Mrs.GREENAPPLE

 10月25日、ロックバンド『Mrs. GREEN APPLE』が、デビュー10周年を記念したドームツアーを名古屋でスタートさせた。『BABEL no TOH(バベルの塔)』と名付けられた大がかりなライブだったようだが、開場・開演時間が大幅に遅延したと報じられた。いったい何があったのか。

ライブ開始前の会場トイレで、臨月の妊婦が出産したとの情報がSNS上で拡散しました。 その影響なのか、バンテリンドームの開場時間が1時間、開演時間も30分ほど後ろ倒しになったのです。母子ともに救急搬送されたという投稿もあり、物議を醸しています」(スポーツ紙記者)

 この“前代未聞”の出産騒動をめぐって、ネット上にも賛否両論さまざまな意見が投稿された。

《臨月でライブに行くのは、さすがに危険》
《周囲にも迷惑がかかるし、リスクが高いのでは?》

 と、批判的な声が目立つ一方で、

《出産はコントロールできない》
《まずは母子の無事を祈りたい》
《音楽を楽しむという気持ちも尊重すべき》

 といった、女性側に一定の理解を示す意見も。

 そうは言っても、ドーム内のトイレで出産となれば、設備の整った病院と違って、大きなリスクが伴うことは想像に難くない。産婦人科医で『丸の内の森レディースクリニック』院長の宋美玄(ソンミヒョン)氏に、妊婦がライブに行くことの危険性について聞くと、

新生児と母親ともに危険を伴う

2018年に『Mステ』初出演を果たしたMrs.GREENAPPLE(公式インスタグラムより)

人が多くて動きにくい会場へ行くとなると、いざというときにすぐ対応できなくなってしまうので、出産を控えた妊婦がライブへ行くのは推奨できません。もちろん、妊娠中はまったく動いてはいけないということではなく、買いものに行ったり、軽く散歩をしたりするのはむしろ大事です。でも、臨月にライブのような人が多くて混雑した場所へ行くのは別です。陣痛や破水が起きたとき、すぐに病院へ行けないというのが一番の問題なんです」

 ライブ会場などで出産をすることについても、

新生児は生まれた直後に体温が下がりやすいので、すぐ温めてあげないと低体温になる危険がありますし、母親も出血が止まりにくくなったり、子宮の戻りが悪くなったりと、処置が遅れるほどリスクが高まります。そのため、自宅からすぐに病院へ行けないような場所、たとえば遠方の会場だったりアクセスの悪い場所へは行かないほうが安全です」(宋氏)

 結局のところ、ライブに行くかどうかは本人の判断となるが、臨月であれば医師も推奨はできないという。行きたい気持ちを優先させすぎて、多くの人に迷惑をかけてしまうことは避けたいけれど――。