
事件現場となったのは、千葉市中央区の閑静な住宅街にある築56年の2階建て住宅。8月25日午後11時30分から50分ごろにかけて、男が同棲中の交際女性に暴力を振るった。
伸縮式の特殊警棒で約20分間殴打
「女性の顔や腕、背中などを伸縮式の金属製特殊警棒で約20分間殴打し続け、拳で殴ったり蹴りも入れています。暴行後に自ら119番通報していますが、救急隊が駆けつけたときには女性はリビングに倒れて意識や呼吸がなく、搬送された市原市内の病院で翌26日午前1時32分、死亡が確認されました」(捜査関係者、以下同)
千葉県警千葉中央署が殺人未遂の疑いで現行犯逮捕したのは無職・保田葵容疑者(30)。
「家事を巡って口論になり、ケンカに発展した」などと認めており、容疑を殺人に切り替えて捜査が進められる見通しだ。
亡くなったのは中村朱里さん(30)で、身体には内出血とみられる赤いアザが複数あった。
「アザは大小10か所以上におよび、事件当夜の暴行によってできたとみられるものが多数認められるほか、古いアザもありました」
特殊警棒は“護身用”として販売される一方、強盗に使われたケースも。家事を巡るいさかいで持ち出す代物ではない。

近隣住民らによると、現場宅はファミリータイプの賃貸物件で、数年前に保田容疑者が1人で引っ越してきた。
「感じのいい青年ですよ。今は無職みたいですが、入居当時はラフな服装で出勤し、“出張に行ってきます”と話すことがありました。片づけは苦手のようで、敷地内に段ボールなどを放置していたので“外にゴミを積まないで捨てなさいよ”と声をかけると“はーい”と素直に応じていました」(近所の男性)
しかし放置癖は直らず、複数の近隣住民が“ゴミ屋敷化”に眉をひそめていた。

宅配業者から荷物が頻繁に届き、段ボール箱などが敷地内や室内に乱雑に積まれていった。ガレージにはカー用品の空き容器などが残っていた。
夜中に家から男の怒鳴り声
「車をいじるのが趣味みたいで、昼間でも夜間でもしょっちゅうボンネットを開けてエンジンの様子なんかを見ていましたね。精神的に不安定な様子があり、夜中に家から男の怒鳴り声が聞こえてくることがありました。近所の人は“眠れなかった”と言っていました」(近所の住民)
別の住民は「大きな咳を何度も繰り返すことがあった」とも話す。敷地内の庭木や植栽は伸びっぱなしで、周囲の路上に落ち葉がたまっても気にせず、やむなく近所の人が掃除をしていた。

一方、被害者の中村さんとみられる女性と挨拶を交わした住民によると、定期的に勤めに出ているようだった。数か月前の夜、「今お帰り?」と尋ねると、「勤務先が少し離れているんです」と言葉少なに説明するなど、おとなしいタイプに見えたという。
保田容疑者は数か月前、突然アメリカンタイプの大型バイクを敷地内に運び込んだ。
近所の男性が「免許は持ってるの?」と尋ねると、保田容疑者は「免許はこれから取ります。へへへ」と、いたずらっぽく笑うだけだった。
「保田くんが彼女の掃除ぶりなどに注文をつけるのは想像できません。細かいところに目がいくタイプではないからこそ、ゴミ屋敷にしてしまったのですから」(同・男性)
何があったにせよ、同棲中の彼氏に特殊警棒で殴られた果てに、命を落とすとは気の毒でならない。