魅惑の夜パフェ注目スポット

 関東など都市圏では2016年ごろから、締めパフェや夜パフェを食べられる店が増えていったようだが、定着したのは、じつはコロナ禍の影響があると、パフェ評論家の斧屋さんは説明する。

お酒が飲めなくても夜の時間が楽しめる

「コロナ禍で、さまざまな営業制限がかかるなか、パフェに活路を見いだしていったバーや飲食店があるのです。もともとお酒のグラスはパフェグラスとしても使えるものが多く、カクテルから着想したパフェもあります。

 野菜やスパイスを使ったレシピは、さすが料理人のアイデアです。パフェの中身がかなり多様化してきました」(斧屋さん、以下同)

 現在は、季節の果物や野菜を使い、数週間や月替わりでメニューをかえる店がほとんどだという。

 夜パフェが支持される理由について斧屋さんは、次のように分析する。

夜パフェの登場で、お酒が飲めない人も、お酒を飲める人と同じ時間を楽しめるようになりました。夜の時間を贅沢に過ごせるようになったわけです

 しかし、ラーメンほどではないにしても、夜(締め)にパフェを食べることに罪悪感が残るかも。

昨今のパフェは、かつてのようなクリームたっぷりの甘さ主体のものではなく、ワインのジュレなどお酒の苦みだったり、スパイスやハーブのふくよかな香りだったりと、甘みだけが際立っているものではありません。

 もちろんカロリーはそれなりにありますが、一日の自分へのご褒美として認められているようです

何も気にせず、「ご褒美」を楽しむ

 一日に何軒も食べ歩くことがあるという斧屋さん。せっかく、パフェを食べるなら、カロリーなど何も気にせず楽しんだほうがよさそうだ。

やっぱりパフェはテンションの上がるデザートです。自分をねぎらうご褒美にしようと決めたら、店を予約しておくと安心して食べられます

 夜パフェブーム、首都圏を中心に、まだ続きそうという。

パフェの店が増える、あるいはレストランがパフェを出すという流れは、今後も続きそうです。またパフェとお酒、パフェとお茶というペアリングを提案する店も、まだまだ増えるでしょうね

 今夜は、いつも頑張っている自分のためにパフェを食べて帰りたい!

beyond the box -Tower side cafe-【東京・浜松町】

 2種のブドウのハーモニー

beyondthebox-Towersidecafe-「シャインマスカットと巨峰のパルフェ」(3100円)

 オリジナル料理やスイーツを楽しめるカフェ。大きなバスケットに見立てた「シャインマスカットと巨峰のパルフェ」(3100円)は11月上旬まで。次回はリンゴのパルフェを予定している。パルフェの提供時間は平日15時〜、土日祝日は11時〜。

beyondthebox-Towersidecafe-

Instagram:https://www.instagram.com/beyond_the_box.tokyo/
[パフェの値段の目安:3000~4000円]

AZOTO DAIKANYAMA(アゾート 代官山)【東京・代官山】

 白ワインと合わせて

AZOTODAIKANYAMA「フィエルテ・アメール」(2850円)

 愛知県産食材を使ったイタリアンバルのパフェは「ペアリングワインに合う」「フルーツや野菜を生かした」もの。「フィエルテ・アメール」(2850円)は、愛知県西尾産抹茶の苦みとうまみを楽しめる。酸味を補うソムリエ厳選ドイツの白ワイン・リースリングと合わせて。

AZOTODAIKANYAMA

Instagram:https://www.instagram.com/azoto_italian_restaurant/
[パフェの値段の目安:3000円前後]

column1:北海道・札幌が「夜パフェ」発祥の地

 北海道・札幌で食事の締めにパフェを食べる文化に「シメパフェ」という名がつき、注目が集まるようになったのは約10年前。

 札幌には以前から「ミルク村」「バーラーペンギン堂」「ぴーぷる・ぴーぷ」など、アイスにお酒をかけたり、夜にパフェを提供したりする店があり、そうした文化を観光資源として売り出すことに成功。

 夜に食べるパフェが定着し、他の地域にも波及していった。いまや全国で「夜パフェ」を提供する店舗が見られる。

パティスリー&カフェデリーモ 東京ミッドタウン日比谷店【東京・日比谷】

 ゆずキャラメルが味わい深く

パティスリー&カフェデリーモ「和栗」(3168円)

「ショコラティエが作るパティスリー」がコンセプト。今秋は、なめらかなマロンクリームとキャラメル風味のブロンドチョコレートを重ねた「和栗」(3168円)がお目見え。ゆずキャラメルの爽やかな香りと甘酸っぱさが、栗の味わいを存分に引き立てる。

パティスリー&カフェデリーモ東京ミッドタウン日比谷店

URL:https://de-limmo.jp/pages/hibiya
Instagram:https://www.instagram.com/de_limmo/
[パフェの値段の目安:1800~3500円程度]

CAFE FLIGHT LOUNGE(カフェ フライトラウンジ)【東京・下北沢】

 15種類の食材と5つ以上の食感

CAFEFLIGHTLOUNGE「紫黒葡萄パフェ」(3780円)

 日本の食文化をパフェとして発信するカフェ&バー。陰陽五行思想をもとに、味の正五角形を表現したパフェは、15種類の食材、5つ以上の異なる食感など、論理的かつ感覚的。今秋は黒葡萄、黒茄子、黒茶、と黒で統一した「紫黒葡萄パフェ」(3780円)が登場。

Instagram:https://www.instagram.com/cafe_flightlounge/
[パフェの値段の目安:3500円前後]

EMME【東京・渋谷】

 食後にぴったりのサイズ感

EMME「和栗と洋梨の金木犀なパフェ」(1980円)

