木村拓哉

 11月13日は、日本を代表するスター・木村拓哉の53歳の誕生日。11月21日公開予定の映画『TOKYOタクシー』では、ごく普通のタクシー運転手を演じることで話題に。新たな代表作になりそうな予感!

 というわけで、過去のキムタク作品を総ざらいし「一番ハマっていたと思う役」をアンケートで調査。多数の出演作の中から、読者が最もハマり役だと思った作品は!?

声優のポテンシャルにも票が

 まずは10位から。『BG~身辺警護人』('18年)の島崎章がランクイン! 武器を持たない民間ボディガード役を熱演。アンケートでは「少し間の抜けたところもあり、本人が持つシャープなイメージから逸脱しているキャラクターが面白かった」(北海道・69歳・男性)など高評価。

「時計の時刻を合わせるシーンがカッコよかったですよね」と言うのは、漫画家であり、毎クールすべての作品をチェックする“ドラマウォッチャー”でもある、かなつ久美さん。「斎藤工さんとのW主演で、目の保養になるドラマでした」(かなつさん、以下同)

 9位は『マスカレード・ホテル』('19年)の新田浩介。殺人事件を解決すべく、ホテルマンに扮する刑事という役どころ。「ホテルマンの演技がとてもうまかった。長澤まさみとのやりとりも面白くて、印象に残っている」(富山県・65歳・男性)、「アクの強い性格の主人公にハマっていた」(兵庫県・57歳・女性)と、役柄がマッチしていたという声が多く寄せられた。

「映画は文句なしに面白かったです。ただ、ホテルマンの髪形は短すぎた気がします。私は全盛期のロン毛が好きなので、あのイメチェンはちょっとガッカリでした」

 8位は『ハウルの動く城』('04年)の ハウル。スタジオジブリがキムタクに声優オファーしたことが当時大きな話題に。「声優としても魅力的だと感じた」(和歌山県・53歳・女性)、「ハウルの二面性をうまく演じていた」(長崎県・43歳・女性)と、声優としてのポテンシャルを推すコメントが目立った。

「言われないと気づかないくらい自然でした。作品が大ヒットしたのはキムタク効果もかなりあったと思います」

キムタク効果で就職希望者が急増

 6位は、若手の旅客機パイロット・新海元を演じた『GOOD LUCK!!』('03年)。「パイロット姿がカッコよく、まっすぐでひたむきなところが本人の性格とリンクしていた」(岐阜県・58歳・男性)、「制服姿がよく似合っていた」(広島県・48歳・男性)など、パイロット姿への評価が圧倒的だった。

「制服姿なんて、カッコよすぎてズルい!と言いたいですね(笑)。そのインパクトが強すぎてストーリーの印象が薄いほどです……」

 ちなみに、このドラマをきっかけに航空業界への就職希望者が激増。さらに放送期間中、ANAの株価が急上昇するというキムタクバブルが起きたことも印象深い。

 同じく6位はトップ10の中で最も古い作品『あすなろ白書』('93年)の取手治。脇役ながら、視聴者に強烈な印象を残したのは、やっぱりあの名シーン。「『俺じゃダメか?』と言いながらバックハグするシーンが印象的」(愛知県・52歳・女性)。かなつさんも大きくうなずく。

「私の中では、取手くんが圧倒的1位です。“あすなろ抱き”は、ドラマ史上に残る名場面ですよ。最近Netflixで配信されたドラマ『グラスハート』にこれをオマージュしたシーンが出てきました。改めて伝説だと感じましたね」

2019年の『グランメゾン東京』(TBS系)ではシェフになった木村拓哉

 5位は『グランメゾン東京』('19年)の尾花夏樹。ミシュラン三つ星を目指す、カリスマシェフだ。「料理への強いこだわりや、言葉足らずで不器用な姿は、キムタクのイメージに合っていた」(群馬県・57歳・男性)、「料理通の木村さんにはピッタリのハマり役」(福岡県・70歳・男性)など、食を探求する姿がリアルな木村拓哉像と重なって見えたという意見。

