熾烈な総裁選を勝ち抜き、自民党総裁となった矢先、公明党が連立を離脱。「自民党総裁になったものの総理大臣にはなれないかもしれないかわいそうな女」と囁かれながらも、10月21日、高市早苗氏は晴れて内閣総理大臣に任命された。
詳細すぎる「首相動静」が物議
「まるでドラマのような展開を経て、日本初の女性総理大臣となった高市首相。就任直後から多忙な日々を送っています。25日から26日は就任後はじめての外遊として、ASEAN関連首脳会議が開かれたマレーシアを訪問しました。首脳会議では“自由で開かれたインド太平洋”を推進するといった内容のスピーチを英語で行い、今は亡き安倍晋三元首相ゆずりの外交力を見せつけました」(全国紙政治部記者、以下同)
このマレーシア訪問を巡る各社の報道が今、ネット上で物議を醸しているという。
「新聞や通信社などのメディア各社が“首相動静”として高市首相が『インターコンチネンタル・クアラルンプール』に宿泊していることを報じました。この報道がXで広まり、詳細すぎる報道を問題視する声が上がっているのです」
ネット上では、
《首相の宿泊先をさらすのはダメじゃないの?》
《テロとか、もしものことがあったらどうするの?》
《ここまで詳細に書いていいものなの?》
《これってテロの助長じゃない?》
と、高市氏の身を案ずる声が多数見られた。
「首相動静では高市首相に限らず、かつての首相の予定も詳細に報じられてきました。例えば、今年9月に石破茂元首相が韓国を訪問した際、『ロッテホテル釜山』に宿泊したことが報じられています。その他にも、会食のお店や理髪店の名前など、毎日の動静は事細かに報じられてきました」
しかし、安倍元首相や岸田文雄元首相の襲撃事件以降は、こうした詳細な報道が「安全を害しているのではないか」「本当に必要なのか」という意見が挙がっていたという。
「各社がネット記事等で配信する首相動静は当日の午後10時ごろから深夜にかけて公開されています。つまり、当日滞在しているホテルを報じてしまえば、好ましくない意図を持った人物が現場に向かうこともできてしまうのです。理髪店などでも行きつけの店が明らかになってしまうと待ち伏せされるリスクも考えられます」
詳細すぎる首相動静は今に始まったことではないが、SNS上で瞬く間に情報が拡散されるこの時代において、危険はかつてよりもはるかに高まっている。報道の自由と要人の安全。その線引きをどこに置くべきなのかが、いま改めて問われている――。
