エレガント桐生 撮影/近藤陽介(インタビュー)

 ド派手な衣装に、昭和と夜のかほりを漂わせた新人歌手、その名はエレガント桐生! 新人らしからぬ落ち着きぶりと色気は、彼の“前職”の影響もあり……。そんなザワつく彼の原点とは!? メディア初インタビュー!!

純烈のリーダー・酒井一圭から「ライバル宣言」

  181cmの長身に、スパンコールと大胆なフリル、自信に満ちた優雅な立ち居振る舞い……まさしく“ゴージャスすぎる装い”で全国を回る「音程迷子の新人歌手」ことエレガント桐生(公開年齢33歳)をご存じだろうか?

 今年4月にデビュー曲『おいで』をリリースすると、人気歌謡コーラスグループ・純烈の新曲を抑えてオリコン週間演歌・歌謡シングルランキングで1位を獲得! 

 さらに純烈のリーダー、酒井一圭さんから「ライバル宣言」を受けるなど、令和のムード歌謡界をザワつかせている期待の新星だ。今回『週刊女性』は、謎のベールに包まれた彼を直撃! その素顔に迫った。

エレガント桐生さんの宣材写真

 取材当日は、ド派手なピンクのフリルシャツに、煌びやかなチョーカー、スパンコールのパンツスタイルで登場した桐生さん。特技が社交ダンスということもあり、立ち姿が凛々しい。

僕の衣装のコンセプトは常に“派手・キラキラ・エレガント”。とにかく目立たなければ意味がないでしょう!」(桐生さん、以下同)

 その言葉どおり、彼の醸し出す雰囲気は昭和の男性アイドルのよう。自ら作詞・作曲を手がけた『おいで』の歌詞にも「かほり」「おもひで」など、ノスタルジックな言葉がちりばめられている。

昔から昭和カルチャーが好きで、デビューするときも“歌謡曲がいい”と思ったんです。当初は楽曲の配信のみの予定でしたが、アナログ世代の僕はCDも出したかった。その両方を叶えて発売したのが、デビューシングルの『おいで』だったんです

 彼の徹底したこだわりが功を奏し、歌謡界に隕石落下級のインパクトを与えることに成功したのだ。

 幼いころから目立つことが大好きで、運動神経も抜群だったという桐生さん。高校卒業後、故・千葉真一さんが設立したことで有名な「ジャパンアクションクラブ(JAC)」に入所する。

 宙返りや殺陣ができるという“武器”を生かし、伊勢戦国時代村(現・ともいきの国 伊勢忍者キングダム)、日光江戸村、鎌倉シネマワールドなどでアクション俳優として活躍した。その後、縁あって彼が飛び込んだ世界は─。

ルックスを買われまして(笑)、ホストになりました

一つずつ体当たり状態で解決していくような日々

 ホスト界の帝王として知られた故・愛田武社長のもとで売れっ子ホストとして長年勤務した。

僕が働き始めたころのホストクラブは、お客さまとカラオケでデュエットをしたり、社交ダンスやチークダンスを踊ることが多かったものでした。お金に余裕がある方々が歓談やダンスを楽しむ、まさに大人の社交場だったのです

人気ホストだった20代のころ 写真提供/エレガント桐生

 桐生さんは人生の師だという愛田社長についてこう振り返る。

とにかく人を楽しませることが大好きで、お客さまファースト。とてもおとこ気がある人でした」 

 そんな尊敬する愛田社長の魂を受け継ぎ、’20年にダンスフロアがある会員制クラブ

「レジェンド愛」をオープンさせた桐生さん。だが、あるきっかけがもとで“歌手・エレガント桐生”として転生する。

知人から『歌手になって世界配信しないか』という話が舞い込んだのです。歌で笑顔、元気、勇気、生きがい、ときめきを伝えることができれば最高だと思い、即引き受けました

 だが、ここで1つ大きな問題が浮上した。桐生さん、歌があまり得意ではないのだ。カラオケを歌ってもうまいと言われたことはなく、採点でも78点以上を出したことがなかったという。ついたあだ名が「音程迷子」─。

