成年を祝う夕食会の会場に入る佳子さまと悠仁さま(2025年9月6日)

「最初に見せていただいたとき、藤棚の下を歩いているような感じになりました」

「とても美しく魅力的な作品ですね」

 秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまは9月4日、東京都中央区のデパートを訪れ、総裁を務める日本工芸会などが主催する「第72回日本伝統工芸展」を鑑賞した。

約550点の作品をじっくり見て回った佳子さま

「第72回日本伝統工芸展」授賞式で、ガラス工芸作家の和泉香織さんに総裁賞を授与(2025年9月4日)

 総裁賞を受賞したガラス工芸作家のガラス製の重箱は、藤の花をイメージし、紫やピンクのガラスが幾重にも光を反射して輝く作品だ。作家から説明を受けた佳子さまは、冒頭のような素直な印象を語り、人形や陶芸など約550点の作品が並ぶ会場をじっくり見て回った。

 佳子さまの弟、悠仁さまの19歳の誕生日にあたる9月6日、悠仁さまの成年式が行われた。成年式は男性皇族だけが行う重要な儀式で、奈良時代から約1300年もの歴史と伝統があるとされる。1985年11月30日、父の秋篠宮さまが行って以来、実に40年ぶりの成年式となった。

 この日午前8時45分ごろ、東京・元赤坂の赤坂御用地にある秋篠宮邸で、モーニング姿の悠仁さまが天皇陛下から贈られた冠を受け取る、「冠を賜うの儀」が行われた。陛下の使いから箱に入った成年用の冠を受け取った悠仁さまは、「誠にありがとうございます」と述べた。この後、宮邸の玄関で佳子さまや両親と、笑顔で言葉を交わして車で皇居・宮殿に向かった。

 午前10時前、悠仁さまは中心的な儀式の「加冠の儀」に臨むため、宮殿の「春秋の間」に入った。

 裾の長さが6メートルもある、未成年用の装束「闕腋袍」を着て、頭には「空頂黒幘」と呼ばれる未成年用の黒絹の額当て、手には笏を持っていた。

 天皇、皇后両陛下や秋篠宮ご夫妻が見守り、両陛下の長女、愛子さまや佳子さまなどの皇族や石破茂首相ら三権の長も参列する中、悠仁さまの頭から宮内庁幹部が、黒絹の額当てを外し、成年用の燕尾纓がついた冠をかぶせた。

 冠を固定するひもの「掛緒」をあごの下で結び、ひもの両端を和ばさみで「パチン」「パチン」と二度、切り落とした。静寂に包まれる中、和ばさみの音だけが鋭く響き渡る、まさに成年式のハイライトであった。

 続いて悠仁さまは、両陛下の前に進み出て「本日は、成年式にあたり冠を賜り、誠にありがとうございました。天皇、皇后両陛下には、加冠の儀に御臨席を賜り、誠にありがとうございます」と、お礼の言葉を述べた。

 次に、秋篠宮ご夫妻の前に進み、「本日は、成年式を挙げていただき、誠にありがとうございます。成年皇族としての自覚を持ち、その務めを果たしてまいりたいと存じます」と、お礼や決意の言葉を述べた。両親は立派に成長したわが子を前に、感無量の面持ちだった。

 この後、成年の装束「縫腋袍」に着替えた悠仁さまは儀装馬車に乗り、皇室の祖先などをまつる宮中三殿に向かい、回廊をゆっくりと進んで拝礼した。

悠仁さまが述べた感謝の言葉

成年式の中心的な行事「加冠の儀」で、成年用の冠をかぶせられる悠仁さま(2025年9月6日)写真/宮内庁提供

 午後2時からは、皇居・宮殿「松の間」で天皇、皇后両陛下に挨拶をする「朝見の儀」が行われた。燕尾服を着た悠仁さまは天皇陛下に、

「本日の成年式にあたり、冠を賜り、天皇、皇后両陛下のご臨席の下、成年式を終えることができましたことに、深く感謝申し上げます。成年皇族としての責務の重さを自覚し、さらに勉学にいそしむとともに経験を積み、これまで賜りました御恩にお報い申し上げたく存じます。ここにお礼を申し上げます」

 と感謝の言葉を述べた。これに対し陛下は、「成年式を挙げられたことを心からお祝いします。これからは、学業に励まれるとともに、皇族としての務めを立派に果たされるよう願っております」と答えた。

 さらに、悠仁さまは皇后雅子さまにもお礼の言葉を述べ、雅子さまは、「今日は成年式おめでとう。これからもお身体を大切にされ、どうぞお元気にさまざまな経験を積まれますようお祈りしております」と、温かく励ました。

 その後、陛下が悠仁さまに「大勲位菊花大綬章」を授与した。悠仁さまは、赤坂御用地内の仙洞御所を訪れ、祖父母にあたる上皇ご夫妻に挨拶し、夜は、都内のホテルで開かれた両陛下や上皇ご夫妻、皇族や親族らとの私的な祝宴に秋篠宮ご夫妻、佳子さまと出席した。

 6日の成年式当日、一連の儀式を終え、悠仁さまは名実共に成年皇族の仲間入りを果たしたことになる。

 午後4時15分ごろ、秋篠宮邸に戻り、報道陣の取材に応じた悠仁さまは、記者から「本日は誠におめでとうございます」と声をかけられると「ありがとうございます」と答え、成年式の儀式を終えた感想と今後の抱負などについて次のように話している。

「まず、成年式を滞りなく終えることができ、安堵しております。これまで見守ってきてくれた、家族をはじめとするお世話になった方々に、深く感謝申し上げます。これから成年皇族としての自覚を持ち、皇室の一員としての役割をしっかりと果たしていきたいと思っております」

 また、秋篠宮ご夫妻は、悠仁さまが成年式を終えた感想などについて文書を発表している。

《本日、長男悠仁の成年式が滞りなく行われました。悠仁が小さかった頃のことを思い出しながら、成年の皇族の一人として公的な務めを果たす節目を迎えるときがきたことに深い感慨を覚えます。これまでの成長を支え、また心を寄せてくださった多くの方々の気持ちに深く感謝の意を表します。そして、悠仁が一つひとつの事柄を大切に思い、務めを果たしていくことを願っております》

 9月7日の産経新聞は、一面のコラム「産経抄」で成年式を無事に終えた悠仁さまについて、このように書いている。

《(略)宮殿「春秋の間」に掛緒の端を断つ音が響く中、将来は第128代天皇になられる悠仁親王殿下の凛としたお姿が印象深い。(略)皇室への親しみがさらに増した人も多いのではないか。皇統を守る意味への理解を、深める機会にしたいものである》

 2006年9月6日、悠仁さまが生まれたとき、佳子さまは11歳で、学習院初等科6年生だった。ちょうど夏休み中でもあり、ほぼ毎日のように紀子さまが入院している病室を訪れ、母親のそばで宿題をしたりして過ごしていた。

 幼いころから弟か妹が欲しかった佳子さまは、「弟が生まれたときは非常にうれしかったことをよく覚えております」と、成年会見で語っている。

 生まれたときから、悠仁さまをとてもかわいがっていた佳子さまは、この19年間、弟の成長を常に温かく見守り、サポートを惜しまなかった。それだけに、成年式で弟の晴れ姿を見た佳子さまもまた、喜びもひとしおだったことだろう。

 いつまでも仲の良い姉と弟でいてもらいたい。