日本サッカー協会・第15代会長の宮本恒靖(JFA公式サイトより)

 日本サッカー協会(JFA)のガバナンスと倫理観に、再び厳しい視線が注がれている。

JFA技術委員長の影山雅永氏が有罪判決

 10月7日、JFA技術委員長の影山雅永氏が、フランス滞在中に児童ポルノを閲覧した疑いで現地当局に拘束され、有罪判決を受けていたとして解任された。

 このニュースが報じられると、SNS上では批判が殺到。

《こんな輩が上層部にいるから協会が腐る》
《選手に倫理教育なんて説得力ゼロ》

 といった投稿が相次いだ。

 しかし、問題は影山氏の一件だけではない。ファンの多くは、協会が抱える“構造的な倫理の欠如”に疑問を向けている。

2023年、日本代表に初招集された佐野海舟(公式インスタグラムより)

 批判の矛先が向かったのは、性加害疑惑を抱えた佐野海舟選手の代表復帰だ。佐野選手は2024年7月、東京都内のホテルで知人男性2人とともに30代女性に性的暴行を加えたとして不同意性交の容疑で逮捕された。

 同月下旬に釈放され、翌月には不起訴処分となったが、「不起訴=無罪」ではない。スポーツ紙記者はこう指摘する。

「被害者が実在し、示談や証拠不十分による不起訴のケースは少なくありません。
起訴されなかったから問題なしとするのは、非常に危うい判断です」

 それでもJFAは、「不起訴処分となり刑事責任を問われていない」「相手に謝罪し、話し合いが済んでいる」と説明し、佐野選手を日本代表に選出。森保一監督も「再チャレンジする道を与えるほうがいい」とコメントした。

「倫理観ゼロ」体質はどこまで

 この対応に、SNSでは再び批判の声が上がった。

《影山は即解任なのに、佐野は代表? ダブルスタンダードすぎる》
《被害者がいる可能性のある性加害のほうが深刻だ》
《倫理観がどこにも感じられない》

 一連の騒動からスポーツジャーナリストはこう語る。

「JFAは性加害疑惑はセーフ”という姿勢なのか。被害者や女性の人権への理解が浅く、説明責任も不十分。形式的な処分で幕を引こうとする体質が、信頼を損ねているのです」

 影山氏の解任で、とりあえず一件落着――。そう考えている限り、JFAの信頼回復は遠い。透明性の欠けた調査体制、曖昧な処分基準。いずれも、ガバナンスの根幹を揺るがす問題だ。

 今後JFAに求められるのは、透明な内部調査制度の確立や明確な倫理規定と処分基準の策定といった抜本的な改革である。

 SNSでの《こんな輩が上層部にいるから、協会が腐る》という声をJFAが真摯に受け止められるかどうかが、サッカー界の未来を左右する。