更年期からの骨活レシピ 撮影/向村春樹

高齢になってからの骨折は、寝たきりや要介護になりやすいため、日々の暮らしの中で転倒に注意すること、そして食事に気をつけて骨量(骨密度)を保つことが大切です

 そう話すのは、女子栄養大学保健センター所長の石原理先生。健康診断での採血など、簡単にできる検査で「骨」の問題を見つけることは難しく、意識しづらい。

日々の食生活で骨を強くする

「特に女性は閉経とともに女性ホルモンが急激に減るため、骨の新陳代謝のバランスがくずれて骨量が低下しやすくなります。これを防ぐには、骨づくりに必要な栄養を食事からしっかりとり、適度な運動をすることが大事です」(石原先生、以下同)

 骨を丈夫にする食事の栄養といえば、カルシウムが思い浮かぶが、まずはエネルギーと骨の材料にもなるタンパク質を意識したい。

カルシウムだけでは骨は強くなりません。まずは一日に必要なエネルギーと栄養を十分にとることを心がけましょう。食事量が足りないと、低体重になりやすく、これも骨粗鬆症(こつそしょうしょう)のリスクになります

 体重が軽いと骨にかかる適度な負荷が少なくなり、骨量が低下しやすい。また、食が細くなる高齢者はタンパク質も不足しがち。

「骨の材料になるカルシウムはもちろんのこと、その働きを助けるビタミンやミネラルも重要です。例えば、ビタミンDは、小腸の中でカルシウムの吸収を助ける働きがあるので、カルシウムと一緒にとりたい栄養素です」

 ビタミンKにはカルシウムが骨に沈着するのを助ける働きがあるので、毎日とるのがおすすめ。

そのほかに、マグネシウム、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸も、丈夫な骨づくりに関わる栄養素です

骨をつくるために必要な栄養素

 骨を丈夫にする食事のコツは、3食時刻を決めて食べること。

「忙しいと朝食や昼食は簡単に済ませがちです。そんなときのために、いつものカルシウム補給アイテムとして、牛乳や豆乳などは用意しておきたいですね」

 10月8日は「骨と関節の日」、そして20日は「世界骨粗鬆症デー」。今月は「骨活」強化月間として、コツコツと骨を鍛え、育てていこう。

手軽でカルシウムも豊富!朝食におすすめ

目玉焼き甘酢ごまソース

 ごまのソースやキャベツを追加してカルシウムアップ

目玉焼き甘酢ごまソース 撮影/向村春樹

材料/1人分
・卵……1個(55g)
・サラダ油……小さじ1(4g)
甘酢ごまソース[ねり白ごま……小さじ2弱(10g)、米酢……小さじ2(10g)、砂糖……小さじ1(3g)、しょうゆ……小さじ1(6g)]
・キャベツ……70g
・ピーマン……35g

【作り方】
(1)Aを混ぜ合わせる。
(2)キャベツとピーマンは食べやすく切り、電子レンジ(600W)で2分加熱して火を通す。
(3)フライパンに油を熱し、卵を割り入れて目玉焼きを作る。(2)の野菜を器に盛り、目玉焼きをのせ、(1)のソースをかける。

鶏ささ身のレンジ蒸し

 レンジ調理で手軽に作れる主菜、味と栄養の決め手はサクラエビ!

鶏ささ身のレンジ蒸し 撮影/向村春樹

材料/1人分
・鶏ささ身……1本(70g)
・干しサクラエビ……5g
・ねぎ…… 20g
・酒……大さじ1(15g)
・塩……ミニスプーン1/2(0.5g)

【作り方】
(1)ねぎは斜め薄切りにする。ささ身はすじを除く。
(2)耐熱皿にささ身をのせ、上に(1)のねぎをのせてサクラエビを散らし、酒と塩をふる。
(3)ラップをかけて電子レンジ(600W)で2分加熱して火を通す。

サケ缶と大豆のおろしあえ

 カルシウム、ビタミンDも豊富なサケ缶は骨づくりの優秀食材

サケ缶と大豆のおろしあえ 撮影/向村春樹

材料/1人分
・サケ水煮缶詰……50g
・蒸し大豆……25g
・大根おろし……15g
・レモン汁……小さじ1/2強(3g)
・マヨネーズ……大さじ1/2(6g)

【作り方】
(1)サケ缶は缶汁をきり、大豆、大根おろしとともにボウルに合わせる。
(2)レモン汁とマヨネーズを加えてあえる。

主食と主菜を兼ねる昼食向きの一品

アサリのトマトスパゲティ

 アサリには骨づくりに必要な栄養がたっぷり

アサリのトマトスパゲティ 撮影/向村春樹

材料/1人分
・スパゲティ(乾)……90g
・アサリ水煮缶詰……50g
・ミニトマト……4~5個(50g)
・ピーマン……35g
・にんにく……5g
・ブラックオリーブ……10g
・オリーブ油……大さじ1(12g)
・赤とうがらしの輪切り……0.5g
・塩……ミニスプーン1(1g)
・パルメザンチーズ……10g

