
「被害者に一点の落ち度もないのに殺されてしまった。エレベーターという密室空間で自衛できるポイントなんてない」
防災アドバイザーがこう嘆くのは、8月20日に神戸市のマンションで女性が殺害された事件のこと。
オートロックは「むしろ危ない」
「逮捕された谷本将志容疑者と被害者の24歳女性には面識もなく、会社帰りの被害者をつけ狙う容疑者の姿が防犯カメラから確認されています。自宅マンションまでつけてきた容疑者はオートロックをすり抜け、エレベーターに乗り込んだところで女性を殺害しました。
容疑者は3年前にも面識のない女性への殺人未遂事件を起こし、執行猶予中の身でした」(捜査関係者)
女性が身を守る方法はもはや自衛しかないといえるだろう。今回のようにオートロックのマンションは、むしろ危ないと元警視庁生活安全課の捜査員が明かす。
「上京したばかりの人が“オートロックだから安全”という思い込みから施錠せずに強盗に入られたり、女性だと暴行されるなどという事件が年間で数十件あります。オートロック物件でも必ず施錠する、できればドアチェーンのようなものも使用したほうがいい」
モールス信号の“SOS”
エレベーターに不審な人物が乗ってきたら?
「そもそも一緒に乗らない、のひと言に尽きます。不審な人物がいたら1本見送る。譲られた相手は不快に思うでしょうが、それはもう仕方ない。こういう事件が起きてしまったんですから」(同・捜査員、以下同)
犯人は被害女性の後をつけてきていたというが、背後に不審な人物の気配を感じたときにできることは?
「携帯電話が役に立ちます。誰かと通話をする、相手がいなければフリでもいい。本当に通話ができるならビデオ通話で話す。何らかの犯行をしようとしている人物なら、自分が映り込むのを避けてその場から立ち去るはず。面倒な手間をなるべく避ける、という心理が働きますから」

つけられている、と感じた場合の対応策はほかにもあるという。
「コンビニがあれば寄って、家に人が待っているようなフリをする。アイスクリームを買うのは家が近いことがバレてしまうのでオススメしません。このときエア通話でいいので、“今コンビニだけど何か買っていく?”などと声に出すとより良いでしょう」
見通しの悪い夜道で男性と一緒になってしまったら?
「スマホのライト機能を使って振りながら歩くこと。モールス信号のSOSも覚えておくとよいでしょう。ライトを光らせたままで、Sが“トントントン”、Oが“ツーツーツー”、Sが“トントントン”なので、暗闇でも遠くにいる人に届けることができますよ」
この知識を利用する場面がないことを祈るばかりだ。