
“教育は愛なり”──(学校公式サイトより)。
凄惨ないじめ、犯罪的な暴行、そしてそれらの隠蔽は、そんな建学の精神を持つ学校で起こっていた。
甲子園途中辞退、広陵高校のいじめ告発

「現在開催中の夏の甲子園で、広島県からは広陵高校が出場。7日に1回戦を戦い、北北海道の旭川志峯高校に勝利し2回戦に進みましたが、異例となる大会途中での“出場辞退”。広陵野球部内での“いじめ”が、大会前から告発されていました」(スポーツ紙記者)
本件の発端は、1年生部員が寮の規則で禁止されていたカップラーメンを食べ、それにより上級生から暴行を受けていたことを被害者の親がSNSで告発したこと。
「いじめは、身体的な暴行だけでなく、金銭の要求などまであったと報じられています」(前出・スポーツ紙記者、以下同)
告発はSNSで拡散され、広陵高校に対して批判の炎が燃え広がった。1回戦から3日後の8月10日、広陵高校校長より出場を辞退する表明がなされた。
「部内のいじめは今年の1月に起こっており、それにより3月に高野連から厳重注意を受けていたことを校長が明らかにしました。校長は“事態を重く受け止め”出場を辞退し、指導体制の見直しをはかると説明。出場辞退を説明する会見で校長は、SNS上で部員に対しての誹謗中傷が起こっており、“人命を守ることが最優先”とも説明。問題を“SNSのせい”にするかのような説明はさらなる批判を生んでいます」
広陵高校野球部のいじめ問題は、本件の被害者に対してだけのことではない。
「今回明らかになったいじめ問題を受けて、別の広陵高校野球部OBも告発。10年前に先輩部員より暴行を受け、右半身麻痺の診断を受けたと週刊誌の取材に答えています」
広陵高校野球部内でのいじめは40年前にも起こっており、それを告発している者がいる。広島・阪神で活躍した元プロ野球選手の金本知憲だ。
「広陵OBの金本さんは'09年に出版した自著にて、肉がえぐれるほどスパイクで踏みつけられたことなどを記しています。それに抵抗したい気持ちはあったけれど、抵抗したらさらにやり返されてしまうので耐え忍んでいたとも……」
金本は先輩からの暴行だけでなく、当時の監督から“嘘”をつかれ、志望する大学に進学することができなかったことも告白している。
「金本さんのときと今の広陵は監督が違いますが、その“所業”は変わらずで……。今回大きな問題となったいじめを受けた被害者は、監督から“高野連に報告したほうがいいんか?”、“2年生の対外試合がなくなってもいいんか?”などと脅しのように詰め寄られたとのことです」
広陵高校野球部の“悪しき伝統”
広陵高校野球部の“悪しき伝統”が次々に白日の下にさらされている。
「野球部ではなく、学校として広陵高校は9月6日に“オープンスクール”を予定していましたが、“諸般の事情により”中止することを発表しました」
広陵高校は公式サイトにて、《本校ホームページにアクセスしにくい状態の中で、お申込みにもご苦労されただろうと拝察いたします。それにもかかわらず、このような決定に至りましたことを、心よりお詫び申し上げます》と謝罪。
「正直、サイトへのアクセスがどうのというより、部内にいじめの伝統が残り、指導者すらそれに加担する。それが数十年も受け継がれている。野球部に入らないとて、そんな学校に行きたいと思う学生は少ないでしょう。校長など学校側の説明も、SNSのせいにしたいような口ぶりで首をかしげるものですし。このままでは野球部の存続以上に、学校自体の存続の危機にあるといってもいいかもしれません」
本件の被害者生徒はいじめを受け、広陵高校より転校している。
青春は二度と戻らない。学校側は今からでも被害者に適切に対応することが、学校の“今後”として唯一できることだろう。それができずに何が“教育”、何が“愛”か──。