戦力外を通告された島内宏明(楽天公式HPより)

 プロ野球の2025年レギュラーシーズンも終盤、この時期の風物詩とも言える“人員整理”が各球団で始まっている。東北楽天ゴールデンイーグルスでも、よもやの“クビ”が言い渡されてーー。

 2011年ドラフトで楽天から6位指名を受けて入団以降、生え抜き選手として13年間にわたってプレーした島内宏明選手(35、以下敬称略)に、来シーズンの選手契約を行わない旨を通達、いわゆる戦力外通告がなされた。

 2019年には球団初となる、生え抜きとして開幕戦4番を努めて、2021年に96打点で打点王、翌年には161安打で最多安打のタイトルを獲得。主軸として楽天打線を牽引してきた、2013年の球団初の日本一を知る数少ない選手だった島内。

 2024年シーズンは不調に陥って40試合、今シーズンはわずか5試合(10月3日時点)の出場にとどまっているものの、まだ35歳、チームの“功労者”を切るには早いようにも思えるがーー。

《島内は自分で選んだ4年契約なのに問題発言をした過去があって、楽天から35歳で切られても仕方ないですね》
《あの発言どおり出ていけて良かったんじゃないか あれなければもう1年は見てたかもね》
《まあしゃーなし 島内の乱の印象悪すぎるし》

「できるならFAさせてほしい」

 SNS上では「寂しい」「残念」との声はあれども、一方で「仕方ない」とファンからも同情はされていない模様。やはり契約をめぐる「発言」が尾を引いているのか。

 2020年シーズン中にFA権を取得するも行使せず、オフに年俸1億2000万円(推定)の4年契約を締結した島内。生え抜きとして球団に骨を埋める姿勢を見せたことも評価されてか、球団側も大型契約を用意した格好だった。

 ところが契約2年目を終えた2022年オフ、島内は球団との契約交渉を終えて「できるならFAさせてほしい」と、異例となる契約年数の短縮を訴えたのだった。

元楽天の安楽智大、戦力外の島内宏明と阿部寿樹も参加した田中将大会(田中公式インスタグラムより)

 パ・リーグ球団を取材するスポーツライターによると、

「2年連続で打撃タイトルを獲ったことで“自分はもっと稼げる選手”と考え直したのでしょう。ですが、たとえ打てなくとも4年契約の期間中は1億2000万円が保証される契約なわけで、島内本人もこれに納得して判を押したはず。

 しかも“違うユニホームを着てプレーしたいという気持も出てきた”とぶっちゃけたものだから、ファンからも批判を浴びることに。この珍騒動はネット上で“島内の乱”として語られています」

「軽率な発言だった」謝罪するも

 当然ながらワガママが通じるはずもなく、球団から要望は突っぱねられ、すぐに本人も「自分の発言が軽率でした」と謝罪。騒動の影響があったのか、翌2023年、2024年シーズンを低調なパフォーマンスで終えるも、契約通りの1億2000万円を受け取るのだった。

「プロ野球選手は何十年も稼げる職業ではなく、特に島内はドラフト6位、プロ野球選手の“退職金”ともされる入団時の契約金も3000万円と少ないだけに、より高額なサラリーを求めにいきたかったのは当然の心理。

 ですが個人事業主でもあり、島内は自分の売り時を少々違えてしまったのかなと。本人は現役続行を希望とみられ、実際に代打の切り札としての力もあるはずですが、契約でゴネた印象が残るだけに手を挙げる球団があるかどうか」(前出・スポーツライター)

 プロ野球選手も“イチ社会人”だ。