
自身の学歴詐称騒動で招いた不信任決議案が全会一致で可決され、辞職ではなく議会解散を選択した静岡県伊東市・田久保眞紀市長。あらためて投開票が執り行われる伊東市議会議委員選挙は2025年10月12日に公示、投開票は19日に迫るがーー。
田久保市長が「本物と信じている」とする1枚の「卒業証書」を、議会や百条委員会に提出すれば解決するはずの騒動は、市議選で計上される費用6300万円もの市民の血税が注がれることに。
自身のXで《伊東市政の改革と刷新の為、そして地域を守る為に引き続き全力で尽くして参ります》と、議会解散を正当化し、市長続投に意欲を見せる田久保市長に勝算はあるのだろうか。
田久保市長が“サバイバー”になるには、彼女を支持する“田久保派”議員が7人以上当選する必要がある。新たに選出される20名の市議会において、再び不信任案を再可決するためには3分の2以上の議会出席、賛成が条件であることから、逆に7人が採決を欠席すれば失職を免れる算段だ。
つまり現職・新人にこだわらず、7人を味方につければ田久保市長の“勝ち”となる。
“現職”の市議を味方に取り込めるか
「しかし、簡単ではありません。2023年9月の市議選では候補者30人で“20人”の定数を争いましたが、最下位で滑り込み当選した田久保市長も700票以上を集めた。当選ラインを同等数とするならば、7人で5000票以上を集める必要があります。
彼女には“田久保マダム”と呼ばれる熱心な女性支持層があるといいますが、それだけで票数は足りるはずもない。いかに市民の理解を得られるか、そして“現職”の市議を味方に取り込めるかが続投のカギとなります」
とは全国紙・社会部記者の解説だが、現実はきびしい。静岡放送によると、立候補予定者30人にアンケート調査を行ったところ、「田久保市長を支持するかどうか」に対して「支持しない」が24人、「支持する」が1人との結果を示している。
また新議会であらためて不信任決議案が出された場合も、25人が更迭に「賛成」と答えたことで、田久保派に転ずる候補者は現時点で少ないようだ。

「これだけ全国から批判を受けている田久保市長です。今回のアンケートはもちろん、選挙運動でも表立って“私は田久保市長を支持します”と叫ぶ候補者はいませんよ。しかし、メガソーラー計画に限っては田久保市長と同様、“反対派”の候補者が多数を締めているといいます。
ここに“勝機あり”とばかりに伊東市のみならず、他の地方でも計画されているメガソーラー建設問題を訴えてアピールしている田久保市長。選挙運動では触れずとも、秘密裏に口説かれた“隠れ田久保派”が紛れている可能性もゼロではない」(前出・記者、以下同)
市民に与えられた猶予は7日間
もしも候補予定者30人のうちに“隠れ田久保派”が潜んだとして、頭を悩ませるのは投票権を持つ伊東市民だ。しかも今回は地方選挙だけに、公示から投開票までの選挙期間はわずか「7日間」。市民に与えられた選別猶予は7日間しかない。
「衆院選は12日間、先の参院選は17日間と長期の選挙期間が設けられた国政選挙に比べて、市長選や市議選で定められているのは7日間。伊東市議選の候補者は30人と見られますが、2023年の統一地方選で、東京都の大田区では定数50名のところ82名が立候補する大混戦にもなっています。
大変なのは有権者です。土日祝日も含めた7日間で全候補者を知る、“隠れ田久保派”かどうかを選別するのは難しく、それこそ学歴が事実かもわからずに聞こえのいい公約に流されて投票してしまうかもしれない。伊東市民にとって気が抜けない7日間になりそうですね」
最初に潔く認めて謝罪していれば、まだ“田久保派”市民も残っていただろうが。