
第45回 三山凌輝
NHK連続テレビ小説『ブギウギ』で主役を務めた女優・趣里さんと、ボーイズグループ『BE:FIRST』のRYOKIこと三山凌輝さんが結婚を発表する――。『週刊文春』がこう報じたのは、今年の5月。しかし、三山さんの元カノである女性YouTuberが、三山さんの浮気癖や、結婚の約束をして交際中に1億円を貢いだのに結婚に至らなかったことから、三山さんは結婚詐欺のようなものと同誌に告白しました。三山さん自身も女性から“援助”を受けていたことを認めています。
2人の結婚を頑なに反対している伊藤蘭
趣里さんと言えば、俳優の水谷豊さんを父に、元キャンディーズで女優の伊藤蘭さんを母に持つ芸能一家出身。お二人は特にコメントを出していませんが、2025年8月21・28日号『女性セブン』によると、お母さんである伊藤蘭さんが頑なに反対していると報じられています。最初から結婚の話そのものがないのであれば趣里さん側が否定するでしょうから、結婚するつもりでいたけれども、何らかの理由で事態が膠着していると考えるのが自然ではないかと思います。
私は『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を上梓した関係で、婚活中の女性から相談を受けることがありますが、その中で「親に結婚を反対されている」という悩みは特に珍しいものではありません。彼がバツイチでお子さんに養育費を送っているとか、彼が奨学金を借りているので、そんな人と結婚したら苦労すると親御さんに反対されたなど、お金絡みの話はよくあることです。
私に言わせると、こういうお金の問題は実はとても解決しやすいと思うのです。なぜなら、数字は嘘をつかないから。養育費や奨学金の返済がある人と結婚したいと思うなら、彼の給与明細を見せてもらって、そこから自分のお給料とすり合わせて、生活費のシミュレーションをしてみたらいいと思います。その結果、やっていけると判断すれば結婚すればいいわけですし、もしもこの生活では無理だと思うなら見送ればよい。彼が明細を見せるのを拒むのであれば、結婚に対して前向きではないという意志の表れでしょう。きちんと数字で説明できれば、親御さんとて無下に反対しないはずです。
このように「お金がない(かもしれない)」という反対理由なら解決は簡単ですが、「お金をもらいすぎる」というのは少々厄介だと思うのです。なぜなら、お金をあげすぎる人、もらいすぎる人の奥底には、“ヤバいもの”が眠っているような気がするからです。
「お金を貢ぐ人」は“無価値観”を抱えている
女性YouTuberは三山さんに対し、結婚詐欺という言葉を使っていましたが、2025年5月31日配信の『週刊文春 電子版』での女性YouTuberの告白記事を読む限り、女性が三山さんにお金を使ったのは事実だけれども、三山さんが結婚をエサに搾取したわけではない、つまり結婚詐欺ではないという印象を私は受けました。

たとえば、女性が三山さんにお小遣いを月に200万円あげるようになったきっかけは、三山さんが仕事のことで悩んでいたとき、気晴らしのために買い物をすれば?と現金とカードを渡したことだそうです。女性はクレジットカードも三山さんに渡していたそうですが、その理由として、後輩に食事をおごるなどして、見栄を張ってほしいからと説明しています。
この他にも「家族として認められたかった」という理由で、三山さんのお母さんの歯のインプラント代も負担したそうです。これらのエピソードだけで判断するのなら、三山さんが「結婚を理由にカネを引っ張った」というより、女性側が積極的に貢いだ印象を受けます。
仕事の悩みは買い物では根本的に解消されないと私は思いますし、後輩にご馳走して見栄を張ってほしいというのは、実は三山さんのためではなくて自分が役に立つ存在であると示したかったからではないでしょうか。また、結婚もしていない段階で、三山さんのお母さんの治療費を女性YouTuberが負担する意味が私にはわからない。一言で言うなら“やりすぎ”だと思います。
好きでない人にお金を使う人はいないでしょうが、「お金を使いすぎる人、物をあげすぎる人」というのは、実は相手を愛しているというよりも、自己評価が低く、“無価値観”を抱え、それ故に強い支配欲を持っていると言えるのではないでしょうか。素の自分で好かれる自信がないから金品を与え、相手が離れていかないようにつなぎとめようとするのです。もし相手に逃げられると「あれだけやってやったのに」と爆発し、ますます自分に自信をなくしてしまいます。そういう人には金品目当ての人が寄ってくるので、お金をあげすぎては裏切られるという悪循環にはまっている気がするのです。
三山は自己評価が高すぎるタイプ
お金を使いすぎる人が自己評価が低いタイプであるのなら、貢がれすぎても平然としている人は自己評価が高い系の“ヤバい人”と言えると思います。
