豆乳パックで栽培するラディッシュ 撮影/林ひろし 栽培写真協力/ぽたろう

 10月の値上げラッシュもあり、食費節約が厳しい昨今。そこでおすすめなのが簡単&エコな家庭菜園。「家にあるものを活用して、野菜が簡単に作れます」。人気ベランダ菜園ユーチューバーが、初心者のための「容器栽培」を伝授! 葉物がおいしいこれからの季節がまさに始めどき♪

十分おいしい野菜が収穫できる

 ビニール製の傘袋で長ねぎを育てるSNS投稿が大バズリした「ぽたろう」さん。初心者にもわかりやすく細かな疑問にも答えてくれるYouTubeチャンネル「ぽたろうの家庭菜園HACK」も登録者11万人超の人気ぶりだ。

親が市民農園を利用していたこともあり、子どものころから野菜が育つのを見るのが大好きで。野菜がたくましくけなげに成長していく姿を見ると、勇気をもらえるんです」(ぽたろうさん、以下同)

 保存袋や牛乳パック、カップ麺の空き容器を利用する「容器栽培」も実践している。とっぴな方法に思えるが、場所を取らずプランターの費用も不要、家にある容器を利用してすぐできるなど、メリットがたくさんあるそう。

初心者の方の家庭菜園へのハードルを下げたいと思って編み出しました。注意点はいくつかありますが(下記参照)、十分おいしい野菜が収穫できますよ

 家庭菜園=夏のイメージが強いが、実は初めてトライするには秋がベストシーズン。

春から夏は虫がつきやすいし、野菜が病気になりやすく、実は育てるのが難しい。それで挫折して家庭菜園から遠ざかってしまう人も多いんです。その点、秋は虫が少なくて病気にもなりにくいので、初心者にはもってこい。ただ、それでも虫が来ることもあるので、排水口用ネットをかけるといった工夫は必要になります

 種袋の裏面には種のまき方や適温など、参考になる情報が書かれているので、始める前に確認しておこう。べランダがなかったり、より手軽さを求めるなら、キッチンで室内栽培する方法も。

基本は風通しと日当たりがいい場所に置いてほしいですが、リーフレタスやラディッシュなどは半日陰でも育つため、窓ガラス越しでも生育可能です。葉が混み合ったら、心を鬼にして『間引き』すると元気に育ちますよ。間引いた葉はベビーリーフとして食べても

 肝心のおいしさは?

採りたてを食べられるのが最大のメリット。甘みがあってみずみずしくて、特に葉物やスナップエンドウは驚くほどのおいしさです

 食品高騰は今後も継続の予感。家計の助けにもなり、日々の楽しみにもなる家庭菜園を、ぜひ始めてみては。

容器栽培のコツ

1・裏に排水穴をあける

裏に排水穴をあける 撮影/林ひろし 栽培写真協力/ぽたろう

水が容器の底にたまると根腐れするので、裏側には穴をあけよう。袋は折り曲げ、マチもしっかりとって。

2・ 水やりはこまめに

プランターより土の量が少ないため保水力が低いので、乾燥に注意。毎朝の水やりを徹底し、追肥で生育を促して。

3 ・光と風を当てる

光不足は植物の生育を妨げ、風通しが悪いとカビが発生することも。室内の場合、窓辺など適度な空気の流れがある場所に置くのが理想的。


ジッパー付き保存袋でリーフレタス

・何度も何度も収穫できるコスパ最強野菜

害虫がつきにくいキク科に属する。茎が伸びてしまい収穫時期が短い春まきに比べ、秋まきなら5か月以上楽しめる。

種まき時期 3~11月 発芽適温 15~20℃ 生育適温 15~20℃ 栽培環境 半日陰

ジッパー付き保存袋で栽培するリーフレタス 撮影/林ひろし 栽培写真協力/ぽたろう

基本手順
 ジッパー付き保存袋(Lサイズ)に培養土を六分目まで入れて口を閉じ、横にした袋の側面に排水穴をあける。反対面を上にしてカッターで切り開き、切った部分を外側に丸めてテープやホチキスで固定する。

 パラパラと種をまいたら種が隠れる程度に土をかけ、1日1回水やりを。3~4日で発芽するので間引きし、1か月後には追肥を。高さ20~30cmになったら葉の外側から収穫していくと、何度も収穫が可能に。

傘袋で長ネギ

白くてやわらかい可食部分を増やすには「増し土」がカギ

 寒さ暑さには強いのが特徴。売り物のように白い部分を増やすには、成長に合わせて根元を土で覆う「増し土」が必須。
種まき時期 2~6月、9~10月 発芽適温 15~25℃、生育適温 15~20℃、栽培環境 半日陰

傘袋を使って栽培する長ネギ 撮影/林ひろし 栽培写真協力/ぽたろう

基本手順
 苗の本数×2の傘袋を用意し、半数の底を切って筒状にし、カットしていない袋に重ねる。培養土を25cmほど入れて底に8か所ほど排水穴をあける。余った袋の上部を下方に寄せておく。

 育苗もしくは購入したねぎ苗を袋に移し、袋を立てかける。ねぎが成長してきたら、下に寄せておいた筒状の袋を引き上げて伸ばし、その分、上から培養土を足す。

豆乳パックでラディッシュ

省スペース&半日陰でOK キッチン栽培向きの野菜

 二十日大根という別名のとおり生育が早いのが特徴。根の張る方向を調整しないと実(球)が膨らまないので注意。

種まき時期 通年、発芽適温 15~25℃、生育適温 15~20℃、栽培環境 半日陰、または室内の窓際

豆乳パックを使って栽培するラディッシュ 撮影/林ひろし 栽培写真協力/ぽたろう

基本手順

 豆乳パック(1l)容器の注ぎ口が下に向くよう立てる。周囲を少し残して上部分(パック側面)を切り取り、八分目まで培養土を入れる。深さ1cmほどのまき溝を作り、1cm間隔で種をまき、1~2cmほど土をかけ、水を与える。

 4日ほどで発芽するので、双葉の向きが隣同士で重ならないように間引きを。根元の赤い部分が地表に出ないように土を根元に寄せる。

ペットボトルで水菜

一年中収穫できる優秀選手水不足には気をつけて

日当たりも気にしなくてよく、どの季節でもよく育つ、初心者にもうれしい野菜。種まき時期をずらせば繰り返し収穫できる

種まき時期 通年、発芽適温 20~25℃、生育適温 15~20℃、栽培環境 半日陰

ペットボトルを使って栽培する水菜 撮影/林ひろし 栽培写真協力/ぽたろう

基本手順
 500mlのペットボトルの上1/3あたりを水平にカットし、排水穴を5か所あける。容器の八分目まで培養土を入れ、種を5粒まき、1cmほど土をかぶせる。本葉が出始めたら元気な1本だけ残して間引きし、虫が来る場合は排水口用ネットなどをかぶせ防虫対策を。

 複数のペットボトルをホチキスで固定し、種まきのタイミングをずらすと繰り返し収穫が可能。1か月ほどで青果店で売っているサイズに成長する

取材・文/遊佐信子

ぽたろう著『傘袋でジッパー袋で!最高においしい野菜が1年中、楽しく作れる本』(KADOKAWA)

ぽたろうさん ベランダ菜園家。初心者でも手軽にできる家庭菜園の方法を伝える。著書に『傘袋でジッパー袋で! 最高においしい野菜が1年中、楽しく作れる本』(KADOKAWA)。