「子どもは社会の宝」だけど、日本の価値観とはあまりにも違うようで……※写真はイメージです

 日本社会の現状に、「遅れてる! 海外ではありえない!」なんて目くじらを立てている人もいますが……。いえいえ、他の国の皆さんも基本は一緒! そんな、「衝撃」「笑える」「トホホ」がキーワードの世界の下世話なニュースを、Xで圧倒的な人気を誇る「May_Roma」(めいろま)こと谷本真由美さんに紹介していただきます。欧州の児童虐待の基準が、日本と桁違いに厳しい“とんでもない”理由とは……。

表現には寛容でも未成年となると「話は別」

 日本サッカー協会の技術委員長だった男性が、フランスで児童ポルノ画像の所持および閲覧の罪で逮捕・有罪判決を受け、フランスへの入国を10年間禁止される事件が起きました。男性は飛行機内で、タブレット端末を使って幼女のものとされる画像を閲覧しており、これを客室乗務員が目撃し通報、到着後に現地警察が逮捕したという具合です。

 法廷で男性は、「AIが生成した創作物で、アート目的で見ていた」といった旨を説明したものの、裁判所は「AI生成であっても児童ポルノに該当し違法」と指摘。結果、15歳未満の児童に関わるポルノ画像の輸入・所持・記録の罪で、執行猶予付き懲役18か月と罰金5000ユーロ(約85万円)を言い渡され、フランスへの入国および未成年に関わる業務を10年間禁止し、性犯罪者名簿に登録されてしまいました。

 このニュースを見て、日本人の皆さんは「厳しすぎない?」と驚いたかもしれません。しかし、ヨーロッパでは一般的なんですね。一方で、全裸でお見合いをするイギリス発の番組があるなど、表現の自由に関しては寛容なのですが、それが未成年となると「話は別」。

 こうした背景には、加虐性欲者や小児性愛者など、子どもに対する虐待の実態が日本よりもはるかに凄惨であり、その規模が桁違いという根深い問題があります。

星一徹もアウト!?

 ドイツを例に挙げると、ドイツ連邦内務省と連邦刑事庁の発表によれば、2024年には1万6000件を超える児童性的虐待事件が当局に報告されているほどです。まじめというイメージがあるドイツでさえ、この数字ですから、欧州全体の児童性的虐待は私たちの想像をはるかに超えるということ。

 児童虐待を助長したり、喚起したりするような行為や表現は厳しく処罰されるため、たとえそれがAIであろうがマンガ(アニメ)であろうがNGというわけです。マンガの中で、大人が子どもを殴るような表現はできませんから、極端なことを言えば、マンガ『巨人の星』の星一徹は、ヨーロッパでは児童虐待事件の加害者になってしまうのです。

「子どもは社会の宝」だけど、日本の価値観とはあまりにも違うようで……※写真はイメージです

 もちろん、今の日本でもそうした旧時代的な価値観を押しつけるような表現はよろしくないでしょう。ですが、「少女たちを集めて半裸のような格好で踊らせる」という設定や、「貧しい環境を描くために子どもに酷なことをさせる」といった表現も、ヨーロッパではアウトになる可能性があるのです。

 ヨーロッパには、こうした点を把握したうえで渡航することをおすすめします。日本の電車の中で美少女アニメを見るような感覚は、日本の保安検査所に捨ててきてください。

谷本真由美 たにもと・まゆみ 1975年、神奈川県生まれ。著述家。元国連職員。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。X上では、「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いポストで人気を博す。著書に『世界のニュースを日本人は何も知らない』シリーズ(ワニブックス【PLUS】新書)など著書多数。