今年9月、六星占術ブームの立役者である占い師・細木数子さん(享年83)の生涯を、Netflixがドラマ『地獄に堕ちるわよ』として2026年より世界同時配信すると発表した。俳優・戸田恵梨香が細木さん役を演じる。
Netflixといえば、これまでにもアダルトビデオ監督・村西とおるの波瀾万丈な人生を切り取った『全裸監督』、ビートたけし(北野武)の半生を描いた『浅草キッド』、ダンプ松本の悪役レスラーとしての軌跡を振り返った『極悪女王』など、著名な日本人の人生を見応えたっぷりに描いてきた。それだけに、希代の占い師の表と裏をどのように料理するのか期待は高まる。
そこで、『週刊女性』は全国の30歳以上70歳以下の男女500人を対象に、「ドラマ化してほしい日本人」をアンケート。ドラマ化された『OLヴィジュアル系』などのヒット作で知られる漫画家・かなつ久美先生の解説とともに、“本当に見たい”ドラマを考えます!
名だたる面々の中、20代の俳優に票が
10位は生ける伝説、歌手で俳優の美輪明宏。
「偏見と戦った歴史を見たい」(埼玉県・55歳・男性)、「吉沢亮さんなどうっとりするような現代の美男子に演じてもらいたい。まさに映画『国宝』のように、ストーリーだけでなく、俳優の映像美に惹かれるような作品に」(茨城県・42歳・女性)といったように、歴史と若き日の美貌の映像化に期待が集まった。
9位は俳優の芦田愛菜。20代前半の若さながら名だたるメンツを抑え、多くの声を集めた。
「人生何周目なんだろうと思う。どんな育ち方をしたら、あんなに素敵な女性になれるのか知りたい」(兵庫県・45歳・男性)など感嘆の声が相次いだ。
「芦田愛菜さんは芦田愛菜さんにしか演じられないと思うので、本人が演じてほしいし、なんなら未来の姿も演じてほしいですね」(かなつさん、以下同)
8位には、上皇后美智子さまの物語を「見たい」という声が。
「初の民間出身の皇太子妃ということで、ご成婚への葛藤など見てみたい」(東京都・60歳・女性)、「いたわり合う両陛下の夫婦愛も見たい」(兵庫県・67歳・女性)といった声が寄せられた。
7位は90歳を過ぎた今も現役アーティストのオノ・ヨーコ。
「ジョン・レノンはある程度知っているが、彼女についてはほぼ知らないから興味がある」(北海道・64歳・男性)、「その当時の日本人にしては発想や行動が奇抜なので、どのような家庭でどんな教育を受けてきたのかをドラマで見たい」(石川県・57歳・女性)。かなつさんもこう語る。
「夫婦の物語より、オノ・ヨーコさんに興味があります。その人生ドラマを見たら、今でもお元気な理由がわかるような気がします」
4位は「今、最もドラマ化しにくい人」
現役つながりではないが、6位に入ったのはプロサッカー選手の三浦知良。「10代でブラジルに渡ったとき、セリエAに移籍したころ、そして今の話までやってほしい」(大阪府・49歳・男性)、「尊敬している。ドラマを見たら自分もまだまだ現役を続けられそう」(埼玉県・56歳・男性)と、元気にあやかりたいという声が目立った。
5位は元気の塊だったこの人。プロレスラーのアントニオ猪木さん(享年79)だ。
「ダンプ松本さんのドラマが話題になりましたが、プロレスファンとしてはまずはアントニオ猪木さんの物語を見たいです」(長野県・35歳・男性)、「どう作っても面白そう。政治家時代にスキャンダルを暴露されるなど決して聖人君子ではなかったところがよい」(鳥取県・63歳・女性)。かなつさんはこう分析する。
「プロレスに興味がない私でも知っている人ですからね。頑張ってプロレスラーになった……という過程より、人気者としてどんな人生を送ったのかを知りたい人が多いのでは」
4位は衝撃的な事件で命を奪われた安倍晋三元首相(享年67)が。ただし、彼に対しては「岸信介から安倍晋三まで、統一教会との癒着関係をドラマ化し、再発防止を喚起してほしい。今、最もドラマ化しにくい人だからこそ見てみたい」(静岡県・58歳・女性)、「はたして善人なのか、悪人なのか。そして、夫人はやっぱり天然なのか」(鹿児島県・63歳・男性)といった手厳しい意見が集まったことも記しておきたい。
とはいえ、4位にランクインしていることに鑑みれば「賛否が集まるような人物は、それだけ引きが強いということ」と、かなつさんは解説する。
「安倍さんを英雄視する人もいれば、敵視する人もいる。だからこそ、きれいごとだけで終わらない、きちんと表も裏も描くドラマとして作らないといけないと思いますね」
「お騒がせ夫婦」の物語が見たい!
