
9月30日の中日ドラゴンズ戦に先発した、読売ジャイアンツの“マー君”こと田中将大投手(36)が日米通算200勝の偉業を成し遂げた。
2007年4月18日に初勝利を飾って以降、プロ野球とメジャーリーグでそれぞれ122勝、78勝を挙げての200勝達成は、日本人メジャーリーガーのパイオニア・野茂英雄氏(57)、黒田博樹氏(50)、ダルビッシュ有投手(39)に続く史上4人目の快挙だ。
2021年にニューヨーク・ヤンキースから、古巣の東北楽天ゴールデンイーグルスに復帰した田中。本来ならば楽天ファンの前で200勝を飾りたかったであろうが、2024年11月に田中自身が「期待されてない」と自ら退団の道を選んだ。
同シーズンをプロ入り後初の0勝で終わった田中に、楽天がきびしい契約条件を提示したとされるが、評価されたのは成績面だけではなかったとも。
「楽天復帰から4年で20勝と高額年俸に見合ったパフォーマンスを披露できなかったのはもちろん、2023年オフに発覚した安楽智大(28)によるパワハラ騒動も少なからず影響があったと見られます。
安楽とは仲が良かったことから、田中も“加担していたのではないか”と疑われるも、Xにて《ハラスメントは許されない》と関与を否定。それでも《意識が甘かったと反省しています》と、チーム年長者としての責任に触れました」(スポーツ紙・野球担当記者)
メキシコリーグの名門に移籍
2023年11月30日、楽天球団はハラスメント行為を「事実」と認定して、安楽を自由契約選手として公示。事実上のクビ宣告だが、他球団からのオファーもなくNPB(日本プロ野球機構)から追われるように国外で新天地を求めたのだった。
安楽が身を寄せたのは、メキシコリーグの“ディアブロス”ことレッドデビルズ。メキシコシティを本拠地とする名門球団だ。2024年3月に契約を結ぶと、現横浜DeNAベイスターズのトレバー・バウアー投手(34)ともチームメイトとして1年間プレーした。
「メジャーの2Aレベルとも位置付けられるメキシコリーグですが、NPBでのプレー経験もある外国人選手も多く在籍しており、実際には日本と同等、3Aレベルの実力だと思います。中でも過去16度のリーグ優勝を誇るレッドデビルスは元メジャーリーガーも所属し、逆にここからMLB行きの切符を掴むケースも多々あります。
つまりレッドデビルズで結果を示せばメジャー移籍のチャンスがある。MLB公式サイトでは、わずかながらも選手情報が掲載されていますし、2年連続の胴上げ投手で今季はセーブ王も獲得している安楽投手。実は日本人で一番メジャーに近い投手なのかもしれません」
メジャー事情に精通するスポーツライターが明かすように、リーグ2連覇を果たしたレッドデビルズにおいて“守護神”を任され、2025年シーズンは47試合に登板して22セーブをあげてタイトル獲得。チーム、そしてファンからの絶大な信頼を得ているのが今の安楽だ。
そんな彼がリーグ優勝を決めた後、9月に配信されたメキシコの野球専門メディアのインタビュー動画に登場。スマホでの翻訳機能を使っていうのだろう、メキシコ人記者による辿々しい日本語での質問に朗らかに答えている。
高いレベルで野球ができている

ーーメキシコに来てから、どんな気持ちで過ごしてる?
安楽「まあ、すごい、メキシコは楽しい国なので、野球もファンのみんなも楽しいなと思いながら過ごしてます」
異国の地での食べ物などの生活、環境に合わせるのが大変だったという安楽だが、好きな食べものを聞かれると「タコス」と即答。メキシコ人記者もこれには笑顔だ。次にメキシコリーグのレベルを聞かれて、
「すごい、日本と比べても高いと思うし、やっぱりバッターはパワーもあるし、ピッチャーは球も速いし。すごい高いレベルで野球ができていると思います」
逆に日本のプロ野球については、
「プロフェッショナルとして勝つことは大事ですけど、こっちと同じように一つ一つのプレーでファンは喜んでくれていると思います」
楽天を退団して2年、パワハラ騒動を吹っ切った様子の安楽は、最後には「グラシアス」とスペイン語でインタビューを終えたのだった。
メジャーからお声がかかった際、助言を求めるのはやはり田中だろうか。