
「産後うつ」は、産後3か月以内に発症することが多い心の病。育児不安が強くなり、不眠や食欲不振、ひどくなると自傷行為や子どもへの暴力に繋がる可能性もある。この産後うつについて、とあるSNS投稿が物議を醸している。
《「産後うつ」は「甘え」です》
問題となっているのは、2017年に衆院選に出馬したこともある、作家の橋本琴絵という女性のX投稿。橋本氏は産後うつを「架空の病名」と断じ、産後うつでの公的保険の利用を強い言葉で批判した。
橋本氏が産後うつの話題でネット上を騒がせたのは、今回が初めてではない。2020年にはSNSで、《もし奥様が「産後うつ」を言い訳にして家事や育児を怠ったら怒鳴りつけて躾けましょう。私は産後3ヶ月で衆議院議員選挙を全力で駆け抜けました。「産後うつ」は「甘え」です》と発言。
さらに、《「産後うつ」なる病気は地球上に存在しません。誰かが勝手にあると思い込んでいるだけ》と続け、《これからなる世界は、甘ったれた精神ではならんのです》などと強烈なコメントを投稿した。当時のツイッターでは「産後うつ」がトレンド入りするほどの事態に。
「6児の母であるという橋本氏は、自身の経験をもとに“うつは甘え”と主張しているようですが……。一口に出産・育児と言ってもその大変さは人それぞれであり、どう感じるかも人それぞれ。橋本氏の主張に対して当時のネット上では、《自分の経験を基準に物事を断じるべきではない》といった批判的な声が相次ぎました」(全国紙記者)
橋本氏の投稿に賛同の声は少なく
それから時は流れ、今回の問題が勃発する。
9月18日に橋本氏はXで、《まだ「産後うつ」などいう日本以外には存在しない架空の病名を捏造して公的保険に巣食う輩がいるのか》と投稿。《米精神医学会(DSM5)も世界保健機関(ICD)も産後うつなる独立した病名は無い。双極性障害のいち病態、又は「産褥期うつ状態」(8週以内、一時的)だ》と記し、《社会保険料負担する勤労者を苦しめる寄生虫》と強い言葉で締めくくった。

橋本氏の投稿は今回も波紋を呼んだ。賛同の声は少なく、
《産後うつは甘えじゃないよ、このポストを見て追い詰められた人が命を絶ったらどう責任取る気?》
《「産後うつ」って言葉が日本以外にはなくても、その症状は実際に世界中の妊産婦に出てるんだよ》
《売名目当ての発言でもヤバすぎる》
といった辛辣な声が続出している。
「病名はともかく、メンタルヘルスの悪化によって苦しんでいる妊産婦が世界中にいることは事実です。いくつもの国がその事実を問題視したからこそ、イギリスのエジンバラ大学で『エジンバラ産後うつ病尺度』という質問票が作られ、世界中で広く使用されるようになりました。米国では2023年に、産後うつに対する経口薬がFDAに初認可されています。決して、“甘え”のひと言で片付けられる問題ではありません」(前出・全国紙記者)
SNSでたびたび炎上している橋本氏。そこには、過激な発言をすれば注目を集められるという“甘え”があるのではないだろうか。