「食に対して一切妥協しない尾花の姿は、みんなの思うキムタク像とマッチしていましたよね。ただ、ストーリーよりも共演の冨永愛さんのスタイルのよさが圧倒的すぎて、そっちに目がいってしまいました」

 4位は『ビューティフルライフ』('00年)の沖島柊二。最高視聴率41・3%(関東地区)を叩き出した大ヒットドラマがここで登場。かなつさんも大絶賛。「ストーリーも登場人物たちのセリフもすごくよくて、テレビ史に残る名作です。このドラマをきっかけにカリスマ美容師ブームが起きるなど、社会的な影響も大きかったですよね」

 コメントでは、「カリスマ美容師という役もピッタリだったし、常盤貴子さんとの恋愛模様もキュンキュンした」(茨城県・48歳・女性)、「見た目からして美容師っぽいので、リアル感があった」(広島県・58歳・男性)などの意見が集まった。

1位は「型破り」なあのキャラ

 そしていよいよトップ3! 第3位は『教場』('20年)の風間公親。警察学校の鬼教官を演じるにあたり、初の白髪頭に挑戦。インパクトのあるビジュアルが印象的なのかと思いきや、「冷静沈着で厳しい指導官という役柄が新鮮だった」(愛知県・61歳・女性)、「ストイックなイメージがある木村さんと役柄が合っていた。カッコいい男から、渋い魅力のある男へと、イメージチェンジした作品」(埼玉県・61歳・男性)、「演技力で勝負した作品だと思う」(東京都・68歳・男性)など、演技を評価するコメントが多かった。

「白髪のキムタクに興味を持って見てみたら、意外とストーリーも面白かったという人が多そうです。それにしても全盛期ではない作品が第3位に入るのは意外。年をとっても白髪でも、やっぱりキムタクはカッコいいという証明ですね」

 第2位に輝いたのは『ロングバケーション』('96年)の瀬名秀俊。ご存じ、「月曜日の夜は街から人が消える」と言わしめたドラマで、シャイなピアニストを熱演。「ドラマの部屋や雰囲気がおしゃれで当時みんな見ていた印象がある。木村拓哉の名を世に知らしめた作品」(岡山県・48歳・女性)、「繊細な感じの役がよかった」(福岡県・59歳・女性)、「不器用なピアニストの役が20代のキムタクにハマっていた」(福岡県・51歳・女性)など、若かりし日のキムタク人気はやはり絶大。

「当時の流行や憧れを詰め込んだような作品でしたね。キムタクも20代で文句なしにカッコいい。私はあんまりハマらなかったけど、キムタクの代表作として納得の2位です」

 そして栄えある第1位は、『HERO』('01年)の久利生公平。破天荒な検事を演じドラマは大ヒット。特別編、劇場版も公開され、いまだに根強い人気を誇る。

「脚本も演出もよかったですよね。いい意味でキムタクっぽさが出ている演技も、見ていて楽しかったです」

木村拓哉の「ハマり役」ランキング ※インターネットアンケートサイト「Freeasy」にて9月中旬、全国の40歳以上70歳以下の男女500人を対象に選択方式で実施

 コメントでは、

「現場主義に徹する検事という新たな切り口の面白いストーリーだった」(大阪府・56歳・男性)、 「検事という堅い職業でありながら、型破りなスタイルで物事の本質を追求する姿に感動した」(神奈川県・70歳・男性)、「木村拓哉さんの持つ軽やかさと芯の強さが、型破りだけど正義感にあふれる検事・久利生公平にぴったり!」(長野県・70歳・男性)など、キャラクター、作品共に魅力的だったという声であふれた。

『TOKYOタクシー』では、どんなタクシー運転手を演じてくれるのか? キムタク伝説はまだまだ終わりそうにない。

かなつ久美 漫画家。代表作はドラマにもなり多くの女性に支持された『OLヴィジュアル系』。 自他ともに認める大の犬好きであり、近年は保護犬活動に尽力。著書に『もしボクにしっぽがなかったら』(みなみ出版)など。最新作は『アラフィフヴィジュアル系』(電子書籍)。

取材・文/中村未来