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 全国で熊による被害が相次いでいる。環境省の発表では、2025年度は熊による死者数が31日現在で12人に上り、過去最多の2023年度の6人から2倍となったと伝えられた。

 対策が急がれる中、秋田市は緊急対策の実施を発表した。クマ出没抑制対策の強化として、現場に出動する猟友会員の出動報酬を4,000円から8,000円に増額。また、今年度に限り、熊を捕獲した猟友会員に1頭あたり10,000円の報酬を支給することなどが含まれている。

クマ捕獲「命懸けで1万円」物議

 この対策について秋田市役所の担当者に話を聞いた。

「熊の目撃情報も多くなっており、猟友会員の出動回数も増えています。猟友会のみなさまに状況や報酬について聞き取り調査をしたところ、“今のままだと厳しい”と意見をいただきました。猟友会の負担が増えているため、今回のような出動報酬の増額や、熊の捕獲による報酬を新設しました」

 秋田市では、ツキノワグマによる人身事故が10月だけで7件発生している。『クマダス』(ツキノワグマ等情報マップシステム)では、熊の目撃情報が1796件も投稿されていた(10月30日現在)。増え続ける被害や目撃情報に対し、早急に対策を講じられたようだ。

 今回の捕獲報酬について、SNS上ではさまざまな意見が出ていた。

《命懸けで1万円は安くないか?》

《こういうところにもっと税金を使ってほしい》

《キョン1頭駆除した報酬より出動報酬が少ない》

キョン捕獲で「1頭あたり30,000円」

 駆除報酬の比較に出ていたキョンは、特定外来生物に指定されているシカ科の生物だ。千葉県南部や東京都の伊豆諸島、茨城県などで目撃されている。

 キョンの目撃情報や捕獲に報奨金制度を設けている自治体はいくつかあり、茨城県つくばみらい市では、目撃情報に2,000円、捕獲したら1頭あたり30,000円が支払われるそうだ。東京都では今年9月より報奨金制度を開始した。

 都環境局の担当者に話を聞くと、自宅などの敷地内に箱わなを設置し、捕獲できた場合に1頭につき報奨金8000円を支給する制度とのこと。

東京都のキョン捕獲の報奨金について(環境局の公式サイトより)

 キョンの捕獲状況について尋ねると、

「これまでも東京都でキョンの駆除を行い、年間5,000頭ほど捕獲していました。しかし、市街地に現れるキョンの捕獲が追い付いてない状況です。地域の皆様と一体となって、キョンの捕獲を進めたい思いもあり、今回の制度を開始しました」

 秋田市の熊の駆除報酬は猟友会員へ、東京都のキョンの捕獲は協力した市民へと、対象や条件は異なるが、どちらも人の生活を守るために協力してくれた人へ支払われるものだ。現地の人々や、協力する人たちが納得し、安全な暮らしが送れるような対策が引き続き求められるだろう。