
日本の万博史上過去最多となる158の国と地域が公式参加し、4月13日に開幕した大阪・関西万博。来場者は右肩上がりで連日大盛況も、実際に訪れた人からは賛否両論の声が─。
そこで、大阪・関西万博に行った関東・近畿地方在住の男女200人にアンケートを実施。万博のよかったところはどこですか?
キティちゃんが人気の理由に!?
まずは、万博のコレが「よかった」ランキングから。
5位は日本館。

アンケートには「木が多く使われ温かいイメージだった」(大阪府・54歳・男性)、「火星の石もあり楽しめた」(大阪府・56歳・男性)、「藻のリサイクルプロセスがよかった」(神奈川県・68歳・男性)とのコメントが集まり、32票(男性18/女性14)を獲得した。
「自然界には藻があって、実は生活に役立っている。キティちゃんをストーリーテラーとして難しい内容を語らせ、日本の取り組みをわかりやすく表現してみせた。これまで万博の日本館は堅苦しい展示が多かったけど、今回はこれまでになく柔らかな内容になっていたと思います」
と言うのは、万博マニアの二神敦さん。国内外合わせてこれまで165種の博覧会を訪れ、今回の大阪・関西万博にもほぼ連日足を運ぶ、万博の生き字引だ。
「女性ウケがいいのはもちろん、会場にはキティちゃんのピンバッジやぬいぐるみをつけているおじさんもいるなど、全世代から愛されている。キティちゃん人気の強さもあり支持を集めました」
続いて、二神さんと上位ランキングを見てみよう。
4位は実物大ガンダム像。

「想像以上に精巧につくられていた」(東京都・48歳・男性)、「ガンダムのファンなので」(大阪府・64歳・男性)、「これが一番の目的でした」(大阪府・57歳・女性)と、33票(29/4)を獲得。「GUNDAM NEXT FUTU
RE PAVILION」に併設された静止像で、こちらは男性からの支持が目立った。
「横浜やお台場でも飾っていたので今さらどうかなと思ったけれど、関西の方はあまり見ていなかったのでしょう。わかりやすいフォルムとポーズで、海外の人のハートもつかんでいました」(二神さん、以下同)
像の高さは約17メートルで、定番の写真スポットに。パビリオン自体の評価も高い。
「USJやディズニーランドのアトラクション並みに精度が高く、半年間の展示ではもったいないくらい。こうした施設は著作権の関係でたいてい写真やムービーは一切禁止というけれど、ここは撮影も可。
なぜなら、スマートフォンで撮ったところでリアルを超えることはできないからだそうです。現物を見にわざわざ万博に行く意義があるというもの」
グランプリに輝いた人気マスコット
3位はドイツ館(パビリオン)。
「キャラクターを持って説明を聞きながら回るのが楽しかった! キャラクターもめちゃくちゃ可愛くて最後に坂で転がして返すところが面白かった」(東京都・42歳・女性)、「わりと早く入場できた」(三重県・34歳・女性)と、35票(22/13)を獲得。
「2000年のドイツ・ハノーヴァー万博もそうでしたが、ドイツの展示って毎回まじめなつくり。けれど今回は可愛いキャラクターを使い、大人から子どもまで楽しく学ばせた」
ドイツ館で迎えるのが、人気マスコットの「サーキュラー」。万博キャラクターランキングでは、ミャクミャクはじめ約30体のパビリオンキャラクターの中から見事グランプリに輝いている。
「ピンバッジやぬいぐるみにしても、サーキュラーグッズは置けばすぐ完売してしまう。そのサーキュラーちゃんが話すということで、本来ならば難しいことも、ちょっと聞いてみようかな、面白いんじゃないかと惹きつけた。その見せ方が巧み」
2位はフランス館。

「ディオールのドレスが圧巻」(大阪府・51歳・女性)、「入ってすぐにヴィトンの部屋に圧倒された」(大阪府・56歳・女性)、「日本人、こういうの好きでしょという感じだが、好きだよ!って感じだった」(大阪府・36歳・女性)、「夫はつまらないと言ったけれど私はオシャレな感じがいいなと思った」(大阪府・56歳・女性)と、37票(19/18)獲得。
「これはズルい(笑)。みんなの好きそうなものを好まれやすいように展示して、芸術性と絡めて出していた。あれだけスタイリッシュに見せられたら、みんなキュンとなってしまう」
ヴィトン、ディオール、シャネルと、パリが誇るハイブランドのブースをずらりと展示。キュンとしたのは日本女性だけではないようで。
「今回の万博は当初フランスも立候補していて、万博のスタッフの多くが次はフランスがいいと言っていたんです。なぜかというと、フランスで働きたい、パリに住みたいから。今回万博でスタッフとして働いている各国の人たちも、やはりフランス館には行きたいと言う。日本人だけではなく、パリは世界の憧れなんだということでしょう」
大阪・関西万博の象徴的な存在が1位に

1位は大屋根リング。
「思った以上に大きく美しかった。コレなしでは成功はなかった」(大阪府・36歳・女性)、「実際に見るとすごい。あと少しで解体されるのはもったいない」(大阪府・56歳・女性)、「壮大な建築に目を見張った」(大阪府・65歳・女性)と、77票(44/33)獲得。大阪・関西万博のシンボルで、テレビのニュースでもおなじみに。
「開幕前は『単なる丸い建築物だろ』なんて言われていたけれど、いざ実物を見てみたらスケール感が全然違う。リングそのものもきれいだし、上から眺める景色がやはり素晴らしく、特に夜景は見事」
スカイウォークの高さは約12メートル、全周約2キロ。「最大の木造建築物」として、今年3月4日にギネス世界記録に認定された。万博終了後は一部を残すことが決定した。
「これまでも万博後に残されたものはあって、太陽の塔(1970年大阪万博)がそう。あと愛知万博(2005年)のグローバル・ループという木造の建造物が一部残されています。ただ数年たつとだいぶ劣化してしまい、朽ちていく様が残念だった。栄光を極めたままの姿で記憶に残しておきたい、という気持ちもありますね」
大阪・関西万博の閉幕は10月13日。「思っていたより楽しかった」という声も多かった今回の万博。最新技術やデザインだけでなく、そこに込められた人の思いが共感を呼んだのかもしれない。
<取材・文/小野寺悦子>