2025年5月25日配信『週刊文春 電子版』の取材に対し、三山さんは「自分で言うのもなんですが、割とすごく、パートナーができると『喜んでほしい』という気持が大きくなるんです(笑)」と自分はサービス精神旺盛なタイプと自己分析していますが、本当に女性を喜ばせるのが好きなのであれば、女性YouTuberともきれいにお別れできたでしょうし、趣里さんにこんな醜聞を聞かせることもなかったでしょう。三山さんは自己評価と現実がかみあっていない、自分に甘いタイプ、自己評価が高すぎるタイプと言えるのではないでしょうか。
趣里さんとの関係や今後の仕事について聞かれた三山さんは「申し訳ないですが、今は話せることがございません」の一点張りで通したものの、インタビューの最後は「誠心誠意お話させていただいたと思っています」と結んでいます。確かに誠実に答えたのでしょうが、聞かされているこちら側は肝心な部分は明かされず、なんのためのインタビューだったんだとモヤモヤするばかり。一事が万事と言いますが、どうも三山さんは自分中心で物を考えるというか、相手の立場に立って考えることが苦手なような気がします。
一連の“一億貢がせ報道”により、三山さんを「おカネ大好き、頂き男子」とみなす人もいるでしょう。しかし、おカネ目当ての人であれば、おカネをあげなれば去っていくという意味のわかりやすさがあります。自己評価高い系の貢がせ男子の厄介な点は、おカネだけでなく仕事や人脈など、すべてにおいて「もっと、もっと」と際限なく欲しがるヤバさがあることではないでしょうか。もっとも、高い自己評価と「あげる」と言われたら躊躇なくもらってしまう“ごっつあん体質”でなければ、スター一家の出身で、朝ドラ主演女優というキャリアが上の趣里さんと親しくなろうと思わない気がします。一方の趣里さんも、親御さんの偉大さにひるまない、年下の三山さんが新鮮だったのかもしれません。
仮に三山さんが家族全員スター一家に“入り婿”して、芸能界での飛躍を狙っているとしても、趣里さんを大事にし、水谷さん夫妻に迷惑をかけないように行動に気を付け、立派な俳優になるよう精進するのであれば、みんなハッピーかつメリットがあるからいいのです。しかし、三山さんのように自己評価が高い人は「もらって当然」なわけですから、感謝するとか恩に報いるという発想には至らないのではないでしょうか。

三山を事務所に入れることを拒んだ水谷豊
2025年8月19日・26日号の『女性自身』によると、水谷さんは結婚自体は認めるものの、水谷さんの個人事務所に三山さんを移籍させる話は流れたそうです。なるほど、名案だなと思いました。水谷さんの事務所に所属すれば水谷ファミリーとしてみなされ、三山さんは労せずして知名度と好感度を倍増させることになりますが、事務所に入れなければ若手俳優のひとりにすぎません。もし三山さんの目的が「結婚して華麗なる芸能一家の一員となり、恩恵を受けること」であるのなら、こういうメリットのない状態には耐えられないでしょう。
同時に、趣里さんの覚悟も問われるところです。今回の件で三山さんはイメージダウンとなり、一時的に仕事が減るかもしれません。それでも、三山さんを夫として経済的に支えることができるのか。
8月25日配信の『FLASH』によると、趣里さんは三山さんとともに区役所を訪れたそうで、おなかがポッコリしていたという目撃証言が掲載されています。掲載されている写真を見る限り、私にはお腹が大きいようには見えませんでしたが、もし妊娠しているなら、仕事のない夫を支えながら子育てもしなければなりません。
また、自分に甘くごっつぁん体質の人の場合、うまい話に目がありませんから、三山さんが将来的に女性やお金のスキャンダルを絶対に起こさないとは言い切れません。そうなった場合、趣里さんもその余波をくらって女優としての活動に影響がある可能性がありますが、それでもいいと思えるかどうか。
結婚に反対するときはどんな相手であっても、頭ごなしに「ダメ」と否定するのではなく、「こういうことが起きるかもしれないけれど、それでも大丈夫?」と具体的な課題を与え、自分で考えさせる方向に持って行くほうが得策のように思います。
親御さんに結婚を反対されて結婚をあきらめるにしても、反対を押し切って結婚するにしても、大事なことは「自分で判断すること、判断を急がないこと」ではないかと思います。「親にひきさかれた」と思うのではなく、「私自身のためだ」と思えたら、前を向いて進んでいけるはず。どうか趣里さんも焦ることなく、ゆっくり考えて選択してほしいと思うばかりです。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ。会社員を経てフリーライターに。『サイゾーウーマン』『週刊SPA!』『GINGER』『steady.』などにタレント論、女子アナ批評を寄稿。また、自身のブログ、ツイッターで婚活に悩む男女の相談に応えている。2015年に『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)を発表し、異例の女性向け婚活本として話題に。好きな言葉は「勝てば官軍、負ければ賊軍」