中居正広

「あの反論がかえって自分の首を絞めることになりましたね。反論などしなければ、中居氏がとった行為の詳細が明らかになることはなかったと思います」

 と語るのは、写真誌記者。

『週刊文春』(8月14日・21日号)が、被害女性の代理人弁護士が中居サイドに送った“通知書”の中身を報じた。

中居正広「性暴力」巡る見解の相違

 フジテレビの経営問題にまで発展した中居正広の女性トラブルだが、第三者委員会が認定した“性加害”について、今年5月、中居の代理人弁護士は《当職らが中居氏から詳細な事情聴取を行い、関連資料を精査した結果、本件には『性暴力』という日本語から一般的に想定される、暴力的または強制的な性的行為の実態は確認されませんでした》と反論。

 第三者委がWHOの定義を基にして『性暴力』と認定したのだが、日本でも2023年に法改正が行われ、「暴行」だけでなく「脅迫」や「アルコール」「薬物」「フリーズ」「虐待」、そして「立場による影響力」などが原因となって、同意しない性行為を行った場合は「不同意性交等罪」が成立するとされている。“性加害”という言葉が必ずしも暴力的、強制的な性的行為だけではない、ということは一般にも認識されているだろう。

 何をか言わんやだが、さらに中居サイドの主張を後押しする“応援団”が現れたことで、被害女性が再び攻撃される事態になってしまったのだ。

 社会学者の古市憲寿氏と弁護士の橋下徹氏は、第三者委の認定に異議を唱えている。古市氏は出演した情報番組で第三者委がWHOの定義を基にしていることは問題だと指摘し、独自に知っている話もあると語っていた。

 また、橋下氏は出演番組で、中居が女性の意に反した性行為を行ったことは認めながらも、「その当日の状況を見てもらえれば、こういうふうに性暴力だとか、少なくともこれだけ社会的制裁を受けるような話ではないと感じる人も僕はすごい増えると思いますよ」と発言。さらに、橋本氏が把握している中居氏の言い分が全て表に出てきたら、「これが性暴力なのか」と感じる人が多くなるだろうとし、「この状況を見て、多くの法律家が、今言われていることと全然違うよねって感じている人が凄い多い」とまで言い切ったのだった。

 また、橋下氏は『週刊文春』の取材に、《相手女性から意に反したとの主張があっただけで第三者委員会が中居氏のトラブルを直ちに性暴力と評価することは大変危険》と答えていた。

橋下徹氏コメント番組の動画が削除

 言いたいことはよくわかる。そのとき行為に同意していても、後に“悔しい”となって、女性が『不同意性交』だったと訴えることもあり得る……ということなのだろう。

 橋下氏が主張した“失恋事案”とはそういうことを指しているのだろうが、しかし、この言葉が、被害女性への攻撃を煽ることになった。ネット上では、今も《フラれたから悔しくて、中居さんを貶めたんだろう》という中居ファンからの書き込みが続いている。その後、中居と女性のメールのやりとりが公開され、“失恋事案”ではないようだと感じた人は多かったのだが、それでも女性への攻撃は続いていた。

 そして今回『週刊文春』によって、メールのやり取りなどを含めた“その日”の状況が明らかになったのだが、記事を読む限り、これは“失恋事案”どころかむしろ“性暴力”としか捉えようがないのだ。

「WBC2023」を“グラウンドレベル”で取材する中居正広

 “中居応援団”はこれをどう見るのか。彼らが中居サイドから聞いていた事実とは何なのだろうか。本当に多くの法律家が“全然違う”と感じていたのだろうか。はなはだ疑問である。女性への攻撃を煽る結果となった発言について、彼らは説明する責任があるのではないか。

 ところが、橋下氏が上記の発言をした際の番組が、テレビ局の公式YouTubeチャンネルから削除されていたのだ。

「橋下氏が発言していた場面は、関西テレビの公式YouTubeチャンネル『カンテレNEWS』でも公開され、同局の公式サイトにも動画が転載されていました。ところが、文春の報道があった翌日の8月7日までに、動画が閲覧できない状態になっていたんです。橋下氏がフジテレビの一連の問題を解説したほかの動画はまだ残っているのに、なぜこの動画だけが削除されたのか不思議ですね」(ワイドショースタッフ)

裁判を起こしても「速攻で負ける」

 そして、中居の代理人弁護士は“通知書”について、出所や真偽が不明だとし、《不同意性交等罪に該当しうる 性暴力であり、不法行為》とする通知書の記載は、《当職らの認識とは大きく異なるもの》としたうえで、《当時を再現したかのような描写も、同様に異なるもの》だと反論。

 これには、《往生際が悪すぎる》《素直に認めて謝罪した方が自分のためだ》という声が多いのだが、一方でまだ中居を信じているファンが多いのも事実だ。中には、中居に司法による決着を促す声もあるが、橋下氏が中居サイドから聞いた話では、本人は「女性を傷つけたくないから」裁判までは考えていないということだった。

2020年、独立会見でおちゃらける中居正広

 しかし、法曹関係者によると、

「裁判を起こしても、速攻で負けるでしょう。性暴力をしていないのに“した”と言われたら、名誉棄損ですが、女性の意に沿わない性行為をしたことは認めているわけですから、“してるでしょ”と言われたら、それまでです」

 裁判で勝てる見込みはないという。

 それでも中居が反論し続けるのは、

「将来を見据えて自分のイメージを少しでも回復しておきたいという気持ちがあったからではないでしょうか。しかし、反論すればするほど、底なし沼に足を取られたように沈んでいく感じがします」(前出・ワイドショースタッフ)

 イメージの回復など、到底無理だという。

 警察に訴え出なかった女性に感謝し、せめて静かに去ることが賢明なのではないだろうか――。