1997年公開の伝説の映画『北京原人Whoareyou?』と妻夫木聡

 興行通信社が、10月3日~5日の『劇場公開映画 週末観客動員ランキングTOP10』を発表。製作費25億円かけた妻夫木聡主演の超大作『宝島』(9月19日公開)が、早くもベスト10圏外となってしまった。

28年前公開の迷作『北京原人』との共通点

3日に公開された水上恒司さん主演の『火喰鳥を、喰う』が6位、全米No.1に輝いた『ワン・バトル・アフター・アナザー』が8位に入ったこともあり、ランキングから押し出された形です。舞台となった沖縄での客足も鈍くなっているため、来週には上映を打ち切る劇場も出てくるのでは」(映画サイト編集者)

 10月5日までの興行収入は製作費の1/5ほどの約5億円と、苦戦を強いられている同作。鑑賞した人からの評価は悪くないものの、上映時間が191分という長尺なことがネックになり、二の足を踏んでいる映画ファンも少なくないようだ。

 このままでは令和最大の大赤字作品になりそうだが、映画ライターは「28年前に公開された“迷作”と共通点が多い」と指摘する。

同じ東映が手がけ、当時としては破格の製作費20億円を投じた1997年公開の映画『北京原人 Who are you?』(以下、北京原人)を彷彿とさせる点が多いんです。『宝島』は邦画実写作品1位の記録を塗り替えそうな『国宝』と興行収入歴代2位になっている『劇場版「鬼滅の刃」無限城編 第一章 猗窩座再来』の煽りを受けていますが、『北京原人』は同じ日に『タイタニック』が公開されたことも苦戦した理由です

 科学技術によって現代に甦った北京原人の親子と、人間たちの心の触れ合いを描いたSFファンタジー作品である『北京原人』。

 今年Netflixでリブート版が公開されたことでも話題の『新幹線大爆破』など、多くのヒット作品を生み出した佐藤純彌監督がメガホンを取り、緒方直人や北大路欣也など実力派俳優が顔を揃えたものの、ツッコミどころの多い“迷作”として今なお語り継がれている。

 その“迷作”とは舞台にも共通点が。

『宝島』は戦後から日本返還前の沖縄を描いていますが、『北京原人』は北京原人が入ったカプセルが沖縄周辺の島に不時着したことでストーリーが展開されます。興行収入も同じく製作費の1/5程度の4.5億円で終わっているので、沖縄を舞台にした東映の超大作は上手くいかないのかもしれません」(映画ライター、以下同)

 また「ともに公開前後に作品の関係者がやらかしている」という。

北京原人役を演じた俳優は公開まで伏せられ、サブタイトルにちなみ“北京原人は誰か?”キャンペーンを大々的に展開したんです。しかし出演した俳優が公開前にトーク番組で正体を明かしてしまうミスを起こしたことで、盛り下がってしまいました。『宝島』は公開初日に大友啓史監督が、辛口レビューをXに投稿したユーザーに対して“ふーーん”とリプを送ったことで、批判が殺到。作品に水を差すことに

 公開から28年経った今も、「カルト映画」の代表作として名前が上がる『北京原人』。興行収入としては苦戦している『宝島』だが、25億円を投入し今まで取り上げられてこなかった戦後の沖縄を描いた意欲作として、令和を代表する伝説の映画として語り継がれるかもしれない。