
《え? この件何も知らないんだけど、こういうのってあり?》
海外拠点の世界的ミュージシャンらしく英文も併記。アニメの演出に苦言を呈したYOSHIKIの投稿だ。
『妖怪ウォッチ』でも“差し替え”対応
「アニメ『ダンダダン』で『X JAPAN』の楽曲に非常に酷似した劇中歌が使用されたことを、YOSHIKIさんが“発見”。曲だけでなく、元祖ビジュアル系らしいルックスや、代表曲でボーカルのToshIの“紅だぁ!”というシャウトが“お祓いだぁ”など、かなりの類似点がありました」(アニメ誌ライター)
YOSHIKIは演奏中の首のコルセットがおなじみとなっているが、アニメではそれも“再現”されていた。
「今回の件はアニメの制作側が謝罪しましたが、アニメでは他作品のフレーズや雰囲気を取り入れることが、オマージュやパロディーとして受け入れられている文化があります。アニメ『妖怪ウォッチ』でも、“U.S.O”というキャラクターが登場した際、ピンク・レディーの『UFO』によく似た曲が流れ、本家のような振り付けがなされた。ですが、配信版やDVDでは差し替えが行われました」(アニメ脚本家)
妖怪ウォッチの事後対応や今回のYOSHIKIを見るに、オマージュ元に話は通っていなかったようだ。
「制作側が“リスペクトしている”ゆえにオマージュした。アニメファンはその考え方で受け入れられがちで、オマージュ元はそれらを笑って許さないといけないような空気。それができないと器が小さいと見られかねず、選択肢がない選択を迫られているのと同義の状況にさらされるという見方もあると思います」(同・アニメ脚本家)
業界の礼儀としては「グレーゾーン」
オマージュされた側は、こういった場合、権利を主張できるのか?
「楽曲やビジュアルの雰囲気が似ているだけでは著作権侵害は問いにくい」
そう話すのは、「テックバイザー国際特許商標事務所」代表弁理士の栗原潔氏。
「肖像権については、商品の宣伝などに勝手に使われた場合には侵害を主張できる可能性はありますが、単にパロディーとして作品で使用されるだけでは主張は認められにくいと考えます。ただし業界の礼儀としてのグレーゾーンはあるでしょう。
今回は個人的には問題ないと考えていますが、YOSHIKIさんが気にされているということであればそれは尊重すべき。事務所経由などで事前に話を通しておくべきだったのではないかと思います」(栗原氏、以下同)

歌詞や動きのフリが酷似し、“元”を想起させるが……。
「想起させるだけでは、著作権侵害は主張できません。具体的表現が、“ほとんど同一”と感じられるほど類似している必要があり、法律的権利を主張するのは難しいと思います。もちろん、不快である旨の意見を述べることは自由ですし、クリエイターのこだわりは尊重されるべきです」
好き勝手に作品のいいとこ取りするのがオマージュ?