
製作費25億円を投じた妻夫木聡主演の超大作映画『宝島』が、公開2週目にして上映回数が激減する事態になっている。
9月19日に全国378館で公開されたものの、公開3日間の興行収入は約1億6000万円。同日公開作品の人気アニメ『劇場版チェンソーマン レゼ篇』だけでなく、公開から3か月以上経つ『国宝』を下回る初登場7位と苦しいスタートとなった。
映画『国宝』公開2週目にして上映回数が半減
「『劇場版「鬼滅の刃」無限城編』や『8番出口』などロングヒット中の作品が多いことに加え、191分という長尺な上映時間が響き、ほとんどの劇場で大規模スクリーンを割り振られなかったことも痛かった」(映画ライター、以下同)
9月26日からは前作13億円超えのヒットとなった大沢たかお主演の『沈黙の艦隊』の続編や、阿部寛主演の『俺ではない炎上』などが公開されたことで、上映回数が半減する劇場が相次ぐことに。
「長尺作品のため都市部でも1日4〜5回ほどの劇場が多かったのですが、26日からはほとんどの劇場で1日2〜3回の上映に半減されています。超大作が2週目にして、ここまで上映回数を減らされるのは記憶にありません」
TOHOシネマズのサイトを見ると、新宿や日本橋は初週の4回から2回に。配給元の東映系列である新宿バルト9でも8回から5回に減少していた。
「公開3日間の興行収入や客足を見る限り、大コケと報じられた橋本環奈さん主演の映画『カラダ探し THE LAST NIGHT』に近い推移になっていますね。『カラダ探し』は最終興行収入が4.5億円ほどで着地しそうです。『宝島』に関しては舞台となった沖縄では満席状態が続いているとはいえ、このままいくと興行収入は製作費の1/4程度である6億円ほどで終わってしまう可能性も」
沖縄がまだ米国の統治下に置かれていた1952年から1972年の沖縄返還まで、史実も交えて混乱の戦後を懸命に生き抜いた若者たちを描いた意欲作である『宝島』。
映画レビューサイト『映画.com』の平均点は5点満点中3.6点。『Filmarks』は3.7点と、実際に鑑賞した人からの評価は決して悪くはないが……。
「これまであまり取り上げてもらえなかった戦後の沖縄にスポットを当ててくれたことに対して評価している人は多いものの、長尺がゆえ内容にまとまりがなかったり、沖縄方言のセリフの意味が理解できなかったという感想も散見され、評価が二分している状態。同じく長時間の『国宝』のようにクチコミで広がり、客足が伸びてヒットするというのも難しそうです」
実際に鑑賞した沖縄出身のライターは「豪華キャストで映像化してくれたことには感謝しかない」と語りつつ、不満点を上げる。
秋スタートの日曜劇場を危惧する声も
「1人でも多くの人に戦後の沖縄を知ってもらうためにも、2時間ほどにまとめて劇場に足を運ぶハードルを下げて欲しかったですね。また多くの人が指摘しているように、県外の人にも方言で話しているセリフを理解してもらえるように、字幕があった方が良かったのでは」

撮影期間は106日。ロケ地は全国43箇所にもおよぶというが、その撮影場所やエキストラを使ったシーンにも疑問が残ったという。
「コザの街を再現したオープンセットはかなり作り込まれていたし、県外で撮影したシーンでも素晴らしいところは多々ありました。一方で、重要なシーンである米軍機が墜落する宮森小学校の外観は当時の沖縄でもないような木造建築だったり(ロケ地は茨城県の廃校)、クライマックスで描かれたコザ暴動のシーンはエキストラの演技が酷すぎるなど、ちょいちょい冷める部分がありましたね」
『宝島』の苦戦で、主演を務める妻夫木の次回作を危惧する声も。
「10月スタートのTBS系ドラマ『ザ・ロイヤルファミリー』で、2年半ぶりに日曜劇場で主演を務めます。しかし前作『Get Ready!』は最終回6.4%と視聴率的には厳しい結果になりました。映画に続いてドラマもコケるようだと、“数字が取れない俳優”のレッテルを貼られてしまい、妻夫木さんを主演で起用したいという業界関係者は減ってしまうかもしれません」(テレビ誌編集者)
NHK朝ドラ『あんぱん』に出演するなど多忙なスケジュールを縫い、26箇所の全国キャラバンで主演映画をアピールしてきた妻夫木。後半戦で巻き返しなるかーー。