写真はイメージです

 全国各地で増え続けるクマ被害。とくに東北地方ではツキノワグマの出没が増加傾向にあり、秋田県でも被害が深刻化。今年2025年の春は例年の3倍を超える被害が確認され、重傷事故も複数発生しており、北秋田市では70代の女性が襲われて死亡する事故もあった。まさに異常事態となっている。

 この増え続けるツキノワグマの出没に対応するため、秋田県は2024年からクマ出没の新しい情報共有システム『クマダス』の運用をスタート。秋田県内に限る情報サイトだが、ネーミングの親しみやすさもあり、SNSでもじわじわと話題になっている。

《アメダスではなくクマダスww》
《クマダス見たらほぼ(出没多過ぎて)秋田県の形》
《秋田県クマいすぎじゃね》

 このクマダスの運用状況など、秋田県自然保護課の担当者に聞いてみた。

クマダスは、クマやイノシシの出没・目撃情報を地図上で情報共有できるサービスです。出没した場所や時間がマークで表示され、市町村や日時で絞り込み検索も可能なので、自分の住んでいる地域にクマが潜んでいるかどうかを確認することができます。

 ユーザー登録をすればメールで通知が届くほか、秋田県の公式LINEアカウントと連携すれば、スマホに直接アラートが飛んでくる仕組みになっています。“リアルタイムで地域を見守れる”便利ツールです」

 クマ出没の情報は住民が投稿できるのもポイントのようだが、いたずらや誤情報などはないのだろうか。

「投稿内容は市町村や県がチェックしてから公開されるため、信頼性は確保しています。クマが山に生息しているのは自然なこと。市街地に下りてきたクマと人が鉢合わせするのが危険なのです。共有スピードを命に、情報はきちんと管理しています

「クマダス」のネーミングは誰が?

秋田県が運用する「クマダス」、赤い「クママーク」に出没情報が(公式HPより)

 クマダス以外にも、県の公式サイト『美の国秋田ネット』内でもツキノワグマ情報を発信、整理して、クマによる事故防止を強化しているとのことだ。秋田県では、この9月〜10月を「クマ事故防止強化期間」としている。

 クマとの遭遇を避けるために、果実や生ごみを外に放置しない、草刈りで見通しをよくする、熊鈴やラジオを携行する、複数人で行動するなどの基本対策を徹底することが大切のようだ。

 気になるクマダスのネーミングについて聞いてみると、

「いくつか課内で候補を出し、つけただけです。とくに公募などはしていません」

 との返答。住民の安全が第一ということだろう。県内での認知度や、クマダスがどの程度事故防止に役立っているかの追跡調査はまだできていないようだが、これからもクマへの注意喚起を続けていくことが大事という。クマダスを使った“地域ぐるみの防衛”がカギとなりそうだ。