毎週月〜土曜、朝8時〜(NHK総合)ほか放送中

「撮影の最後は、嵩さん(北村匠海)とのぶにとってすごく大事で、涙があふれてしまうようなシーンだったので感情的になりました。そして、最後のOKをいただいた後は“無事に終われたな”と、ほっとしました」

迷ったり、難しいと感じる瞬間も

 まだ桜が咲いていたころにスタートした朝ドラ『あんぱん』。ヒロイン・のぶを演じたのは今田美桜。“はちきん(高知の方言で、男勝り)”で“韋駄天”だった少女は、柳井嵩(モデルはやなせたかしさん)の妻となり、夫の人生&『アンパンマン』の誕生を不動の覚悟で支え続けた。

 クランクアップしたばかりの今田に、約1年にも及んだ撮影を振り返ってもらうと、

「もう終わってしまったのか、まだまだ撮影が続く気もしなくもない、みたいな(笑)。ちゃんと実感できているのかはまだわからないんですが。

 ただ達成感と、クランクアップのニュースを見た多くの方から“お疲れさま”という連絡をもらいました。もしかしたら、そういうのも実感なのかな。なんだか行ったり来たりしているんですけど、心晴れやかな気持ちではあります」

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 そんな今は、旅行に行きたいと微笑む。朝ドラヒロインを駆け抜けた中での成長について尋ねると、

「たぶん、きっとこれから実感していくところもあるのだろうと思うんですけど。この『あんぱん』の現場を離れて、また違うお仕事をしたときに感じるのかなと思っています。でも“1年間ひとつの役に向き合う”ということは、たぶん今後なかなかないことだと思うので、そこは自分に対してちょっと自信がついたのかなとは思います。

 撮影している間は“長いな”“(クランクアップまで)なかなか遠いな”と感じる瞬間もありましたけど、振り返ってみると本当にあっという間でした。全部ひっくるめて楽しかったです!」

“うちにはわかる。ちっぽけな嵩がいつか天才もびっくりするような作品を作るって”。嵩が作詞や舞台美術などの仕事で忙しく、漫画に向き合おうとしないときも、のぶだけはその才能を信じ続けた。

「のぶと嵩は、絶対的にお互いにない部分を認め合って、尊敬し合っているので。だからすれ違う瞬間もあり、“はちきん”と“たっすいがー(頼りない)”と違う部分はありますが。でもやっぱり、“お互い思い”な部分は本当にそっくりです。

 晩年、ひとつのターニングポイントとして、のぶが“子どもができなかった”“何者でもなかった”と抱えてきたいろいろな葛藤を嵩さんに吐き出すシーンがあったのですが、それを嵩さんが“最高だよ”って受け止めてくれて。

 のぶとしては本当にあの言葉で救われて、生きやすくなったのかなと思います。嵩さんを支えるということが“自分の居場所”であり、そこに誇りを持てるようになってきたのかなと思っています」

嵩役・北村匠海への思い

 そんな思い合う柳井夫妻に憧れる気持ちも?

「この先、もしそういう機会があるのであれば、私が尊敬する方に、自分もそう思われるように頑張りたい。そういうふたりってとっても素敵だなと、この撮影を通して思いました」

 嵩を演じた北村匠海とは6度目の共演となった。

「今回は幼なじみから夫婦になっていき、関係性も変わりました。以前は昔の彼女役とかでしたが、今までで距離感がいちばん近い役だったと思います。

 だからこそ、これまでに見てきた北村さんとは全然違う瞬間をいっぱい知れて。すごく大人びていて、何事もクールに俯瞰で見ていらっしゃる印象があったんですけど、意外とひょうきん者なんだな、と(笑)」

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 嵩役が北村でよかった。そう思う瞬間は多かったと振り返る。

「1年間撮影をしてきた中で楽しかった瞬間もたくさんあれば、やっぱり人間なので少し迷ったり、難しいなと感じる瞬間もありました。そんなときに“これってどう思う?”と聞いたことが何度もあり、一緒になって考えてくれたのですごく助かりました。

 いろいろとさりげなく助けてくださる方なので、そこはすごく尊敬できると思いました。本当に最初から最後まで、ずっと支えていただきました。あうんの呼吸?あったと信じたいです(笑)」

 勇気りんりんの物語のグランドフィナーレは、9月26日!

キュンとしたシーンは?

「本当にいろいろありますけど。のぶの誕生日に自費出版の詩集をもらったときは、嵩さんなりにすごく考えてくれたサプライズで、キュンとしました」

 嵩は作詞家として成功しているからこそ“あり”なギフトだったけど、実際に自作の詩を渡されたら?

「確かにそうですよね(笑)。プレゼントされたことがないからわからないですけど(笑)。でもやっぱり自分のことを考えて、思って、書いてくれたものは、お手紙と同じだと思うので。それはやっぱりうれしいんじゃないかな」