
日本社会の現状に、「遅れてる! 海外ではありえない!」なんて目くじらを立てている人もいますが……。いえいえ、他の国の皆さんも基本は一緒なんです! そんな、「衝撃」「笑える」「トホホ」がキーワードの世界の下世話なニュースを、Xで圧倒的な人気を誇る「May_Roma」(めいろま)こと谷本真由美さんに紹介していただきます。イタリア人の食に対するこだわりは、まるで海原雄山。だけど、真意は……。
イギリス大使館に抗議申し立て
8月9日のBBCニュースで、「イギリスの料理サイトに掲載されているパスタのレシピに対して、イタリアで抗議の声」というニュースが報じられました。
なんでも、正しくない材料を記載したことで、イタリアの飲食業界団体がローマにあるイギリス大使館に申し立てを行ったそうです。
私は、かつてイタリアに住んでいたことがあるのですが、イタリア人の食に対するこだわりはちょっと異常。ですから、このニュースを見たとき、「イタリアあるあるだな」と懐かしい気持ちになりました(笑)。
例えば異国人である私にいきなり「パスタの正しい作り方を知っているの?」などと横やりを入れてくることは日常茶飯事です。
「いい? まず、にんにくは必ず十字に切らないとダメ。そして、オリーブオイルを入れて、台所で軽く干したドライトマトを、これまた十字に4つに切って入れるんだよ」
こんな具合でおせっかいを焼いてくるのですが、私は私で「台所で軽く干したドライトマトなんてねーよ!」と心の中で思うわけです。
まるで「親戚のおばちゃん」
だけど、うんうんとうなずかないとイタリア人はキレますから、ぐっとこらえて聞き続けるしかない。隣に、『美味しんぼ』に登場する海原雄山がいるような錯覚を覚えるくらい、彼ら、彼女らは食にうるさいのです。冷凍食材を嫌うため、レストランでは「当店は冷凍食材を使っています(使っていません)」という表記があるほど、イタリアは食への美意識も高いんですね。
なお、アメリカ国内でスターバックスのカウンターで「コーヒーの豆はこんなにローストしちゃダメ」とか息を吐くように言っているのは、イタリア人です(笑)。
ちょっと……いや、かなり面倒なこだわりですが、ひとえに「おいしいものを食べてほしい」というイタリア人なりの“おもてなし”ともいえるわけで、実際にイタリア人の言うとおりに作ると、本当においしいから憎めない。
「パスタのレシピが違うと抗議した」という文面だけ読むと、面倒くさい国民性だなと思うかもしれません。ですが、その真意は「そのレシピじゃ本当においしいパスタを食べることができない。イギリス人にもおいしいパスタを食べてほしい!」という親戚のおばちゃん的なおせっかいだと考えたほうがいいでしょう。
