
「私は今59歳、でも5年前よりも顎はシュッとし、フェイスラインもスッキリしたってよく言われるんです。これはベロ体操を毎日続けたおかげ。ベロって筋肉の塊だってご存じでしたか?ベロも筋トレしないとどんどん衰えていくんですって!」
と語るのは、数々の大物女優のヘアメイクを36年担当する化け子さん。その経験を生かし、美容に関する情報を発信する自身のYouTubeチャンネルは、42万人以上が登録し、中高年世代の女性から共感を得ている。彼女が続ける「ベロ体操」、指導したのが歯科医院でベロの筋トレを指導する、小川真梨子さんだ。
ベロは筋肉の塊!油断すれば衰える
「歯科でのベロのトレーニングは、顎の位置や歯並び、噛み合わせを整えることが目的。ベロの力が衰えれば、咀嚼や嚥下、発声などの大事な機能に不具合が起きやすくなります。口腔の老化を防ぐためにもベロのトレーニングは大切なことなんです」(小川さん、以下同)
ベロは複数の筋肉がひとまとまりになって粘膜で覆われた器官。重さ約200グラムの筋肉の塊で、奥のほうだけが「舌骨」という骨とつながっている。
「舌骨は首や顎、喉のまわりの筋肉とくっつき、ベロを支えています。この時大切なのが正しい位置で支えること」
普段からベロが口の中で下がっていると、その重みが舌骨にかかり、舌骨の位置も下がる。すると連動する各所の筋肉にも負担がかかり、放っておけば顎がたるむ、口角は下がるなど、見た目の変化に現れてくるという。
「太ってもいないのに、このごろ顎下がたるんだとか、あいまいなフェイスラインが気になるなら、それはベロの衰えのサインかも。もし食事中にむせたり、滑舌が悪くなってきたと感じたら、それも衰えのサインである可能性があります。
クリニックでベロの衰えが理由でトレーニングを受けるよう指導されるのは、圧倒的に50代以降の方ですね」
自然なリフトアップにも期待できるベロ体操
しかし、ベロは筋肉なので何歳からでも鍛え直せるという。
それが次ページに紹介する3つのベロ体操。簡単そうに見えても、例えば「ベロ吸い上げ」を30秒キープするのはかなりキツい。
「ベロの筋力が弱いうちは上顎からすぐ離れたり、歯の面にはみ出たりします。でも毎日続ければベロ全体の筋力がついてくるので、気がつけばベロはいつも正しい位置にあります。
ベロの正しい位置がキープされると、ベロの筋肉だけでなく、連動する口まわりの筋肉、頬筋、首前面の筋肉も鍛えられます。その結果、フェイスラインがシュッとして口角も上がります。さらに、目元も自然なリフトアップと血流促進が期待できます」

自分のベロが下がっていたのに気づいた化け子さん。ベロの衰えが美容面にも直結すると確信し、小川さんが指導するベロ体操を、自身のライブ配信で毎朝実践した。
「継続が大の苦手でしたが、フォロワーさんも見ていることだしと、いやでも習慣化できたのがよかったのかな。今では毎日やらないと気持ち悪いほどで、もう2年半続けています。フォロワーさんからも“フェイスラインが引き締まってきた”とか、“顔の左右差が解消されてきた”といううれしいコメントも届いています」
しかもこのベロ体操を続ければ、自然と鼻呼吸になっていくという。
「鼻呼吸が身につけば、睡眠の質や免疫力もアップします。ベロ体操は、舌骨とつながる何種類もの筋肉を同時に動かすので血行もよくなります。ベロだけの筋トレのようでいて、実はお肌のツヤまでよくなることも期待できるなんて、お得ですよね」
ベロ体操は、いつ、どこでやってもいい。大事なのは継続すること。時々は鏡の前でよい姿勢をとり、ベロが曲がったり、下がっていないかチェックすると、さらに効果を出しやすいそうだ。
たるみ引き上げ・肌ツヤアップ・滑舌なめらか 3つのベロ体操
1.口まわりのたるみに効く!ベロ回し
口を閉じ、円を描くようにベロを回す。右回し、次に左回しで1セット、これを30セット。ベロを鍛えるだけでなく、口を閉じる筋肉(口輪筋)も鍛えられ、頬筋も内側から刺激され、血流アップ。ほうれい線やマリオネットラインの予防にも。

2.顎のたるみ解消に!ベロ出し
ベロをまっすぐ前に出して引っ込める動作を20回繰り返す。ベロ全体が鍛えられるうえ、舌骨とつながる首や顎まわりの筋肉も働く。そのため、下顔面がシュッとし、顔まわりの血流がよくなり、目元がはっきりする効果が期待できる。
最初は難しくて全然できなかった化け子さんも毎朝続け「下顔面がスッキリしたうえ、滑舌までよくなり大満足」。
3.ベロの衰え予防&改善に!ベロ吸い上げ
ベロを上顎にぺったりつくよう吸い上げ、30秒キープ。ベロの両脇を歯の噛む面に触れさせないのがポイント。舌裏のタテのひだ(舌小帯)がまっすぐ見えればOK。
「吸い上げ」を続けるとベロが常に正しい位置に置かれて下顎が安定、顎下のたるみが解消され、口角も自然に上がる。鼻呼吸がしやすくなり血行や睡眠が改善されて肌ツヤもよくなる。
ほかにも!化け子式たるみクマ・ほうれい線対策
たるみ解消にはヘッドマッサージもおすすめ。顔とつながる頭皮の血行を促せば顔にもハリがアップ。メイクでほうれい線を目立たないようにするには、小鼻の脇あたりのツヤを消そう。
目の下のたるみクマは、影になる溝の部分にだけオレンジ系かイエローの目元専用コンシーラーを点でのせ、たるみクマの影に沿ってブラシでぼかす。「たくさん塗るとしわが目立つため、決して塗り込まないこと!」
※ベロの先端を置く正しい位置
ベロの先が上の前歯の付け根から少し離れたスポットにつく
歯の噛む面には触れず、ベロ全体を上顎にすっぽりおさめる
※体操の写真は『化け子のオキテ。』から抜粋
取材・文/冨田ひろみ