慶田朋子先生

 強い日差しを浴び続けたせいか、なんだか最近肌の調子がイマイチ……。そんな“夏の終わりの肌不調”を放置すると、シミ、しわ、くすみといった老化を加速させる原因に。「特に50代~60代は肌のリカバリー能力も落ちているので“すぐ”の対策が必要」と、美肌ケアを知り尽くした皮膚科医。今すぐ始めたいケア法を教えてもらいました。

化粧のノリが悪い人は夏のダメージを負っているかも

 肌がゴワついたりザラついた感じがする」「いつにも増してシミやくすみが気になる……」など。この時季になると、夏の疲れとともに肌の不調を訴える人が増えてくる。

「夏の終わりのダメージ肌の最大の原因は、やはり紫外線。紫外線によって現れる肌変化は、大きく2つあります。1つは、紫外線のダメージから肌を守ろうとして、皮膚のいちばん外側にある角層が厚くなること。これにより、肌がゴワついたりカサついた感じになるのです。もう1つは、メラニン色素が蓄積されること。これはシミのもととなるだけでなく、肌の透明感が失われ、くすみが目立つ原因にもなります

 と話すのは、皮膚科医の慶田朋子先生。

最近化粧のノリが悪い、化粧水がなかなか浸透していかないと感じている人は、すでに夏のダメージを負っているかもしれません」(慶田先生、以下同)

 特に50代~60代の女性は紫外線の影響を受けやすく、注意が必要だそう。

閉経期を迎えて女性ホルモンが減少すると、実は肌にも大きな影響が表れます。女性ホルモンには、肌の新陳代謝を促したり、炎症を抑えたりする作用がありますが、そうした“女性ホルモンの魔法”が切れてしまう年齢のため、肌の回復力が落ち、紫外線による影響を若いころよりも受けやすくなるのです」 

 放置しているとシミやしわの状態が悪化し、見た目の衰えが進んでしまう。そうならないためには、すぐに対策を始めてダメージを持ち越さないことが重要だ。

 ダメージ肌をリカバリーするためのスキンケアのポイントは、「厚くなった角層をやわらかくし、ターンオーバーのスイッチを入れること」と慶田先生。

「具体的には、古い角質を取り除くピーリング効果の高い、フルーツ酸などの成分を含む化粧水や美容液で角層を緩めて肌の代謝を上げること。そうすると、後に塗る乳液やクリームなど保湿剤の浸透もよくなり潤いがアップします。

 ただし、更年期以降は肌が敏感になりやすく、ピーリング効果の高い美容液でピリピリするなどの刺激を感じる人も。その場合は、同様に角層をやわらかくする効果のある酵素系の洗顔料を、週2回程度使ってみてください。こちらはフルーツ酸よりも刺激が弱めです

 また、シミやくすみが目立つ場合は、高濃度のビタミンCを配合した美容液がおすすめ。ただ乾燥しやすくなる人もいるので、保湿剤でしっかり保湿することを忘れずに。

メイクの仕上がりより日焼け対策を優先

 さらに、トラネキサム酸やグリチルリチン酸など抗炎症効果のある成分が入った美容液や保湿剤も、紫外線による炎症を抑えるので、シミやくすみ対策に効果的。

ドラッグストアで売っている化粧水や美容液にも含まれている成分なので、抗炎症効果のあるものをこの時季には選んでもいいですね。ただし、こちらも塗ってみて刺激が強すぎると思ったら、すぐに使用を控えてください

紫外線ダメージで角層が分厚くなり肌がゴワつく

 9月はまだまだ紫外線が強いため、旅行や登山、屋外のイベントなどで、日差しを浴びて過ごす日は、ダメージを受けた肌にさらに追い打ちをかける“追い日焼け”を防ぐために厳重な紫外線対策を。

「日焼け止めを2、3度塗り重ねた上から、ファンデーションやパウダーを顔の上にやさしくのせるようにして塗ってください。こするようにして塗ると先に塗った日焼け止めが落ちてしまうので注意。

 さらに、2、3時間ごとに日焼け止めを塗り重ねていくのが理想的です。日焼け止めを塗り重ねると化粧は崩れますが、1日中屋外で過ごす日は、メイクの仕上がりより日焼け対策を優先させましょう

 紫外線を多く浴びてしまった日には、肌のダメージを持ち越さないためのアフターケアも重要だ。

まずは肌を冷やすことが大事です。最初は濡れタオルで顔を覆い、その上に保冷剤をのせると効率よく肌の熱が収まります。ただし、肌を濡らしたままでいると水分が蒸発する過程で乾燥が進むので、5分程度にとどめ、その後はハンカチなどの薄い布で保冷剤を包み、火照った部分に当てて冷やすといいでしょう

 肌が冷えてきたら、使い慣れた化粧品で十分な保湿を。

ここまでのお手入れで肌がヒリヒリしていたら炎症が起きているということです。炎症を抑えるには外からのケアだけでなく内服薬に頼るという手もあるので、市販の炎症鎮痛剤を服用して早めに寝てください

 シートパックなどの特別なケアをしたくなるところだが、かえってマイナスになる場合もあるので要注意。

炎症が起きている肌はバリア機能が弱くなっているため、シートパックの成分が浸透しすぎてダメージが大きくなるおそれがあります。炎症が落ち着くまでは、使い慣れた化粧品で守りのスキンケアに徹してください

 外側からのスキンケアだけでなく、食事による身体の内側からのケアも重要だ。ただ、夏場は食欲が落ち、のど越しのいい麺類や甘い飲料など、糖質過多の食事になりがち。さらに冷たいビールやフルーツサワーといったアルコールの摂取量も増え、糖質過多に拍車がかかる人も。

脳の働きや免疫力を維持するためにも糖質は必要ですが、とりすぎると余分な糖質が体内のタンパク質や脂質と結びつき、肌を老化させる原因になるので注意が必要です

 この時季に積極的にとりたい食材や栄養素として慶田先生がすすめるのは、抗酸化作用のある緑黄色野菜や果物、肌の回復を助けるタンパク質やミネラル、ビタミンC、腸内環境を整えるキノコや海藻、発酵食品など。

バランスよく食べることが大事

これらをできるだけバランスよく食べることが大事です。あまり難しく考えず、スーパーに並ぶ旬の野菜や果物を中心に、いろいろな種類の食材を少しずつとることを意識してみてください。私は食欲が落ちているときは、カレーパウダー、唐辛子、コショウなどのスパイスや、ショウガやミョウガ、大葉などの薬味を多用し、食べやすくする工夫をしています

夏の終わりに効く! 疲れ肌を立て直す3つのケア法

1・角層をやわらかくする美容液を使う
フルーツ酸は美容皮膚科で古い角質を除去するときにも使用される成分。肌の代謝も上がり、後に塗る保湿剤の浸透を高める効果が。

2・炎症を防ぐ保湿剤でたっぷり潤す
乾燥しがちな夏の肌には十分な保湿を。トラネキサム酸、グリチルリチン酸など抗炎症作用のある成分入りの保湿剤なら、紫外線による肝斑やシミ対策にも有効。

3・追い日焼けを徹底的に防ぐ

イラストはイメージです

アフターケアでは、保冷剤をハンカチなどの布で包み、顔の火照った部分にのせて冷やすのがおすすめ。その後の保湿も忘れずに。

取材・文/伊藤淳子

慶田朋子先生 東京女子医科大学卒業後、同大皮膚科助手などを経て、2011年、銀座ケイスキンクリニック開設。最新の美容医療技術を駆使し肌のトラブルの改善に努める。著書多数、テレビなどメディアでも活躍。