
フリーアナウンサーの羽鳥慎一(54)がMCを務める朝の情報番組『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)が放送スタート10周年にあたり、9月29日から番組内容や出演者をリニューアル。
『モーニングショー』は“シニアの楽園”
5年連続平均視聴率同時間帯トップ、8年連続年間平均視聴率民放トップ(ビデオリサーチ調べ、関東地区)を独走する理由を深掘りすべく、漫画家でテレビウォッチャーのカトリーヌあやこさんに話を聞いた。
「まず外せないのは、羽鳥さんのバランス感覚の良さ。日テレ時代のバラエティー経験が豊富で、芸人さんを立てながらの回しがうまく、この番組でもコメンテーターを立てて、自分が引っ込むのが上手。ウザ絡みする宮根(誠司)さんとは真逆で(笑)」
そして、午前中の時間帯にテレビを見ることができるのは、
「主に専業主婦か、リタイアしたシニア層。その時間枠の並びを見てみると、NHK『あさイチ』は家事の裏ワザや更年期障害など主婦に向けたテーマが多く、日テレ『ZIP!』は曜日パーソナリティーにSnow Manの阿部亮平さんなど、エンタメ路線に振っている。
TBSの『ラヴィット!』はお笑い要素が強く、フジテレビ『サン!シャイン』はMCの谷原章介さんの“うっかり失言”があったり、武田鉄矢さんのうんちくが朝からちょっと面倒くさいなと(笑)。
『モーニングショー』は、そんな主婦ネタ、エンタメ、バラエティーにまったく興味のない残りの視聴者をすべて受け止めている、いわば、“シニアの楽園”番組なんです」(カトリーヌさん、以下同)
“キーパーソン”は玉川徹
特にテレ朝はシニア層を受け止めるのが上手で、『相棒』や『科捜研の女』などドラマの作り方もまさにシニア層向け。
「『モーニングショー』のSNSを見ていると、政治や社会についてなど物申したい視聴者が多いですね。あと、大谷翔平さんが嫌いな人も(笑)。人気やブームに簡単に乗っからず、大谷の話題はフジテレビに任せとけよ! それよりもなぜ大の里の優勝をやらないんだ! と。そういう視聴者層に最適な話題やテーマを提供するのがとてもうまい番組です」

例えば町内会トラブルや火葬場の火葬料金の値上げ問題特集など「ご近所まわり」のテーマが多いのも魅力。
「ハッシュタグなどで自分たちの町内会について熱く語って盛り上がっています。思わず自分たちが語りたくなるテーマが多いのも特徴ですね」
そして、何よりも外せない“キーパーソン”が、レギュラーコメンテーターの玉川徹。
「何かコメントするたびに、玉川支持派も『違うぞ玉川!』とツッコむ不支持派も、どちらも惹きつけて離さないんです!」
コメンテーターなどに芸人を起用しないのも視聴者層にとってきちんとテーマに取り組んでいる姿勢に見えるのではないか、とカトリーヌさん。
これからは、視聴者の中心であるシニア層の心をつかむ番組づくりがテレビ生き残りの道。『モーニングショー』の快進撃は、まさにそのお手本となっているのではないだろうか。
取材・文/住田幸子