【作り方】
(1)アサリは缶から出して水けをきる。ミニトマトはへたを除いて半分に切る。ピーマンは縦半分にして斜めに細切りにする。にんにくはつぶしてみじん切りにし、ブラックオリーブは輪切りにする。
(2)フライパンにオリーブ油、にんにく、とうがらしを入れて中火にかける。香りが立ったらミニトマト、ピーマン、アサリ、オリーブを加えてさっと炒め、塩で味をととのえる。
(3)なべに湯を沸かし、水1 Lあたり小さじ1の塩を入れ、スパゲティを袋の表示どおりにゆでる。
(4)ゆで上がったスパゲティを(2)のフライパンに入れてさっと炒め、混ぜ合わせる。器に盛ってパルメザンチーズをかける。

サケとホタテ缶のどんぶり

 ビタミンDが豊富なサケに、刻み昆布や水菜でカルシウムも

サケとホタテ缶のどんぶり 撮影/向村春樹

材料/1人分
・生ザケ……80g
・塩……ミニスプーン1/2(0.5g)
・酒……小さじ1(5g)
・ホタテ貝柱水煮缶詰……40g
・水菜……80g
・白いりごま……小さじ2(4g)
・刻み昆布……2g
・ごはん……180g
・しょうがの甘酢漬け……20g

【作り方】
(1)サケは塩と酒をふって電子レンジ(600W)で1~2分加熱する。水菜はさっとゆでるか、電子レンジで1分加熱して水にとり、 5cm長さに切って水けを絞る。刻み昆布は、熱湯をかけてねばりを出す。
(2)しょうがの甘酢漬けを細かく刻み、いりごまとともにごはんに混ぜ込む。
(3)(2)のごはんを器に盛り、ほぐしたサケ、水けをきったホタテをのせて、水菜と刻み昆布ものせる。

焼きもち3種

 カルシウムが豊富な食材と組み合わせて、バリエーション豊かな一皿に

焼きもち3種 撮影/向村春樹

材料/1人分
・切りもち……2個(105g)
・オリーブ油……大さじ1(12g)
・シラス……10g
・明太子……20g
・大根おろし……50g
・大根の葉……30g
・塩昆布……5g
・白すりごま……小さじ1と1/2(3g)
・きな粉……大さじ2と1/2(15g)
・練乳……15g

【作り方】
(1)シラスに熱湯をかけ、明太子、大根おろしと合わせる。
(2)大根の葉は細かく切りさっとゆで、水けをしっかりと絞る。塩昆布、すりごまと合わせる。
(3)きな粉と練乳を混ぜ合わせる。
(4)もちをさいころ状に6等分に切る。フライパンにオリーブ油を入れて弱火で熱し、もちを入れて焼き色をつける。もち4切れずつに(1)、(2)、(3)をそれぞれからめる。

さば缶のお好み焼き

 骨ごと食べられるさば水煮缶は、カルシウムとビタミンDを同時にとれる

さば缶のお好み焼き 撮影/向村春樹

材料/1人分
・さば水煮缶詰……50g
・キャベツ……80g
・長芋……30g
・小麦粉……40g
・おろししょうが……1g
・卵……1個(55g)
・ねぎのみじん切り……20g
・サラダ油……大さじ1(12g)
・しょうゆ……小さじ1弱(5g)
・マヨネーズ……小さじ2(10g)
・削りガツオ……2g
・青のり……0.5g

【作り方】
(1)さば缶は水けをきる。キャベツは粗めに刻み、長芋はすりおろす。
(2)(1)、小麦粉、おろししょうが、卵、ねぎをボウルに入れてよく混ぜ合わせる。
(3)フライパンに油を熱して(2)を流し入れ、両面をじっくり焼いて火を通す。
(4)器に盛り、しょうゆとマヨネーズを塗り、削りガツオと青のりをふる。

タンパク質やエネルギーが十分「夕食」のメインに

豚しゃぶのごまだれがけ

 ごまだれと、ケールはカルシウム豊富

豚しゃぶのごまだれがけ 撮影/向村春樹

材料/1人分
・豚肩ロース薄切り肉……80g
・塩……ミニスプーン1弱(0.8g)
・こしょう……少量
・にんじん……30g
・玉ねぎ……50g
・ケール……70g
・サラダ油……小さじ1(4g)
A[ねり白ごま……小さじ1(5g)、酢……大さじ1(15g)、砂糖……小さじ1(3g)、しょうゆ……小さじ1(6g)]
スープ[ゆで汁……150mL、コンソメ顆粒……小さじ1/2(1.3g)、塩、こしょう……各少量、小ねぎの小口切り……適量]

