中国発の超人気ネット通販「SHEIN(シーイン)」が、またしても世界的な騒動を巻き起こしている。ファッションの都フランス・パリで6日(現地時間5日)、老舗百貨店に初の実店舗がオープンしたものの、開店前から反対派によるデモが発生する異例の事態にーー。
事の発端は、SHEINのオンラインサイトで「女児のような外見の成人用玩具」(ラブドール)が販売されていたこと。フランス国内では「小児性愛を助長する」との反発が強まり、ついに政府は、国内でのオンライン販売を一時停止する手続きに入ると発表した。
「フランスはこの少女のような成人用のおもちゃが児童ポルノにあたる疑いがあるとしています。また“刃物やメリケンサックなどの違法武器”が同サイトで販売されていることも問題視。そんな最中での実店舗オープン。店の前には多くのデモ隊が押し寄せ、なんとも騒々しい幕開けとなりました」(海外通信社記者)
ラブドール問題が燃え上がる中、店舗の前では小児性愛被害者の団体や市議会議員らが集結し、「小児性愛を止めさせろ!」「デパートは恥だ!」などと激しい抗議の声が上がっていたという。
SHEINは日本でも多くの人が利用する“格安サイト”として、特に若者の間では有名だ。洋服からインテリア、キッチングッズに子どものおもちゃや文房具まで、なんでも揃うだけに利用者は多い。特にハロウィンやクリスマスなど、季節イベント時にはコスプレ衣装含め格安のため“使い捨て”利用するユーザーも。
『ONE PIECE』も『ちいかわ』もパクられた
しかしパリ市民がここまでSHEINの出店に懸念を示すのは、今回のラブドール問題だけではないというのは流通に詳しいジャーナリスト。コンプライアンスや安全面で数多くの問題を抱えてきたことを指摘する。
「日本を代表する人気コミック『ONE PIECE』に登場する“ゴムゴムの実”にそっくりなニセモノ商品を販売したり、人気キャラクターちいかわを“魔改造”したおぞましい類似商品など、これまでに何度も違法の品を販売しています。その度に著作権・商標権侵害疑惑が浮上し、デザイナーやクリエイターからも“盗作だ”と訴えられています」
違法な類似品の発売だけでなく、さらに怖い発がん性物質騒動も記憶に新しい。
「サンダルに帽子、水着に浮き輪、女性用の下着から発がん性物質が検出され、国内外で大きく報道されました。韓国の調査機関によると、サンダルからは韓国基準の229倍の発がん性物質が出たようです。商品の安全性に大きな疑問符が付いただけでなく、安すぎる価格設定の裏にある、劣悪な労働環境や環境負荷といった倫理的な問題が指摘され続けています」
エシカルな消費を重視し、ファッションの都の代名詞であるパリジェンヌたちからは、安さだけを追求するビジネスモデルへの不信感が根強いのだろう。ラブドール問題でオンラインストアを停止すると同時の実店舗オープンの矛盾。店舗にラブドールが陳列してないことを願う。