 歌唱力に自信はないが、自分で詞や曲を作って伝えたいことがたくさんある。こうして「音程迷子の新人歌手・エレガント桐生」が誕生した。

 とはいえ、楽曲作り(作詞・作曲)も、レコーディングもまったくの未経験。それに加えてレコード会社との契約・著作権の管理……事務的なことも煩雑すぎた。

何もかもが初めてで、わからないことばかり。とにかく一つずつ体当たり状態で解決していくような日々でした

 そうやって編曲やMV撮影、CDやDVD制作などプロの手を借りつつ、衣装のスタイリングまで、すべて自分で手配してつくり上げた。しかし、またもや新たな課題が浮上する。

自分のやりたいことをすべて詰め込んだ“エレガント桐生”をつくったのはいいんですが、イベント会場を確保するなど、どうやって歌手活動をするか、知名度を上げるかがまったくわかってなかったんです

 そんな桐生さんに、手を差し伸べる人が現れた。イベント運営会社の会長である山口正美さんが、「エレガント桐生」という存在に興味を持ってくれたのだ。

 山口さんの会社は北関東のショッピングモール、スーパー銭湯、商業施設での新曲キャンペーンなどを数多く手がけており、大手のレコード会社や芸能事務所といった後ろ盾のない「エレガント桐生」に対し、イオンモール、スーパー銭湯、商業施設での新曲キャンペーンを50本以上も組んでくれた。

地元凱旋ライブでは張り切りすぎて“出入り禁止”

 お金より尊いのは人の縁。山口さんの恩に報いるため、衣装や新たなパフォーマンスを次々と考え、レパートリーを増やした。

ショッピングモールや町おこしなど、全国津々浦々からお呼びがかかっているという 写真提供/エレガント桐生

ギャラは徐々に上がってきてはいますけれども、移動費や衣装代のほうがかかるのでまだ赤字ではあります。でも、本当にありがたいことです。歌舞伎町でブイブイ言わせてたころより、地方回りをしている今のほうがやりがいを感じています。僕は強運の持ち主なんです。いろいろあったけれども、それでも健康体でいられるのは運がいい証拠ですから(笑)

 夏祭りへの出演など、営業の仕事も増えており、メディアからも声がかかるようになった桐生さん。前出の純烈のリーダー・酒井さんのラジオ番組にも出演した。

 また、イベントでの人気コーナー「早着替え」が、SNSで話題になったことも。これは、ステージ上に用意された小型のカーテンの中で制限時間内に衣装を替えようとするのだが、幕が下りるとまだ着替えが終わっていない下着姿の桐生さんが現れる……という、“爆笑コーナー”だ。

 この模様がSNSで話題となり、これまでトータル5000万回以上再生されているという。

これを酒井さんが見つけてくれまして。ご自身のラジオ番組に呼んでくださり、放送後にはLINE交換までさせていただきました

 とはいえこの「早着替え」に、物言いがついたこともある。

「僕の地元である愛知県のショッピングモールで凱旋ライブをやらせていただいたのですが、幼いころからずっと通っていた場所でイベントができるなんて、と、いつもより張り切ってしまって、早着替えはもちろん、上半身裸になって熱唱してしまったんです。

 それに対して、ショッピングモールにお客さまからクレームが入ったそうで『当会場と系列店は今後一切出禁です』と通達されてしまいました。地元凱旋ライブで張り切りすぎて“出入り禁止”となる伝説をつくっちゃいました(笑)

 しかし、こう付け加える。

このエピソードは、すべらない“鉄板ネタ”として、トークで重宝しています

 すべてをプラスに変える男・エレガント桐生。彼は、その生きざまで世の中を元気にするのが使命だと語る。

僕が目指しているのは、たくさんの人に元気を与えられる唯一無二の存在です。そして歌手としてはもちろん、『紅白』出場。これからも笑顔、元気、勇気、生きがい、ときめきを日本全国にお届けいたしますので『週刊女性』をお読みのマダムたちも、僕と一緒に夢を見続けましょう!

 華やかで優雅でたくましい─。見る者を笑顔にする“エレガント劇場”は、幕を開けたばかりだ。

取材・文/大貫未来

えれがんと・きりゅう 愛知県出身の33歳(公開年齢)。時代劇アクション俳優、ホストを経て、今年リリースされた歌謡曲『おいで』で歌手デビュー。「エレ様」の愛称で全国各地のショッピングモールや、スーパー銭湯などで多くのステージをこなす。