hayashi1122_1

 現在放送中のNHK連続テレビ小説『あさが来た』で、主人公である『あさ』のおじいちゃんを演じている林与一。NHKの朝ドラは今回で3作目の出演となるが、今回だけは特別な思いがあるという。

「何がうれしいかって、役のおじいちゃんが僕のおじいちゃんのイメージとまったく同じなんです。いつもお役をいただいたときは、これはどんな役なんだろう、どういう感じかなと、役を積み重ねていくんですが、今回ばかりは、うちのおじいちゃんを頭に描いてやればできる役でした」

 そういうこともあって、撮影が楽しくてしかたなかったというが、今回、林が撮影を楽しめた理由はそれだけではなかった。それは……。

「みんな演技がうまい。子役の鈴木梨央ちゃんは目でも芝居していたりして。あんまりうまいんで、なんだコイツって思いましたよ(笑い)」

 共演者たちをこう褒めたたえる。中でも『眉山惣兵衛(まゆやまそうべえ)』を演じる柄本佑に対しては、こう絶賛。

「柄本クンは最高。僕たちがどんなに頑張っても、あそこには行き着かないと思う。ほかの役は無理すればできるかもしれないが、あの役は彼しかできないね。どうしてあんな演技ができるんだろうって思う。不思議な雰囲気を持ってる人だね」

 さらにこう続ける。

「かつて長谷川に言われたんです。ほかの人がうまいと思えるときは、自分が向上しているときだと。自分のほうがうまいと思っているときは、うぬぼれているか、増長しているとき。だから、みんながうまく見えるということがうれしかったね。自分がまだ、向上している証拠だから。この気持ちは大事にしなくちゃと思いました」

 共演者の演技が自分の演技力のバロメーターであることを明かしてくれた。林といえば、家事好き、スイーツ好き、遊園地好き、という“乙女チック”な一面があることも最近、話題になったが、それはいまでも変わっていないという。

「仕事でムシャクシャしたときやカチンときたことがあっても、僕は怒れないんです。怒るってエネルギーが必要だから、ここ何年、腹が立っても怒ったことがないです。だからストレスがたまります。そんなときは、ひとりで車を飛ばしてディズニーランドに行くんですよ。ゲートをくぐったら、まっすぐメリーゴーラウンドに行って3回乗って次は『スモールワールド』に2回。すっきりして、『スプラッシュマウンテン』に乗って、帰るんです」

 それで嫌なことは全部すっとんでしまうらしい。昨年はモナコ国際映画祭で最優秀主演男優賞をとるなど現代劇の新しい分野にも進出。古希を越えてもますます意気軒昂な林だが、予想もしなかった言葉が飛び出した。

「これからやりたい役は、特にないです。やり残したこともないです。若いころから好き勝手やらせてもらい、私生活も満足していますし、もう何の悔いもないんです。だから、寝つきのいいときは、このまま朝になっても起きなければいいなと思う」

 キッパリと言いきる、そのこころは。

「早く死んであげたいんです(笑い)。僕の若いころは、あいつが死ねばあの役ができる、こいつが死ねばこの役が来るかもしれない。そんなことを考えていましたから、今でもそういう人がいると思います。NHKでのあの役だって、俺のほうがうまいと思っている人がいると思うから、そんな人たちのために早く死んであげたい」

 いつでも身を引く覚悟はできている。だが、その一方で生涯現役を宣言も。

「若いころは好きな女性のタイプってなかったけど、今は渡辺直美ちゃんがいいよね。デブはいやだけど、ボテは大好き。ボテは筋肉質なんです。直美ちゃんに、ぜひ会いたい」