普段は「ナイスガイ」と評判の巨人・キャベッジ選手(公式インスタグラムより)

《紳士の球団の選手?子供達が見てますよ》
《大事なバットをへし折るなんて野球選手としては失格だな》

《道具は大事にしないとダメよ。バット作ってる人にも失礼よ。 膝もケガするかもしれないし》

 東京ヤクルトスワローズが7対2で読売ジャイアンツを下した8月20日の試合で、神宮球場が騒然となる“プレー”があった。

 ヤクルト3対1のリードで迎えた5回表の巨人の攻撃、ワンアウト一塁の場面で迎えたのは今シーズンから新加入した、2番のトレイ・キャベッジ選手(28、以下敬称略)。

 チャンスを広げて丸佳浩選手(36)、岡本和真選手(29)らクリーンナップに回したいところ、ワンボールツーストライクからの4球目に投じられた低めの変化球に手を出して空振り三振に倒れた。すると……バキッ!

 バッターボックスを後にしたキャベッジがおもむろに、手にしていたバットを右膝でへし折ったのだ。真っ二つに折れたバットを憮然とした表情でベンチに持ち帰るキャベッジ。そんな“悪態”とも捉えられかねない行為にSNS上では案の定、冒頭のような批判的な意見が多く挙がったわけだ。一方で、

《外国人打者ならよくある事で 何でこんなに騒がれてるのか分からん》
《外国人選手の中にはバットへし折る人がまあまあいる気がするけど》

 外国人選手に「よくある事」としてキャベッジを擁護する声もあり、『WBC2023』優勝後にマウンド上からグルーブを投げた、ロサンゼルス・ドジャースの大谷翔平投手(31)の行為にもあらためて疑問視されることに。

令和の時代でも“バットを折る”外国人選手

 “バットを折る外国人”として真っ先に思いつくのが、近鉄バファローズなどで活躍したラルフ・ブライアント氏(64)だが、令和の時代でも2022年に元阪神タイガースのジェフリー・マルテ選手(34)、2025年7月にも広島東洋カープのエレフリス・モンテロ選手(27)が三振後にバットをへし折っている。

 そんなオフシーズン恒例の『プロ野球珍プレー・好プレー大賞』(フジテレビ系)でも重宝されそうな、いわば“助っ人あるある”とも言えるプレーだが、彼らとて好きこのんでバットを折るわけではないだろう。

8月6日の巨人戦で、キャベッジを三振に取り派手なパフォーマンスを披露するヤクルト・アビラ(Xより、一部編集部加工)

 この日、クリーンナップを外れて2番に入ったキャベッジは、21打席連続無安打と絶不調に陥っている。チームも2位ながらも借金1、3位の横浜DeNAベイスターズとは0.5ゲーム差(8月20日時点)と、クライマックスシリーズ進出をかけて熾烈な順位争いを繰り広げている最中だ。

 在京のセ・リーグ球団を取材する野球記者によると、「日本の野球に馴染もうとする謙虚さを持つ、普段は真面目なナイスガイ」とのキャベッジ評だけに、チームに貢献できていない己の不甲斐ないバッティングに苛立ち、思わずバットに八つ当たりしたというところか。

「それと不調だけではない、ヤクルト投手との“因縁”も考えられます」とは先の記者。ヤクルト先発を務め、勝利投手になったのはメジャーリーグでのプレー経験もあるペドロ・アビラ投手(28)。キャベッジとはどんな“因縁”が?

マウンド上で腰を振るパフォーマンス

「8月6日の東京ドームでもアビラが登板したのですが、5回裏にツーアウト三塁のチャンスで対峙したのが4番のキャベッジでした。やはり低めの変化球を決め球に投じたのですが、バットは空を切って空振り三振

 追加点の難を逃れたアビラは、マウンド上で雄叫びを上げながら手を広げて腰を左右に振る、まるでダンスのようなパフォーマンスとガッツポーズ。そんなアビラを睨みつけたままキャベッジはベンチに下がったのです」

 MLBではマウンド上での派手なガッツポーズは“掟破り”とされ、打者へのリスペクトを欠いた、報復も受けかねない行為とされている。互いに昨年までアメリカでプレーしたもの同士、当然、そんな“暗黙のルール”は承知だったはず。

「キャベッジにしてみればアビラへのリベンジとして臨んだはずが、前回と同様に空振り三振に切って取られた。さすがにアビラも今回はガッツポーズを控えましたが、自身の不調以上に、元メジャーリーガーとしてのプライドが許さなかったのでしょう」(前出・記者)

 それでも「巨人軍は紳士たれ」の精神を貫いてほしい。