 パティシエの作るデザートとソムリエの選ぶワインを楽しめる店。「和栗と洋梨の金木犀なパフェ」(1980円)は、旬の手摘みの金木犀に、ジューシーな洋梨とホクホクした和栗を組み合わせた夜パフェ。食後に楽しめるサイズ感を手頃な値段で提供している。

EMME

URL:https://emme-wine.com/
Instagram:https://www.instagram.com/emme.wine.bar/
[パフェの値段の目安:2000~3000円]

column2:純喫茶の甘いデザートから、様々な味を楽しめるパフェへ

 昭和40年代以降、純喫茶などで提供されてきたパフェは、ある程度共通した素材で構成されるものが多かった。生クリームが盛られ、バニラアイスが入り、缶詰の果物が飾られ、チョコレートソースがかかるというような甘いデザート。

 それに対して現代的なパフェは、アイスの種類も様々で、ハーブやスパイス、お酒も入るようになり、甘さも控えめ。味も見た目も多種多様になっている。

TRUM【東京・浅草橋】

 甘味+酸味や風味を楽しんで

TRUM「和栗と洋梨のパフェ」(1800円)

 一人でも気軽に立ち寄れる隠れ家的な店。旬のフルーツや季節のイベントをテーマに、月替わりでパフェを提供。写真は「和栗と洋梨のパフェ」(1800円)。フルーツやお酒で仕上げているので、甘みだけでなく酸味や風味も楽しめる。食事後にもするりと食べられる。

TRUM

URL:https://trum.shopinfo.jp
Instagram:https://www.instagram.com/trum_swd
[パフェの値段の目安:1800円〜]

RoytoSilo【東京・歌舞伎町】

 サバランにはきのこだしが!

RoytoSilo「Abientot(アビアント)」(2200円)

 繁華街・歌舞伎町で、本格パフェが味わえる店。2週間ごとに変わる限定パフェは、旬の果物と野菜を掛け合わせたユニークなもの。秋のパフェ「A bientot(アビアント)」(2200円)は、柿のとろける甘さに、きのこだしがしみ込んだサバランを組み合わせている。

RoytoSilo

Instagram:https://www.instagram.com/roytosilo/
[1パフェ+1ドリンク制、パフェの値段の目安:3000〜3500円]

parfait&bar PETTEGOLA【名古屋・中区】

 一期一会の出会い

parfait&barPETTEGOLA「Apollo」(左・2420円)「甘いささやき」(右・2420円)

「一度作ったパフェは二度と作らない」というオーナーのこだわりは、季節の果物をメインに、ハーブやスパイスで香りの層を作ること。写真は、ベリーをふんだんに使用した「Apollo」(2420円)とマンゴーに山椒が香る「甘いささやき」(2420円)。

Instagram:https://www.instagram.com/parfaitbar_pettegola/
[パフェの値段の目安:2300〜2500円]

column3:ファミレスなら季節のパフェを気楽に楽しめる

 ファミレスの多くはパフェを提供していて、サイズの違うパフェをいくつか用意していることが多い。シチュエーションに応じたサイズを、手頃な値段で食べられるのがファミレス・パフェのいいところ。

 友達とおしゃべりしながら、子どもの世話をしながら、気楽に食べられるのもいい。イチゴに始まり、桃、マンゴー、ぶどう、栗など、一年を通じて季節の果物のパフェと出会える場だ。

SWEETSBAR KEY【大阪・中央区】

 複雑な味の演出を楽しむ

SWEETSBARKEY「トナカイパフェ」(左・2400円)

 パティシエールが作るパフェとドリンクのマリアージュを楽しめる店。2か月ごとにかわるパフェは全5種類。「トナカイパフェ」(2400円)は、イチゴにコーヒーやマスカルポーネ、赤ワイン漬けグリオットチェリーを組み合わせて、多層的な味を演出している。

SWEETSBARKEY

Instagram:https://www.instagram.com/sweetsbar.key/
[パフェの値段の目安:2200~2600円]

ラルシュ/パフェと焼き菓子の店【福岡・博多区】

 リンゴのムースがポイント

ラルシュ/パフェと焼き菓子の店「パフェポム」(2300円)

 季節ごとに3、4種類のパフェを楽しめる、本格スイーツカフェ。スペシャリテ「パフェポム」(2300円)は、上にのったリンゴそっくりのムースがポイント。リンゴにライム、フランボワーズ、シードルで後味さっぱり。週末3日間限定営業。

Instagram:https://www.instagram.com/parfait_larche/
[パフェの値段の目安:2400円前後]

column4:コンビニで買ったり、自分で作ったり「おうちパフェ」を楽しむ

 コンビニでは、冷凍パフェとチルドデザートのパフェの2種が販売されており、いつでもどこでもパフェを楽しめるのがうれしい。チルドデザートのパフェとは、ムースやクリーム、ゼリーなどが縦構造で層になっている、パフェと名づけられたデザート。

 また、「アイスの実」やチョコスナック、ゼリーやプリンなどをいろいろ積み上げれば、手作りパフェのできあがり。家族で一緒に作れば、盛り上がること間違いなし!

※金額は税込みです。
※掲載情報は9月30日時点のものです。現在は変更の可能性があります。特に、パフェの内容、価格は季節や仕入れ状況によって変わります。

教えてくれた人……斧屋さん●年間400以上のパフェを食すパフェ評論家、ライター。東京大学文学部卒業。パフェの魅力を多くの人に伝えるために、SNS、雑誌、ラジオ、トークイベント、テレビなどで活動中。パフェの魅力を探求するコミュニティー「パフェ大学」主宰。パフェに関する著書も多数。


取材・文/池田純子