ディーン・フジオカ 撮影/吉岡竜紀

 「絵本は物心ついたときから身近にありましたし、ある程度大人になってからも触れ合う機会はありました。僕自身も曲や歌詞を書いたり、映像や脚本を作ったりしますが、絵本もビジュアルやワードがあったりと、表現方法として共通する部分がありますし、すごく興味深いなって気づかせてもらいましたね

子どもたちは僕のことをユーチューバーだと思っていたんです

 俳優、アーティスト、映画プロデューサーなど多彩な才能を発揮するディーン・フジオカ。そんな彼が初となる翻訳絵本『ありさんシェフの しょうたいじょう』を発売

 原作はイタリアで刊行され、世界各国と地域で翻訳されている話題作。物語は、偉大なありさんシェフが動物たちを晩さん会に招待するが、席順をめぐってひと苦労。

 それぞれのゲストのことを考えて席順が決まったかと思いきや、最後にはあっと驚く展開が待っていて……。

 原書にはないディーン考案のある“しかけ”や、読み聞かせしたくなるような言葉の数々が、色彩豊かなイラストとともに綴られている。

「ただ翻訳するのではなく、どうやって一つひとつの言葉を紡いで面白くなるよう再構築していくか。最初、これは一筋縄ではいかないなって思いました。子どもたちが探す喜び、見つける楽しみをちりばめたり、親御さんも一緒になって“これはどういう意味だろうね”って話しながらひもといていける。原作から少し逸脱して、絵本の中に僕なりのいろんなアミューズメントを詰め込めたらと思って作業しました

 自身も3人の子の父親であるディーンは、本作を「子どもたちにも読んでほしい」と話す。

昔、子どもたちは僕のことをユーチューバーだと思っていたんですよ(笑)。ミュージックビデオだったり、僕の作品とネットを介して触れることが多かったので。今は成長して、父親がどんな職業で何をしているか理解していますし、親子で共有できるものも増えてきました。その一つにこの絵本がなったら、自分としてはすごく有意義なことだなと思います

 現在は、ドラマ『ちょっとだけエスパー』(テレビ朝日系)に出演するなど、多忙な日々を送っている。

撮影が始まるとなかなかできませんが、なるべく身体は動かしたいと思っています。普通に走るのでもいいですし、ストレッチとか乗馬でもなんでもいいんです。メンタル的にもすごく楽になりますし、身体と向き合うことを大事にしたいなって思っています

 もしオフがあったら、密かにやってみたいことがあるそう。

円谷英二さんに影響受ける

「今、お腹がすいているのもありますが、美味しいごはんが食べたいです(笑)。中でも、僕は小麦粉が食べられないので、グルテンフリーの美味しい小籠包が食べたいですね。食べられるお店がなかなかないんですよ。僕が監修して一緒に開発してもいいくらい(笑)。

 この絵本でも、生き物ごとのバックグラウンドが違っても、食を通じてつながれる素晴らしさが描かれています。食事の時間を誰かと過ごすことを含めて、オフを有意義に過ごせたら、明日も頑張れる感じになると思います

子どものころ好きでした!

『スヌーピー』シリーズの絵本は小さいころ身近にあったみたいです。親から、僕がスヌーピーのタオルが好きで肌身離さず持っていたという話を聞きました(笑)。あと、僕が生まれた福島県須賀川市は、特撮の神様と呼ばれた円谷英二さんの出身地なんです。『ゴジラ』とか好きでしたし、空想の力を身近に感じていて、影響を受けたのを覚えています

『ありさんシェフの しょうたいじょう』著:ダリオ・ポモドーロ 絵:ロレンツォ・サンジョ 訳:ディーン・フジオカ 定価:1870円(税込み) 発行:講談社