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 “10代女子がなりたい顔No.1”。ファッションリーダーで小顔8頭身の人気モデル。歌手としては新人賞を総ナメ。女優業では連ドラ主演を務め上げるなど、破竹の勢いの西内まりやが念願の映画初出演。

「自分はそんな完璧な人じゃないというか、私もひとりの人間で。なので、自分が普通の女の子として持っているものを、ひとみを通して出せたのはすごくうれしかったですね」

 高校生のときの滑落事故によって後天性の感音性難聴となったひとみ(西内まりや)は、自分に自信を持つことができず、長い髪で補聴器を隠しながら生きていた。ブログを通じて伸(玉森裕太)と知り合い、惹かれ合うも、実際に会うことをためらってしまう……。

「今回の作品のために、髪を30センチ切りました。“これは、切らないと!”と思うくらい、いいお話で。それに“仕事としてやるからには、何でもやるぞ”という覚悟だったので。抵抗は全然なかったです」

 同時に“きっとこれで何かが変わる”という思いもあったという。

「短くしたことで内面があらわに出てくる気がして。自分自身との向き合い方が変わりましたね。今までは自分に自信がなくても、巻き髪やメークをすれば、ちょっと女の子らしくなれたりしましたが、あまり作ることがなくなったというか」

  “3足のわらじ”で羨望の眼差しを浴び続けている分、すべてを完璧にやろうとして疲弊したことも過去にはあったという。

「もともとすごく完璧主義な性格で、欲張り。来た仕事は断りたくない。ただ“やれるところまでやってみたい”という気持ちだけだと、限界が来てしまう。今はひとつのことに集中できない分、成長のスピードは遅いけど。でも、いろんな出会いや現場や経験によって、すごく視野が広がったと思います。たとえ今は“自分の形”として出せなくても、いっぱい吸収しているものがある。バランスのとり方がわかってきた今は、毎日違うことをしている自分が幸せです」

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『レインツリーの国』

 大好きだった小説の結末が思い出せず、ネット検索をすると“レインツリーの国”というブログにたどり着いた伸(玉森裕太)。管理人のひとみ(西内まりや)とメールを重ねる中で、彼女の紡ぐ言葉に惹かれていく。しかし“会おう”と誘っても、ひとみは断り続ける。彼女には伸には言い出せない秘密が……。11月21日(土)全国ロードショー。

撮影/佐藤靖彦