
「成年皇族としての役割を果たしていきたい─」
9月6日、成年式を滞りなく終えられた秋篠宮家の長男、悠仁さま。式後には安堵の表情で、こう決意を語られた。皇室の“次代”を担う存在として、早くも公の場に立つ日々を送られている。
公の場に姿を見せる悠仁さま
「成年式は男性皇族が成年に達したことを国内外に知らしめるための行事です。男性皇族はその日を境に成年皇族と見なされ、さまざまな公務へ臨まれることとなります。ただ、大学在学中は基本的に学業優先。現在、筑波大学1年生の悠仁さまも大学卒業まではお出ましを控えられるとの見解が有力でした。
しかし、成年式や関連行事を終えた今、積極的に公の場に姿をお見せになっているのです」(皇室担当記者、以下同)
9月12日には、秋篠宮ご一家が都内で琉球舞踊をご覧に。16日には国立競技場で『東京2025世界陸上』を佳子さまと観戦された。さらに23日から24日は秋篠宮さまと『大阪・関西万博』を視察するご予定。
9月いっぱいまでの大学の夏休み期間中に、さまざまな場所へ足を運ぶことで“徐々に公務に慣れていきたい”という決意の表れなのかもしれない。
「悠仁さまは人前に立つと、すぐに緊張してしまうといいます。そのためか、高校時代はお出ましになっても表情にほとんど変化が表れなかった印象です。しかし、成年式を終えられて以降は一転、明るく柔らかい表情がたびたび見られるようになりました」
9月8日に神武天皇陵を参拝するため奈良県へ足を運ばれた際のご様子はネット上でも話題を呼んだ。

「宇治山田駅では悠仁さまのお姿をひと目見ようと駅頭に多くの人が待ち構えていました。到着された悠仁さまは、今までにないほど自然な笑顔でお手を振られていて。このご様子にネット上には“初々しい”“かわいい”といった声が多数上がりました。
また、16日に世界陸上を観戦された際は常に生き生きとした表情で競技を見つめていて、選手たちの活躍に心を動かされたご様子が見て取れました」
鮮烈な成年皇族デビューを果たし、徐々に存在感が増す勢いの悠仁さま。その舞台裏で、天皇家の長女である愛子さまも各地を奔走する多忙な日々を送られていた─。
「愛子さまは9月6日、成年式へのご臨席を終えると、皇居を発ち、新潟県に入られました。新潟には8日までご滞在。防災に関する式典に出席したほか、2004年に発生した新潟県中越地震の被災者らとも懇談されました。
9月12日からは1泊2日の日程で両陛下とご一緒に長崎県をご訪問。戦後80年の節目にあたり、平和公園で献花をされるなど、戦没者の慰霊に臨まれたのです」
天皇ご一家とお話しして自然と涙が出てきた
多忙ながらも、訪問先やご懇談相手への気遣いを欠かさない愛子さまの交流ぶりは各地で感動を呼んでいる。
愛子さまが8日に足を運ばれた『やまこし復興交流館おらたる』で、中越地震の復興に関するガイドを務める関静子さんはこう振り返る。
「愛子さまからは“どうしてガイドを始められたのですか?”とか“中越地震の際はどのような被害がありましたか?”といったご質問をいただきました。“地震で私の家は全壊したのですが、避難をして3年ほどで自宅へ戻ることができました”とお答えすると“それは大変でしたね”と、心からのねぎらいのお言葉をかけていただいて……。
それから、最後に“これからも大変なことがあるでしょうが、お身体に気をつけてください”と言っていただき、大変感動しました。私は15年ほどガイドをしていますが、愛子さまにお会いできて、さらに心のこもったお言葉を頂戴でき、ガイドを続けていてよかったと思えましたし、これからも頑張ろうという原動力をもらえました」