お待ちかね、トップ3の発表だ。3位は音楽家の坂本龍一さん(享年71)。
「世界的な音楽家だから日本以外でも話題になるのでは。でも、私生活はミステリアスだったので真相を見せてほしい」(東京都・49歳・女性)、「デヴィッド・ボウイや忌野清志郎など、有名な俳優やミュージシャンとの絡みも見たい」(京都府・47歳・男性)など、才能あふれる彼の実態を知りたいという声が多数集まった。かなつさんはため息まじりにこう語る。
「世界レベルの才能があって、周囲は公私共にすごい人たちばかり。そして、あれだけの美男子でしたからね。神格化されるのもわかります。『全裸監督』や『極悪女王』みたいな、泥臭さは一切ないドラマになりそうです」
2位は樹木希林さん(享年75)で、多くの意見が内田裕也さん(享年79)との夫婦の物語を見たい、というもの。
「どう転んでもユニークなエピソードだらけのドラマになりそう。あんな夫と絶対離婚しなかったのだから、実際は樹木さんのほうがとんでもなかった気がする」(山口県・60歳・女性)、「樹木さんの、全身がんだったのに女優をやり続けていたときの日常も知りたい」(山形県・55歳・男性)、「裕也さんの東京都知事選出馬とか、映画監督のエピソードとか、樹木希林の女優魂とか、教育方針とか。リクエストしたいくらい」(東京都・53歳・男性)などなど、有名なエピソードだからこそ映像化を見たいという声が多数寄せられた。かなつさんが語る。
「内田さんと樹木さんと、1つの事柄を双方の視点で捉えた別々のドラマを作ったら面白いのでは? 同じく、7位のオノ・ヨーコさんとジョン・レノンでも見てみたいですね」
ミステリアスな巨匠
そして堂々たる1位だったのは、漫画家の鳥山明さん(享年68)。『Dr.スランプ』や『ドラゴンボール』を読んできた一部の世代だけに支持されるかと思いきや、老若男女が「見たい!」と反応した。
「ほとんどメディアに出ない方だったので、プライベートがわからなくてミステリアス」(神奈川県・37歳・女性)、「どのような人生を送り、大ヒット漫画の誕生へとつながったのか興味がある」(北海道・35歳・男性)といった「謎が多いので知りたい」という声が多数上がった。
「私も漫画家ですが、『どうやったらこんな絵が描けるの?』と思うほど、鳥山先生の漫画は神がかっています。才能と努力、どちらもあると思うのですが、坂本龍一さんしかり、超一流の人のバックボーンは知りたいですよね」
かなつさんは今回のランキング結果をこう総括する。
「動画配信サービスが普及したことで、いろいろなドラマが増えました。特殊な職業や犯罪抑制の啓発的な作品、どうしてそんなことになったのかという検証的な作品もあります。ドラマの可能性がますます広がるのではないでしょうか」
皆さんは、どんな人物、どんな事件をドラマ化してほしい?
取材・構成/我妻弘崇
