自民党の船田元衆院議員

 自民党のベテラン・船田元衆院議員(71)が10月14日、自身のFacebookで展開した持論について釈明に追い込まれた。しかし、その釈明すら新たな批判を呼び、「船田元氏の提案は国民の感覚から完全に乖離している」として大きな波紋を広げている。

高市氏の辞任を提案する船田氏

「事の発端は、12日に船田氏が更新したFacebookへの投稿でした。自公連立が解消された事態を受け、政局の打開策として『高市総裁に一度退いていただき、早急に総裁選挙をやり直して、新しい総裁のもとで、連立の枠組みをはじめとした政権構想の立て直しを模索すべきだ』と主張したのです」(全国紙記者、以下同)

 この“高市氏の総裁辞任→再度の総裁選実施”をして新総裁による体制立て直しという“総裁選やり直し論”は、党内外で波紋を広げ、SNS上では即座に厳しい批判が殺到した。

《フルスペックでやった総裁選の結果をなんだと思ってるんだ》
《そんなに高市さんが嫌なら自民党を出て行けばいい》
《日本は民主主義国家だってこと、この人わかってるのかな》

 船田氏が主張した、総裁選の結果を覆すという異例の提案は、有権者の間に「民主主義を軽視している」という強い不信感を生むのは当然の反応だろう。

 この大炎上を受けて船田氏は14日に、党本部で開催された両院議員懇談会のあと報道陣の取材に応じ、自身の発言が「ちょっと言葉が足りず、誤解を与えたかもしれない」と釈明した。

「船田氏は、自分がFacebookで提案したのは高市氏の“総裁選やり直し”が唯一の選択肢ではないと弁明。それはあくまで党と政権が『本当にどうにもならない、完全にストップする状況になった場合の究極の選択だ』と説明しました。そして、真っ先に進めるべき道として改めて提案したのが、石破茂首相の“退陣撤回案”だったのです」

 船田氏は、その“退陣撤回案”すら国民に受け入れられていないことに気づいていないようで――

国民の感覚から完全に乖離

 船田氏はたしかにFacebookで、以下のように記している。

「石破総理に退陣を撤回してもらい、当面はこれで国会を動かし、企業・団体献金の改革も含めた目先の懸案を処理し、その上で公明党との話し合いをもう一度やり直せないだろうか」

 いきなり総裁選をやり直すのではなく、まずは石破首相が続投して党の混乱期を乗り切るための時間稼ぎと再交渉の準備をすべきで、それでも難しければ高市氏の辞任と総裁選やり直しも選択肢のひとつだと説明している。

 しかし、これも国民の批判を鎮めるには至らなかった。

《石破がダメだから総裁を交代しようとしたのわかってる?》
《総裁選の結果を無視しようとしてるんでしょ どこが誤解なのだろうか》
《石破を続投させて公明を説得とか、アホなこと言うな》

「事実、今回の総裁選は、石破政権に対する不信感から総裁を交代するという流れの中で行われた経緯があります。その石破首相を続投させるという提案自体が、問題の先送りだと国民に受け止められたのでしょう。船田氏の提案は国民の感覚から完全に乖離していると言わざるを得ません」

 さらに、この政局の混乱に拍車をかけたのが、自民党内の“内輪揉め”だという。

三原が“姉貴”と慕う野田聖子議員

「高市新総裁の誕生後、同期当選組である野田聖子衆議院議員が、音声配信メディアVoicyで高市氏批判とも取れる発言をしたのです。野田氏は公明党の連立離脱の背景に『自民党のトップが公明党にアンチ発言が多かった』という内部事情を暴露。この発言は、野田氏と高市氏が“初の女性首相”の座を争ってきたライバル関係にあるため、ネット上では“ただの女の嫉妬”だと冷ややかに見られています」

 自民党執行部は、公明党との関係について「至らなかった」と謝罪したものの、ベテラン議員による異例の石破続投論とライバルによる暴露が相次ぎ、党の危機は深まるばかり。

 与党内の足並みが乱れる中、10月21日に召集される臨時国会での首相指名選挙に向けて、野党も“一本化”への動きを活発化させている。

 21日の“選挙”はどういう結果になるのか、目が離せない。