(糖質83.5g 食物繊維3.5g)食塩相当量3.6g
温玉ビビンバ丼
栄養バランス良

野菜がしっかりとれるビビンバは栄養バランスのよい優秀な丼もの。ワンプレートなのに各種の栄養がとれる。牛肉や卵が入り、タンパク質も十分。ご飯に配合されたもち麦はミネラル、食物繊維が豊富で、食後血糖値の急上昇を防ぐセカンドミール効果が期待できる。
食材内容
うるち米・もち麦 牛肉 卵 小松菜 豆もやし にんじん 玉ねぎなど
栄養成分
カロリー619kcal タンパク質20.8g 脂質20.4g 炭水化物92.3g(糖質83.9g 食物繊維8.4g)食塩相当量3.2g
ブロッコリー&ツナサンド
朝食にうってつけ

DHAとEPA、ビタミンCで生活習慣病、老化を予防。優良食材が合わさった◎のサンドイッチ!
ツナマヨとゆで卵、ブロッコリーの優良食材の組み合わせ。ツナには血液をきれいにして動脈硬化を予防するDHAやEPAが豊富。ブロッコリーのビタミンCと合わせれば生活習慣病の予防効果がアップ。タンパク質がもう少し欲しいので、チキンサラダと合わせると◎。
食材内容
パン ブロッコリー 卵かつお・まぐろ油水煮 玉ねぎなど
栄養成分
カロリー354kcal タンパク質13.2g 脂質23.1g 炭水化物24.5g(糖質21.9g 食物繊維2.6g) 食塩相当量1.4g
要注意メニュー
幕の内弁当
いろんな食材が入っているので栄養的にもOKと思ったら大間違い。多くの幕の内弁当はビタミンや食物繊維が足りないので、サラダや煮物などの副菜を足す必要がある。
カレー
チキンカレーや野菜カレーなどカレーにもいろいろあるが、総じて栄養的には何かが足りない。具材が少ないカレーは「ご飯」のみとほぼ一緒。「おかず」が必要。
プラス一品に最適な副菜
お豆腐とひじきの煮物
ビタミン・ミネラルの宝庫

豆腐や枝豆、れんこんなどの根菜類が入った具だくさんなひじきの煮物。食物繊維や鉄分、カルシウム、カリウムなどが補え、さまざまな健康効果が期待できる。サラダ代わりにもなる副菜。便秘や貧血に悩む女性におすすめ。
食材内容
ひじき 豆腐 枝豆 にんじん れんこん酢漬け ごぼう 油揚げ
栄養成分
カロリー110kcal タンパク質8.0g 脂質5.2g 炭水化物10.1g(糖質5.4g 食物繊維4.7g) 食塩相当量1.3g
わかめのチョレギサラダ
副菜として最良

わかめや野菜に含まれるβ-カロテン、ビタミンKの脂溶性ビタミンは、ソースのごま油と一緒にとれば吸収率がアップ。食物繊維もとれて、副菜として最良のサラダ。ハンバーグ、しょうが焼き弁当など食物繊維が足りないものと合わせるとGOOD。
食材内容
わかめ レタス リーフレタス きゅうり 大根 つのまた のり
栄養成分
カロリー91kcal タンパク質2.5g 脂質5.9g 炭水化物8.1g(糖質5.6g 食物繊維2.5g) 食塩相当量1.15g
餃子
6大栄養素すべて補完

糖質、カロリーは高めだが、実は栄養バランスは良。餃子の皮には炭水化物、あんに使われる豚ひき肉にはタンパク質と脂質、キャベツ、白菜、にら、にんにくにはビタミン、ミネラルが含まれており、6大栄養素すべてが入っている。
食材内容
餃子の皮 豚肉 キャベツ 白菜 にら にんにくなど
栄養成分
カロリー433kcal タンパク質15.5g 脂質22.9g 炭水化物42.6g(糖質39.8g 食物繊維2.8g) 食塩相当量2.4g
要注意メニュー
ポテトサラダ
主材料は野菜類ではなく、いも類なので、正確にいうとサラダではない。食物繊維はとれるが、もう少しお腹を満たしたいときのプラス一品として考えて。
※カレー、わかめのチョレギサラダ以外の写真と栄養成分は、セブン-イレブンのもの

教えてくれたのは……濱裕宣先生・赤石定典先生●東京慈恵会医科大学附属病院栄養部所属。食生活を通して、生活習慣病予防や栄養のとり方などの指導を行い、学内外の多方面で活動。2人の最新著書『みんなのコンビニ栄養学』が好評発売中。