「せんちゃんが芸人仲間を家に呼んでお酒を飲んでいたのが、バーを始めたきっかけなんです」と語るのは、お笑いコンビ「クールポコ。」の小野まじめ。五反田の路地裏で「せんbar」というバーを相方のせんちゃんと一緒に経営している。
芸人とバーの比率は「8対2」
「最初はせんちゃんのお母さんが“経営なんてできるの?”と心配していたんです。でも“相方の小野と一緒にやるから”と説得して、コンビでの経営が始まりました」(小野まじめ)
バーを始めるにあたり、初期費用はどれくらいかかったのだろうか?
「居抜き物件だったので、新しく購入したのが冷蔵庫くらいで、テーブルやイスなど、内装をそのまま使っている部分もあります。初期費用は200万円もかかっていないと思います」(せんちゃん)
普段、芸人として活動をしているクールポコ。現在、芸人とバーとの仕事の比率はどれぐらいなのだろうか。
「7対3か、8対2ぐらいですかね。波はあるけど、やはりお笑いのほうが忙しいですよ(笑)」(小野まじめ)
お酒が好きなせんちゃんは週に2、3回お店に立つ。一方、お酒がまったく飲めないという小野は、売り上げの管理やバイトの給料の振り込みなど、バーの裏方として管理業務を行っている。給与については、バーではせんちゃんのほうが多めに、お笑いでは小野が多めにすることで、結果として平等にするのが、コンビを仲良く続けていく秘訣だという。
後輩バイトには「お笑い優先」で
実際どれくらい儲かっているのかと聞いてみると、「やめましょうよ」と苦笑いする小野に代わって、せんちゃんが答えてくれた。
「まぁいいんじゃないの。ひと月の売り上げは中古の軽自動車が1台買えるぐらいじゃないですかね……確証はないですが(笑)」
売り上げだけ見るとけっこうな額だが、実はほとんどバイトに渡しているという。ふたりより稼いでいるバイトもいるそうだ。バーで働いているバイトは芸人の卵がほとんど。後輩たちがお笑いに挑戦しながらも、なんとか食べていけるようにしっかり稼げる場所を提供していけたらと、思っているそう。
「芸人の予定って直前で決まったりするので、急にバイトを休むとクビになることもあります。自分たちが若手のころにバイトで苦労したので、後輩には同じ思いをさせないように、このバーではお笑いの仕事を優先してもらっています。僕らは、お笑いのほうで食べていけるから。後輩たちが思いきり働いてくれるおかげで助かっているので、最大限還元するように意識しています」(小野まじめ)
メインのお客さんは仕事終わりのサラリーマン。常連も多いとのことだが、この先どんな人に来てほしいか聞いてみた。
「石油王とか大歓迎。お店のお酒全部飲んじゃうみたいな(笑)。職業関係なく、仲良くなって一緒に楽しく飲めるような人が来てくれたらうれしいですね」(せんちゃん)
これからの野望などを聞くと、困ったように笑うふたり。自然体で気まぐれに営業しているようだが、後輩芸人への思いには熱さが垣間見えた。若手芸人と五反田のサラリーマンの居場所をこれからも守り続けてほしい。
