
『あんぱん』で朝ドラ俳優デビューを果たしたMrs. GREEN APPLEの大森元貴が話題だ。
「作曲家のいせたくや役を務めていて歌唱シーンなどはさすがの歌声ですが、演技となると見ていて恥ずかしくなる瞬間も。役柄が限られてくるタイプかもしれません」
と、ドラマに詳しいライターの津田春子さん。朝ドラではこれまでさまざまなミュージシャン俳優が登場してきたが、視聴者の心に響く演技をしたのはどのアーティストだったのか。1000人の女性視聴者にアンケート。
星野源がランクイン

「水木しげる先生の漫画に出てきそうな青年だと思った」(東京都・42歳)、「昭和の世界観にぴったりで上手だった」(鳥取県・55歳)
5位は『ゲゲゲの女房』('10年)でヒロイン・布美枝(松下奈緒)の弟・貴司役を演じた星野源がランクイン。ミュージシャンとしての活躍は代表曲『恋』をはじめ、ご存じの方も多いだろう。
「ドラマ放送時はまだ知る人ぞ知る存在でしたが、気弱で優しく朗らかな弟を演じる星野さんを、好感の目で見ている視聴者が多かったようです。貴司が不慮の事故で亡くなる回は、がっかりする声も聞かれました」(津田さん、以下同)
8年後の朝ドラ『半分、青い。』では主題歌『アイデア』を担当したが、『ゲゲゲ〜』当時はまだ知る由もなかった?
続く4位は、
「寡黙だけど面白い大将はこの人しか演じられない!」(埼玉県・50歳)、「どんなドラマにも自然に溶け込むのはさすが」(山梨県・48歳)
『あまちゃん』('13年)では寿司屋の大将・梅頭役、『とと姉ちゃん』('16年)では仕出し屋の主人・宗吉役を演じたピエール瀧がランクイン。'89年に石野卓球とともにユニット「電気グルーヴ」を結成。テクノ・エレクトロを中心とした独特の音楽性と破天荒なパフォーマンスが特徴だ。
「視聴者には、もうアーティストよりも俳優として認知されていると思います。『あまちゃん』では寿司屋の大将役でしたが、お寿司は実際に瀧さん本人が握ったそう。
NHKの常連になりつつありましたが、大河ドラマの『いだてん~東京オリムピック噺~』放送中に逮捕され、降板する事態に。過去に出演した作品も一時、配信が停止されるなどの措置がとられました。これ以降NHKドラマ出演はないのが残念」
そろそろ禊も済んだころ?
3位は歌っている姿を見て衝撃
続く3位は、
「朴訥な東北訛りが温かかった」(山形県・38歳)、「素敵な俳優だと思ったから、歌っている姿を見て衝撃を受けた」(静岡県・36歳)
『ひよっこ』('17年)でヒロイン・みね子(有村架純)の叔父・宗男を演じた峯田和伸がランクイン。'96年に青春パンクバンド「GOING STEADY」を結成し、伝説的な人気を誇る。人気絶頂でバンドは解散し、以降は「銀杏BOYZ」として活動。'03年、田口トモロヲ監督、宮藤官九郎脚本の映画『アイデン&ティティ』で俳優デビューした。
「峯田さんはアーティストとしてもカリスマ的人気を博していて、お笑いコンビ・空気階段の鈴木もぐらさんが学生時代から熱心な追っかけだったのは有名な話。役者をやってもやっぱり強烈な存在感がありますよね。
方言を直さなくても役が峯田さんに合わせてくるというか。つい目で追ってしまう視聴者が多いのは納得します」
『いだてん~』以降はドラマ出演がないようだが、そろそろ役者・峯田が見たい!?
劇中の歌声にしびれた

2位は、
「当時は斉藤由貴に嫉妬した」(大阪府・60歳)、「鼻歌シーンにキュン」(宮城県・66歳)
アラ還女性たちから多くの支持を集めたのは、『はね駒』('86年)でヒロイン・りん(斉藤)の初恋相手の松浪役、『オードリー』('00年)ではヒロインの育ての母、滝乃(大竹しのぶ)の結婚相手・麻生役を演じた沢田研二がランクイン。
「『オードリー』では自身のヒットソング『勝手にしやがれ』を鼻歌で歌うシーンがあるのですが、その演出も当時話題になりましたよね。
沢田さんは'21年の映画『キネマの神様』で、亡くなった志村けんさんに代わって主役を演じていますが、志村さんが出演していた朝ドラ『エール』('20年)でも沢田さんが代役を務めたと勘違いしている人は多いです」
俳優・ジュリーの存在感ゆえだろう。
堂々の1位は

そして堂々の1位に輝いたのは、
「熱唱シーンは圧巻だった」(茨城県・57歳)、「情熱的な音楽家役が似合う」(北海道・62歳)
現在、NHK BSで再放送中の『チョッちゃん』('87年)ではヒロイン・蝶子(古村比呂)の夫・岩崎要役、『カムカムエヴリバディ』('21年)ではジャズ喫茶のマスター・柳沢定一役を演じた世良公則。'77年、「世良公則&ツイスト」でデビュー。『燃えろいい女』などヒット曲を生み出した。
「『チョッちゃん』ではバイオリニストを演じましたが、世良さん自身も幼少のころからバイオリンを習っていた音楽家。役柄にぴったりでした。
『カムカムエヴリバディ』では同作のテーマソングともなっている『オン・ザ・サニー・サイド・オブ・ザ・ストリート』を世良さん演じる定一が進駐軍のクラブステージ上で熱唱するシーンが大きな話題を呼びました。YouTubeでこの歌唱シーンをノーカット公開すると3か月で再生回数110万回を突破し、緊急配信が決まりました」
今年は参院選に立候補した世良だが、朝ドラにもカムバックしてほしい!?
「近年は朝ドラに出演したミュージシャンがその後、テーマソングを担当する傾向にあります。『ゲゲゲ~』の星野源さんのほか、『エール』に登場したRADWIMPSの野田洋次郎さんは現在、『あんぱん』の主題歌『賜物』を担当。『あんぱん』に出演する大森元貴さんもいずれ、そうなる気がします」
ミセスが歌うオープニング曲も今から楽しみ!?