「舞台の単独主演、ずっと務められるようになりたかったので。二つ返事でした。資料を読んで“これはもう、僕が演じるしかない”と思いました」
と、ニッコリ。川島如恵留が、11月14日に初日を迎える舞台『すべての幸運を手にした男』で単独初主演を飾る。
世界的劇作家の初期作
「昨年させていただいた、(メンバーの)松倉海斗とのW主演舞台(『A BETTER TOMORROW 男たちの挽歌』)はふたりだから乗り越えられたところがいっぱいあったと思います。今回は作品の何かをひとりで背負うことになる。それが楽しみでもあり、若干のプレッシャーでもあり。稽古期間でたくさん自信をつけて、はね返せたらいいなと思っています」
世界的劇作家アーサー・ミラーの初期作を、新訳で日本初演する本作。
アメリカ中西部の小さな町。自動車整備士として平凡に働くデイヴィッド・ビーヴス(川島)は、彼女との結婚を反対されている。兄は野球選手になれそうもないが、父は夢を託し続けている。ため息をつきたくなる日々を過ごしていた中、ある夜を境に人生の障害はどんどん消え、デイヴィッドの人生はキラキラと輝き始める……!
「デイヴィッドにはすごく共感できます。“まるで自分のことを描いているんじゃないか?”と没入してしまうくらい。僕自身、昔から運がないと思っていて。その分、実力でカバーしなきゃと思って生きてきたんですよ」
しかし、Travis Japanのアメリカ留学前くらいから“運が巡ってきているかも”と感じるようになったという。
「時間はかかりましたが、Travis Japanは全世界配信デビューできましたし。芸事に限らず、その機会に恵まれないと何も始まらないから。スタートラインに立ったときにどれだけ準備ができていようとも“用意、スタート”の号砲が鳴らないと進めないじゃないですか。それが鳴るかどうかは運だと思っているので。
そして、昨年12月から半年間くらいお休みしたんですけど、こうして帰ってこられたことも本当に恵まれていると思います。だから僕個人としては、やっぱり運のおかげでここまで来られたなって思っています」
自分に自信がなく、実力は皆無だと思い込んでいるデイヴィッドは、運だけに頼った人生に次第に恐ろしさを感じていく。
「最終的にデイヴィッドが気づく何かに、今の僕は気づけている気がするので、それをデイヴィッドに見せてあげたいと思います。だからこそ、“僕が演じるしかない”と思っています」
31歳を迎える川島如恵留
幸福がテーマになっている本作。川島の幸福論について聞くと、
「幸運も幸福も、ただ待ってるだけじゃ来ないって思うんですよね。それに、自分ひとりでつかめる幸せには限界があるけど、周りに人が増えて一緒にいれば、より大きなものに出会えるだろうし、取りこぼすこともないと思うので。一本釣りしようとするんじゃなくて、みんなで手を広げて網ですくいに行く、みたいな感じ? だから、なるべく多くの人と一緒にいたいなと思います」
そういう考え方をするようになったのは、昔から?
「やっぱり、活動休止を経験したことがすごく大きくて。メンバーのおかげで休ませてもらえたし、戻ってくることができたし。
ひとりで考える時間もたくさんあり、逆にひとりだったからこそつかめたものもあったとは思うんですけど。でも、やっぱり僕がいちばん欲しかったもの、必要なものは、メンバーといられることだと改めて気づけた。そこは大きいですね」
11月22日には31歳を迎える。
「30歳を迎えるまでは“大人の階段を上っていくところをみなさんに見せたい”と思っていたんですが、それをいったんストップさせて。若くいたいというか、逆行していきたいですね。もちろん、年を重ねることで熟成されていくものも大事だと思うんですけど、31歳ではまだ早い。メンバーの最年少(松田元太)は26歳で、最年長が僕。やっぱり並んだときに同い年に見えるぐらい若々しく、楽しくいられる自分でありたい。だから、これからは“ベンジャミン・バトン”というか、早くも折り返していきたいです(笑)」
Travis Japanとしては、12月3日に3rdアルバムをリリースする。
「今、すごく楽しみながら活動できているので。デビュー4年目を迎えるわれわれは今まで以上に楽しく、スピード感を上げて、いろんな人を巻き込んで。みんなで手をつないで、大きな輪にしていきたいと思っています。頑張ります! 楽しみます!」
癒しはなんですか?
忙しい日々の中で癒しを与えてくれるものは、「わが家のニャンズですね。元保護猫で“しらす”と“ひじき”。この子たちが家にいてくれるという安心感は、すごく大きいです。帰宅するのもウキウキするし、夜におやつをあげる時間もすごく喜びを感じますね。スマホの待ち受けもこの子たちなんです」と見せてくれた写真が超キュート そして写真がうまい!! 「本当ですか? うれしい。メンバーのまちゅ(松倉海斗)を筆頭に、しめ(七五三掛龍也)も写真が好きだから“こう撮るといいよ”って教えてくれるんです」
取材・文/池谷百合子
