
「9月29日より、日本の明治時代を舞台にした連続テレビ小説『ばけばけ』の放送がスタート。松江の没落士族の娘、小泉セツと夫のラフカディオ・ハーンこと小泉八雲をモデルにした物語です。ヒロインの高石あかりさんは『怪談』を愛する松野トキを演じ、お相手にはイギリス出身の俳優トミー・バストウさんが抜擢されました。英語教師の錦織友一役には、今年大ブレイクを果たした映画『国宝』で主演を務めた吉沢亮さんが出演します」(NHK関係者)
役者6年目の若手である彼女が、朝ドラヒロインを勝ち取った秘密はなんなのか。物語はここから始まった─。
「高石さんは小学6年生のとき、キッズコンテストで入賞したことがきっかけで、芸能界入りを果たします。あまり知られていませんが、2016年からダンスボーカルグループの『α―X's』に所属することに。期間限定の育成ユニットで活動していました」(スポーツ紙記者)
同じく「α―X's」で活動し、今では舞台やライブ活動を行う成瀬遙城が、当時を振り返ってくれた。
人の意見を否定しない“スポンジ精神”
「あのころは、レッスンを週に6日から、時には7日程度こなしていました。メンバーはみんな寮に住んでいたので、ずっと一緒にいましたね。彼女のダンスは、雰囲気や表情づくりがプロのダンサーに負けないレベル。チームの中でもずば抜けていました」
音楽ユニット「AAA」のライブにも帯同し、多忙な日々を過ごしていたという。デビューこそしていなかったものの、すでにプロ魂が備わっていたようだ。
「彼女は自分の考えがしっかりあるんです。ライブをよくしたいという思いから、議論が白熱することもありました。逆に、“スポンジ精神”みたいなところもあって、人の意見は否定せず、しっかり受け止めてくれるんです」(成瀬、以下同)

エキゾチックな顔立ちから、クールな印象が感じられるが、
「初対面から人懐っこい印象でした。人の懐に入るのがうまいんです。でも、言葉遣いがしっかりしていて、失礼がないように気をつけている。人の考えや気持ちをくみ取ることも上手でしたね。
寮には栄養士さんが常駐していて、栄養バランスに配慮した食事が提供されていました。それがきっかけで、彼女は食事の面でストイックになったんだと思います。徹底したカロリー計算を実践して、“午後にレッスンを控えているから、タンパク質を多めにとるようにしよう”とか調整していました。でも誰しも“あれが食べたい!”と思うときがあるじゃないですか。まだ食べ盛りの10代でしたけど、必死で我慢することもありましたよ」
ダンスボーカルか、それとも俳優活動か
2018年には、「α―X's」のメンバー全員が卒業することに。翌年から本格的に俳優業をスタートさせることになるが、高石は心が揺れていたという。
「グループを卒業したとき、このままダンスボーカルを続けたいのか、それとも俳優として活動したいのか、自分の気持ちがわからなくなることがあったそうです。しかし、俳優を志した、保育園のときを思い出し、役者への道を進むことにしたそうです」(映画誌ライター、以下同)
2020年には、不動の人気を誇るアニメ『鬼滅の刃』の舞台に出演。主人公の竈門炭治郎の妹である禰豆子役に抜擢された。そして2021年、日本中のアクションファンを虜にし、彼女を一躍有名にした作品に出合う。
「映画『ベイビーわるきゅーれ』では、プロの殺し屋である女子高生ちさとを“怪演”し、話題を呼びました。役作りのために、撮影以外の時間も、常にモデルガンを持って行動したそうです。人気に拍車がかかり、映画は3部製作されることに。その後、テレビ東京で連続ドラマとしても放送されました」
第3弾となった『ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ』は、高石の出身地である宮崎県の宮崎県庁でロケが行われた。公開後の反響を県庁に問い合わせてみると、
「映画を見て聖地巡礼がしたいという方からの問い合わせもありましたし、実際に県庁に足を運んでくださるファンの方も多くいらっしゃいました」
着実に人気を集めていき、2022年には、映画『追想ジャーニー』に出演。メガホンをとった谷健二監督は、『ベイビーわるきゅーれ』を見たことがきっかけで、高石に出演オファーをしたそう。
ニンジンを丸ごとかじって我慢

「演技だけが上手な方はいるのですが、これほど目を引いて、演じる楽しさが視聴者にも伝わる役者さんは、なかなかいないと思いました。そこで、藤原大祐さん演じる主人公の幼なじみ役をオファーしたんです。カメラを向けるとスイッチが入るのか、映画で見た彼女同様、画面いっぱいに生き生きと役を演じきってくれました」
高石は多くのインタビューの中で、芝居への愛を語っているものの、俳優活動を始めたばかりのころは悩みもあったそう。
「家に帰っても役が抜けず、ずっと泣き続けていたことがあったそうです。役の“悔しい”という気持ちを引きずってしまったんだとか」(前出・スポーツ紙記者、以下同)
しかし、仕事が軌道に乗り始め多忙になると、
「帰宅時に、疲れから空腹感に襲われたことがあったそうですが、ニンジンを丸ごとかじって我慢したという伝説があるんです。ストイックなのは仕事への姿勢だけでなく、美容や健康にもいえるようです」

映画監督が感じた役者としての才能
2024年、『動物園のふたり』と『Perfect・Nervous』の2つの短編から成るオムニバス映画『まどろみの彼女たち』に出演。監督の佐野大氏は、彼女の役者としての才能を感じたという。
「高石さんには『Perfect・Nervous』に主演していただきました。私は監督であるものの、現場では演出まで手が回らなかったんです。そのため、キャストさんには本読みの時点で、キャラクターをある程度つくってもらい、その後はお任せすることにしました。高石さんはセリフののみ込みや、キャラクターの理解度が最初から高いなと思いました。本読みの際、修正した記憶はなく、撮影時に高石さんが表現したものを、そのまま映像化しました。NGも出した記憶がなく、撮影をする前の段階で、動きや振る舞いをしっかり固めている印象を受けたんです」
朝ドラ主演の座は、2892人の応募者の中からオーディションで勝ち取った。この応募者数は、歴代3番目の多さだったそう。初回視聴率は16・0%とこれまでの作品と比べると少し物足りない気もするが、きっとこれから“大ばけ”してくれるはず!