
「手話や、聞こえないこと、聞こえにくいこと、自分とは異なるさまざまな背景や状況に対する理解が深まり、そして、誰もが安心して暮らせる社会になることを、誰もがより幅広い選択肢を持てる社会になることを、そして、これらが当たり前の社会になることを強く願っています」
弟の悠仁さまと一緒に世界陸上を観戦の佳子さま

秋篠宮ご夫妻の次女、佳子さまは9月14日、鳥取県倉吉市で開催された、全国の高校生が手話を取り入れた演劇やダンスなどの表現力を競う「第12回全国高校生手話パフォーマンス甲子園」の開会式に出席した。
そして、手話を使って冒頭のように挨拶した。大会では全国から予選を勝ち上がった16チームが手話を交えた演劇やダンス、合唱などを披露し、佳子さまは、大きな拍手を送っていた。
前日、鳥取空港に到着した佳子さまは、湯梨浜町にある障害者などが入所する救護施設「ゆりはま大平園」を訪れ、入所者と一緒にボッチャを体験した。ボッチャは、パラリンピックの正式種目で、2チームに分かれてジャックボール(目標球)と呼ぶ白い球に、それぞれのチームが赤と青のボールを6球ずつ投げたり、転がすなどして、いかに近づけるかを競い合う。
今年8月、母親の紀子さまは東京都内で開かれた「第10回全国ボッチャ選抜甲子園決勝大会」の開会式に出席している。佳子さまは、入所者に投げ方のコツを聞いたりしながらプレーし、投げ終わると、お互いに拍手をして交流を深めていた。
9月16日夜、佳子さまは弟の悠仁さまと一緒に、東京都新宿区の国立競技場を訪れ、「東京2025世界陸上競技選手権大会」の競技を観戦した。
2人で公的な活動に臨むのは、2019年12月に都内で開かれた「少年の主張全国大会」に出席して以来、約6年ぶりとなる。世界陸上は1991年以来、34年ぶりとなる東京開催で、国立競技場をメイン会場にして各競技が行われた。
ドット柄の白いワンピースの佳子さまと黒いジャケット姿の悠仁さまは、午後9時ごろ、貴賓席に到着し、男子走り高跳びや男子400メートルなどの選手たちに拍手を送り、熱心に競技を観戦していた。
笑顔を絶やさない佳子さまが悠仁さまに話しかけるなど、2人はとても仲の良い様子だった。
また佳子さまは9月12日、秋篠宮ご夫妻や悠仁さまと一緒に、東京・渋谷のセルリアンタワー能楽堂を訪れ、琉球舞踊を鑑賞した。悠仁さまにとっては、成年式に伴う一連の行事後、初めての公的な場への出席となった。
琉球舞踊は、琉球王国時代から続く沖縄の伝統芸能で、今回の公演は、戦後80年にあたり、「沖縄戦などさまざまな困難を乗り越えてきた琉球舞踊を、未来に紡いでいきたい」という趣旨で上演された。
佳子さまたちは、琉球舞踊重踊流二世宗家、志田真木さんや、母親で重要無形文化財保持者(人間国宝)の志田房子さんの舞台を鑑賞し、拍手を送っていた。終演後、志田さん親子と懇談した佳子さまは、「平和を願って上演されたことがとてもよく伝わる公演でした」と語ったという。
前回のこの連載で、《成年式で弟の晴れ姿を見た佳子さまもまた、喜びもひとしおだったことだろう。いつまでも仲の良い姉と弟でいてもらいたい》と書いたが、一緒に琉球舞踊を鑑賞したり陸上競技を観戦するなど、姉と弟は相変わらず仲むつまじい様子である。
悠仁さまの19歳の誕生日にあたる9月6日、悠仁さまの成年式が行われた。佳子さまは皇居・宮殿の「春秋の間」で行われた中心的な儀式の「加冠の儀」に参列したり、都内のホテルで開かれた祝宴に出席した。
佳子さまと悠仁さまを語る紀子さま

《こうして成年式と関連する諸行事を終えることができましたことに安堵しております。また、このように悠仁が一つ一つの務めを果たし、一連の行事が滞りなくおこなわれるように、準備し支えてくださった関係者のご尽力に深く感謝しております。
そして、悠仁が誕生してから成長していく日々をお見守りくださり、成年式を迎えたことへ祝意を寄せてくださった多くの方々に心から感謝いたします》
9月11日、59歳の誕生日を迎えた紀子さまは文書の中で、悠仁さまが成年式を滞りなく終えた感想をこのように綴られている。さらに紀子さまは、
《佳子が彼女らしい言葉を家族にかけてくれることが度々あります。たとえば、3月に悠仁が成年にあたっての初めて記者会見に臨む前には、自分の経験を思い出しながらアドバイスをしていました。親としてほほえましく、うれしく感じました》
と、佳子さまと悠仁さまの親しい様子も紹介した。
また、国内をはじめ、ブラジルを公式訪問するなど海外でも公的な活動に励んでいる佳子さまのことを次のように評価している。
《この一年も佳子は、国内そして海外でもさまざまな公的な活動がありました。これまで以上に、それぞれの務めに心を尽くして取り組んでいるように感じられ、心強く思っております》
《ブラジルであたたかくお迎えいただいたことにとても感謝していました。帰国後、佳子は訪問先での出来事やお会いした方々のことを話してくれました》
そして、佳子さまの結婚などについて、母親としての思いをこのように綴っていた。
《これまで国内外で重ねてきた経験を活かして、務めに励んでもらいたいと思います。そして彼女らしい生き方、幸せを心から願っています》
これまでも佳子さまは仕事に一つひとつ、丁寧に取り組んでいる。また、与えられた公的な活動がどれもとても楽しい様子だ。日本でも外国でも佳子さまは、行く先々で大歓迎されていて、それが大きな励みとなり、やる気や自信につながっているように思う。
愛子さま、悠仁さまといった若い成年皇族の代表として、佳子さまのこれからの活躍がさらに楽しみになってきた。
<文/江森敬治>