12日にご両親と訪問された『長崎原爆資料館』では、『長崎県被爆者手帳友の会』で自身の被爆体験を伝える活動をしている中村キクヨさんと懇談された。
「長く語り部として活動をしていることについて、両陛下からねぎらいのお言葉をいただきました。雅子さまからは“これから先もお身体を大事になさってください”とお声がけいただき、ありがたく思いました。
愛子さまからは“若い人にもご自身の体験をお話しすることがありますか?”というご質問がありました。101歳になって、ご一家とお話しすることができるなんて、この活動を続けてきてよかったとしみじみ感じ、自然と涙が出てきました」(中村さん)
ご訪問先で垣間見える愛子さまの優しいお人柄に心を打たれる人は多く、その人気は根強い。悠仁さまが成年皇族となられた今も『愛子天皇』を待望する声は依然、根強い。
「昨年、共同通信が行った世論調査では90%が女性天皇を容認するという結果になりました。“愛子さまを天皇に”という声の発端は、秋篠宮家の長女、眞子さんの結婚騒動にあるように思います」(皇室ジャーナリスト、以下同)
『愛子天皇』実現の可能性
騒動は2019年に始まる。
「眞子さんは2019年に小室圭さんとの婚約が内定。しかし同年12月、圭さんの母である佳代さんが元婚約者との間に金銭トラブルを抱えていることが発覚したのです。
この件をきっかけに国民から結婚を反対する声が噴出する事態に。しかし、20233年にご両親の反対や国民の声を押し切る形で2人は結婚。この騒動で秋篠宮家への不信感を募らせた人は多いようで、2019年から今に至るまで、秋篠宮家へ厳しい批判が寄せられているのです」(前出・皇室ジャーナリスト、以下同)
一方、愛子さまは2023年に学習院大学を卒業し、積極的に公務に臨まれるようになって以降、人気ぶりは勢いを増すばかりだ。

「秋篠宮家に逆風が吹く状況とは対照的に、愛子さまのご活動はむしろ温かく迎えられてきました。この対比の積み重ねにより“愛子さまを天皇に”という声が一層強まっているのかもしれません」
國學院大學で講師を務める皇室研究者の高森明勅さんは、こうした愛子さまの人格にかかわらず「皇室の安定的な存続を望むのであれば、次の継承者は愛子さまでなければならない」と話す。
「今の陛下や秋篠宮殿下のお子さま方の代で皇位継承の有資格者はおひとりしかいらっしゃらない。このような危機に陥った原因は、皇位継承者を男系男子に限定するというルールに欠陥があるからと言わざるを得ません」(高森さん、以下同)
男系男子という縛りは明治時代に制定された皇室典範で明文化されたという。
「男系男子のみが皇位を継承するというルールは当時から窮屈だったものの、安全策として側室制度が設けられていました。正妻以外の女性が男子を産んだ場合でも、その子どもにも皇位継承資格を認める。この制度は終戦後、皇室典範が改正されるまで続きました。
皇位継承者を男系男子に限定するというのは、側室制度をセットにして初めて成り立つものだったのです。2つあわせて機能するルールのうち片方だけを残して運営していくのは不可能でしょう」
愛子さまがなられる可能性はゼロに近い
制度に欠陥がある以上、見直しが必要だと高森さんは続ける。
「側室制度の復活はあり得ず、少子化も進んでいる以上、男系男子のみ継承という部分を見直す必要があります。今の両陛下の間にお子さまがいらっしゃらないのであればともかく、お子さまがいらっしゃるというのに“女性だから継承はできない”というルールに、はたして妥当性があるのか疑問です。
男系男子の限定を解除した場合、現在の皇室典範に記されている直系の長子が優先的に皇位を継承するというルールにのっとって、継承者は愛子さまということになります」

宮内庁OBで皇室解説者の山下晋司さんは「愛子内親王殿下が天皇となる可能性はゼロといってもいい」と話す。
「現在、男系男子に限定されている皇位継承権を女性や女系にまで広げるといった案もありますが、仮にそれらが認められたとしても、適用されるのはその改正後に誕生された皇族からです。つまり、悠仁親王殿下が天皇となることは変わりません。
皇位継承制度は生身の人間が対象ですから、男系か女系かという問題ではなく、成長される過程で変えてはいけないのです」(山下さん、以下同)
この認識は世界的にも共通しているそうで、
「欧州で王位継承制度を改正しても、適用されるのは改正以降に生まれた王族からというのが原則です。愛子内親王殿下は天皇にならないことを前提に、悠仁親王殿下は天皇になることを前提にこれまで成長してこられたはずです。
誕生直後ならいざ知らず、成年皇族に改正した制度をすぐに適用するというのは世界的に見てもあり得ないことですし、やってはいけないことです。今すべきことは、悠仁親王殿下の次の皇位継承をどうするのかという議論です」
成年皇族として未来の天皇として、新たな一歩を踏み出された悠仁さま。それでもなお、『愛子天皇』を待望する声は依然として根強い─。