老いも若きも「おひとりさま」が増えている。「独身であることへの不安がある」という調査結果もあるが、同時に「他人に合わせるより、自分を大切にしたい」と、肯定的にひとりであることを選ぶ人も多い。「あえて」結婚せず、充実したライフスタイルを送っている小野真弓さんに「これまで」「これから」をインタビュー。
「自分が結婚に向いていないのをすごく感じていて」
「もし結婚しても、失敗しそうだなとしか思えなくて。万が一、私と結婚したいという人がいたら、全力で止めたい。自分が結婚に向いていないのをすごく感じていて、絶対にすぐ離婚すると思う。妙な自信があります(笑)」
そう話すのは、女優でタレントの小野真弓(44)。消費者金融アコムのCMで一躍注目を集めたのが21歳のとき。当時は“お嫁さんにしたいタレント、ナンバーワン”といわれたが。
「選んでいただけるのはうれしいけど素直に喜んで良いのか……。でもそこで“私なんかやめたほうがいいですよ!”って言うと、それすら謙遜していると受け止められて、いい嫁になりそうなポイントになっちゃって。なんだかごめんなさいって感じでした」
と苦笑い。世間のイメージとのギャップを振り返る。とはいえ男性からのお誘いは少なくなかったはず。結婚を考えるようなことはなかったのだろうか。
「パートナーがいるときは一緒に暮らしたこともありました。でもそれっぽい話になると、“うーん、どうかな、そんなに急がなくてもいいんじゃない?”なんて、かわいげのないことを言っては引き延ばしていましたね」
彼女にとって、愛情の対象となるのは恋人よりもまず犬猫たち。それも結婚を遠ざけてきた大きな要因だという。
「動物って飼い主がいないと生きていけないけれど、男性は1人でも生きていけますよね。極論、“崖から落ちそうです、どっちを助けますか”って言われたら動物で、男性は自力で這い上がってきなよってなる(笑)。そういうのって、やっぱり一緒にいたら相手に伝わるじゃないですか」
6年前、東京都心から千葉・木更津へ転居。それも愛犬の存在がきっかけだった。
「よく犬と自然が豊かな場所へ出かけていて、こういうところでのんびり暮らせたらなって思っていて。神奈川の逗子辺りも考えたけど、結局ピンときたのが木更津でした」
ファミリータイプの庭付き一戸建てを購入。東京で住んでいた家の7〜8倍はあるという広さで、選択的おひとりさま生活を満喫中だ。
「1人にしてはやっぱり広いかな。でも寂しくはないですね。犬猫がたくさんいるので、寂しいと感じる暇はないというか(笑)。だから恋人が欲しいとは思わないし、結婚の意味を感じられなくて」
最低限自分と抱えている動物たちだけ守ればいい
木更津に転居後、トリマーの資格を取得。木更津から東京の仕事場へ通い、その合間に横浜にあるトリマーの専門学校で学んでいる。一都二県を駆け回り、1年で走行距離は4万kmを超えた。
「動物の保護活動に興味があって、何かできないかとずっと思っていたんです。トリマーの資格があれば、ボランティアにも役立つから」
保護犬、保護猫活動に従事する。さらに昨年から千葉県動物愛護推進員を務め、保護動物にまつわるボランティアや、イベント出演も増えた。芸能活動とボランティア活動の両軸で、多忙な日々を送る。
「動物のほうはどちらかというと裏方。動きやすい汚れてもいい格好で、お化粧もしないで走り回っています。お仕事はオンで、ヒラヒラした服を着て化粧をするとスイッチが入る感じ(笑)。どちらも本当にやりたいことなので、楽しいですね。
仕事ばかりしていた頃って何が幸せかわからなくなっちゃったりして、しんどいときもあったけど、今は自分の意志でできている。仕事一本だったときより、感謝できている気がします」
現在は犬2匹と猫4匹、そのほか保護動物たちと同居中。保護動物は都度変動し、常時10匹以上の犬猫を抱えている。
「好き勝手に保護活動ができるのもやっぱり1人だから。自分のお金だから好きに使えるし。思い立って木更津に来たのも、1人だからできたこと。フットワーク軽くいられるのが1人の良いところかな」
1人の良さがある反面、頼れるのは自分だけ。「絶えず危機感はあります」と話す。
「会社員とは違って、私の場合お仕事をしないとお給料がもらえない。すごく不安定ではあって。もし生活に困ったら、家を売って、激安のボロ屋に住んで、当面しのいでいる間に仕事を見つけて─。なんて、たまに最悪のパターンのイメトレをします(笑)。まぁでも本当にピンチが来たら、最低限自分と抱えている動物たちだけ守ればいい。そういう意味でも、やっぱり1人は気楽なんですよね」
取材・文/小野寺悦子