【作り方】
(1)なべに水500mL、酒15mL、昆布0.5gと、にんじん、玉ねぎを入れて火にかける。沸騰したら弱火にして、豚肉を入れて火を通す。
(2)豚肉は、火が通ったら氷水にとって粗熱をとる。にんじん、玉ねぎはとり出して食べやすい大きさに切り、豚肉とともに皿に盛る。ゆで汁はとっておく。
(3)ケールは5cm長さに切って油で炒め、(2)の皿に盛り合わせる。
(4)Aを混ぜ合わせてごまだれを作り、豚肉にかける。
(5)ゆで汁は、あくを除き、コンソメ顆粒を加えて塩とこしょうで味をととのえ、小ねぎを散らしてスープとしてつけ合わせにする。

干しエビ入りマーボー豆腐

 マーボー豆腐に干しエビでカルシウムとうまみをプラス

干しエビ入りマーボー豆腐 撮影/向村春樹

材料/1人分
・もめん豆腐……120g
・豚ひき肉……50g
・干しエビ……1g
・にんにく、しょうが……各3g
・ねぎ……30 g
・ごま油……大さじ1 (12g)
・みそ……小さじ1(6g)
・豆板醤……小さじ1/2(3g)
・酒……小さじ1(5g)
・砂糖……小さじ1(3g)
・鶏ガラスープ……1/4カップ(50mL)
・かたくり粉……大さじ1/2(5g)
・水……大さじ1

【作り方】
(1)豆腐は3cm角に切り、干しエビは水でもどす。にんにくはすりおろし、しょうがとねぎはみじん切りにする。
(2)フライパンにごま油半量を入れて熱し、にんにく、しょうが、干しエビ、半量のねぎを加えて炒める。煙が出る直前でひき肉を加えて炒め、みそ、豆板醤、酒、砂糖を加えてさらによく炒める。
(3)豆腐を加えて味をからませ、全体に火が通ったらスープを加えて少し煮立てる。
(4)いったん火を止め、水溶きかたくり粉を回し入れてよく混ぜる。再び火にかけ、沸騰させてとろみをつける。
(5)器に盛り、仕上げに残りのねぎとごま油をかける。

サケとほうれん草のグラタン風

 ビタミンD豊富なサケとカルシウムの多いほうれん草は味も好相性

サケとほうれん草のグラタン風 撮影/向村春樹

材料/1人分
・生ザケ……80g
・塩……ミニスプーン1/2(0.5g)
・こしょう……少量
・玉ねぎ……30g
・オリーブ油……小さじ1(4g)
・ほうれん草(冷凍でも可)……50g
・しめじ……20g
・ピザ用チーズ……25g
・牛乳……大さじ1(15g)
・にんにくの薄切り……3g
・オリーブ油……小さじ2 (8g)
・パン粉……大さじ1(3g)

【作り方】
(1)サケに塩とこしょうをふって下味をつける。玉ねぎは薄切りにする。ほうれん草はゆで、しめじは石づきを除いて食べやすくほぐす。
(2)フライパンにオリーブ油小さじ1 とにんにくを入れて中火にかける。香りが立ったら玉ねぎを加えて炒める。玉ねぎが透き通ったら(1)のサケを入れて弱火で両面に焼き色をつける。
(3)グラタン皿に(2)を入れ、(1)のほうれん草としめじをまわりに入れる。オリーブ油小さじ2、牛乳、チーズをかける。いちばん上にパン粉を散らして、オーブンまたはトースターに入れ、 200℃で15分ほど加熱する。様子を見ながら、焦げ目がつきそうならアルミホイルをかけて表面を覆う。
(4)チーズが溶けて、全体に火が通ったらとり出す。

カルシウムをとりすぎると身体に悪い?

「カルシウムの過剰摂取は結石や便秘、腎障害などの原因になりますが、通常の食事では心配ありません。上限量は1日2500mg(牛乳2リットル以上)で、これだけの量を毎日摂取することはまずないからです。ただし、サプリメントやカルシウム薬を使用する場合は注意が必要で、1回500mg以上摂取しないよう気をつけ、基本的には食事からカルシウムをとるよう心がけましょう」(石原先生)

病態監修 石原 理先生●医学博士、女子栄養大学保健センター所長、女子栄養大学栄養クリニック所長、埼玉医科大学名誉教授。専門は産婦人科学、生殖医学。

栄養指導・献立 蒲池桂子さん●栄養学博士、管理栄養士。女子栄養大学栄養クリニック教授。個別対応型栄養相談などを展開している。

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料理作成/検見嵜聡美