
今年、デビュー15周年を迎えた純烈。『NHK紅白歌合戦』には'18年から7年連続で出場し、昨秋には初の武道館公演を行った。そんな華やかさの裏には、必ずといっていいほど苦難が伴った。売れない日々、地方巡業、契約解除、スキャンダル、脱退、卒業……。
9月5日に公開される『純烈ドキュメンタリー 死ぬまで推すのか』では酒井一圭、白川裕二郎、後上翔太に密着、3人の本音が語られる。さらには壮絶な人生を歩みながらも彼らを推すファンにも密着。彼女たちはなぜ、それでも純烈を推すのか?
ファンに「ジェラシーを感じました(笑)」
─純烈初のドキュメンタリー映画の製作を聞いたときには?
酒井「ドキュメンタリー番組(スペースシャワーTV)から発展していて。“こういうのもありやな”とは思ってはいたけど、とにかく濃い(笑)。スタッフたちなんて“何でもやらせてくれるアーティストを探してたんちゃう?”っていうくらい。なかなかお目にかかれないファンのみなさんの生活にまで密着してるから」
後上「そうそう、すごいよね」
白川「ここまでファンの方たちの比率が高い作品になるとは思わなかった。すごくキャラが濃くて、正直、ジェラシーを感じましたよね(笑)。タレント性がもう、素晴らしい」
後上「純烈のドキュメンタリーを撮ると聞いたときに“面白くなるかわからないですよ?”って思ったくらいで。
要はドキュメンタリーでよく見るような裏でメンバー同士がバチバチにやり合うとか、声を荒らげるとか、激しく泣くとかはないので。毎日、場所がどこであろうと、安定したものをお届けするのが純烈。そこに、それぞれの事情や背景をお持ちのファンのみなさんがいてくれるから、僕たちが毎日純烈をやっていることがすごく刺激的で、日々が鮮やかになることがわかりましたね」
メンバーそれぞれの苦難
─デビューして15年。武道館公演にたどり着くまで本当にいろんなことが。振り返って、いちばん大変だったことは?
酒井「'07年結成だけど、デビューは'10年で。デビュー前がいちばん大変だったね。メンバーに声をかけてから2年半、デビューが決まらなかったとき。
すでに顔見知りな人&そうじゃない人、個性や収入、立場、年齢、家庭の事情などの違いがいろいろある中で、“全員が主人公であり、必要悪である”という構図を考えて、育ててっていう時間。やっぱり手探りだし、何の実績もないし。でも、自分の野望としては“紅白に出る”。もう必死だったよね。まだ歌もないわけだから(笑)。
それでも、それを現実化させるための熱量をひたすら伝播させていく。あのときがやっぱりいちばん大変だったし、ものすごい力もつけさせてもらえたと思うね」

白川「デビューする前も当然つらくてきつかったけど、でも楽しかったんですよ。僕はデビューしてからのほうがつらかったかな。少しずつ仕事量が増えていき、健康センターに行かせてもらう中で、両耳が難聴だとわかって。僕が思い描く歌と実際の歌がかけ離れ、ぼやけていく。“なんでこれができないんだ”“本当はもっと歌えるのに”って。個人的な話になっちゃうんですが、初紅白くらいまでが、いちばんきつかったですね」
後上「デビュー3年目くらいまでかな。学生でこの世界に入ってきたんですが、デビューは決まらないし、ほとんど仕事はないし。友達思いの人ほど“やめたほうがいい”“おまえ、大丈夫?”って言ってくれたけど、それが嫌で自分から距離を置いて。当時、SNSがあって、友達の楽しい近況がわかってしまっていたら、それが羨ましくてやめていたかもしれない。情報がない時代でよかった(笑)」
「全部、友井雄亮のせいです(笑)」
─3月末をもって岩永洋昭さんが卒業、4月から純烈初の3人体制になりましたが?
酒井「写真撮影がいちばん慣れないね、“誰がセンター?”みたいな(笑)。まだ世間がしっくりくる純烈のバランスがわかっていないっていうか(笑)。それが3人になりたての面白さ、新鮮さという感じですね。だけど、めちゃくちゃやりやすい。全員、純烈が長いから。言わんでもわかるし」
白川「たぶん、いちばんホッとしてるのはマネージャーじゃないかな? 運ぶ衣装などが1人分軽くなっているから。移動のタクシーも3人なら1台で済む、とかね(笑)」
後上「なんならギャラも1人あたり増えるっていう(笑)」
酒井「あはははは」

後上「3月31日に岩永さんの卒業ライブがあり、4月1日には『うたコン』(NHK)に出演。おかげさまで純烈としての現場が地続きであるので、その前後で大きく変わるわけにはいかない。3月までは4人で、今は3人なんだけど、ずっと純烈というものをやっていることは、変わらないんですよね」
酒井「まあ、だからね、全部、友井雄亮のせいです(笑)」
白川「あはははは」
酒井「あの謝罪会見で切り替えるしかなかったんですよ、もうこっちも。小田井(涼平)さんが卒業するってなったときも、卒業のその日はエモいけど、もう次の日から岩永が入っている。だからその業務に没頭しなくちゃいけない。そういうのがずっと'19年から続いちゃったんだよね(笑)。アイスホッケー選手みたいに、出たり入ったりしながらも、試合はずっと続いているっていうか」
白川「デビュー前は仕事がなかったから、今、仕事があるっていうだけでメンタルをいちばんいいところに保てているっていうのはあるかも」
2028年を越えたら新メンバーが!?
─10年連続紅白出演、'27年に大阪城ホール、'28年に2度目の日本武道館という目標を掲げていますが、今後、メンバーが増える可能性は?
酒井「ない」
白川・後上「あはははは」
酒井「紅白10年連続は、奇跡が起こるとしたら'28年なんだよね。それ以降は自由な純烈になるかもしれない。“新メンバーです!”“誰?”“昨日、居酒屋で隣にいた人。ウソやろってぐらい歌うまいねん”みたいな(笑)」
白川・後上「あはははは」
見どころfrom酒井
「お若いファンの方で“今の推しとどれだけ続くんだろうか?”“いつやめたらいいんだろうか?”“どこまで推せるんだろうか?”など、ちょっと不安になっている方は見てほしい。人生の先輩たちが、苦しかろうがなんだろうが力強く生きながら、推し倒している姿がいっぱい映り込んでるので。もう、生しか映り込んでない。変な話、生きることに対して悩んでいる方にも、ぜひ見てほしいです」
見どころfrom白川
「なぜだかわからないですけど、ものすごく見終わったあとポジティブになれる。そんな作品だと思います。ぜひみなさんに見ていただければと思います!」
見どころfrom後上
「この映画からでしか得ることができない謎のガソリンみたいなものを、見終わった後には手にしていただけるかなと思うので。それがお口に合うかどうかわからないんですけれども(笑)、まずは1回、手にしていただきたいです」

『純烈ドキュメンタリー 死ぬまで推すのか』
9月5日(金)よりTOHOシネマズ日比谷ほか 期間限定公開
(c)2025 死ぬまで推すのか 製作委員会
取材・文/池谷百合子