平成〜令和の“トンデモドラマ”として人気を博していた『奪い愛』シリーズが9月、『奪い愛、真夏』で、その幕を閉じた。
「トンデモドラマと聞くと駄作を思い浮かべる人もいるかもしれませんが、そうではないんです」と語る、ドラマに詳しいライターの津田春子さんに「がっかりした」トンデモドラマを解説してもらった。
トンデモドラマには放送タイミングも重要?
「篠田麻里子がただただ気持ち悪かった」(千葉県・40歳)、「狙いすぎで笑えなかった」(大阪府・52歳)
3位はトンデモドラマの巨匠(?)、鈴木おさむ脚本の『離婚しない男─サレ夫と悪嫁の騙し愛─』がランクイン。妻(篠田麻里子)の不倫を目撃した主人公(伊藤淳史)が、娘の親権を得るために証拠集めをするという離婚ブラックコメディー。
当時、夫婦ゲンカらしき音声が流出し物議を醸した篠田を、不倫妻にキャスティングするなどのノリが不評だったようで─。
「みそぎをするには早すぎるキャスティングでしたし、エロシーンなども体当たりでこなしていましたがなんだか痛々しくて見ていられない女性が多かったのでは?」(津田さん)
愛すべき登場人物がいてこその、トンデモドラマなのだろう。続いたのは、
「シリアスなのかトンデモなのかどっちつかず」(山梨県・44歳)、「吸血鬼とか殺人事件とか盛り込んで意味不明」(長野県・39歳)
視聴者にストレスを与えた?
2位は高畑充希、田中圭主演の秘密を抱える夫婦のラブサスペンス『unknown』('23年・テレビ朝日系)が票を集めた。自分が吸血鬼である秘密を抱える週刊誌記者・こころ(高畑)と、20年前に起きた一家惨殺事件の犯人(井浦新)の息子・虎松(田中)が猟奇連続殺人に巻き込まれていくというストーリー。トンデモドラマにカウントされる作品ではないはずだが─。
「次々に謎めいた伏線をちりばめておいて、とっちらかったまま終わりましたよね。麻生久美子さん、吉田鋼太郎さん演じる吸血鬼夫婦や井浦さんなど脇のキャストは良かっただけに残念」(津田さん)
どっちつかずは視聴者にストレスを与えてしまう?
1位は『先生を消す方程式。』
不名誉な1位に選ばれたのは、『先生を消す方程式。』('20年・テレビ朝日系)。
「登場人物全員バカ」(静岡県・30歳)、「前半と後半のトーンが違いすぎ」(宮城県・45歳)
名門私立高校の成績優秀な3年D組では、生徒たちが担任教師を追いつめるゲームを楽しんできた。だが新しい担任・義経(田中)が一向につぶれる様子を見せないため、生徒たちは彼を消そうと考える。
前年に『おっさんずラブ』で一躍スターとなった田中圭が選んだ同局の次作だけに、期待は高かったが─。
「4話で田中さんが生徒たちに殺されるのですが、6話で蘇って生徒たちに復讐を始めるんです。そして恋人の静(松本まりか)と2人でゾンビと化し、森をさまようというラスト。これだけ聞くと意味がわからないと思うのですが、ドラマを見ていても意味がわからなかった」(津田さん)
田中圭出演作品がワン・ツーフィニッシュとなった。
ランクインしたトンデモ脚本家・鈴木おさむは今秋から放送の『102回目のプロポーズ』(フジテレビ系)を最後に脚本家を引退する。評価はいかに?
