(左から)倉須洸と石津我聞

 11月11日より配信がスタートしたショートドラマ『イケないマネジメント術 童貞スタッフの風俗日記』(BUMP)。風俗業界を舞台に、あらゆるビジネスに応用可能な“人を動かす極意”を説いた話題の著書『イケないマネジメント術』(兎我野 成著、垣内出版)をドラマ化した挑戦的な作品だ。

 ひょんなことから風俗店『イケてる女教師』で働くことになった“童貞スタッフ”根岸誠が、周囲に翻弄されながらも“イケないマネジメント術”を使って成長していく姿や恋が描かれる。

 今回は、主人公の誠を演じる倉須洸とその親友・高井を演じる石津我聞に、作品や演技にかける熱い思いを聞いた。

「風俗店の仕事」を知って

――風俗店がテーマということで、なかなか馴染みのないお話かと思います。初めて台本を読んだときの感想を教えてください。

石津 最初はまったくどんな話なのか想像できませんでした。ある程度、脚本を読み進めていくと、「こういう業務も風俗店の仕事なんだな」というのが分かって、とても勉強になりました。風俗店の裏側だけではなく、人間関係や周りのキャラクターたちが成長していく姿もたくさん描かれているので、特にそこが感動しましたね。

倉須 笑えるポイントや緊張感のあるシーンもあって面白かったです。ただ、誠を演じるとなると、どうアプローチをすればいいのか分からなくて。馴染みのない話だったので「どうしよう」という気持ちが一番強かったです。僕なりに色々調べてみたりはしたのですが、うまくいってるのか心配ではあります。ただ、誠の性格と自分の性格が似ている部分も多かったので、その点は演じやすかったです。

――具体的にはどのようなところが似ていると感じましたか?

倉須 自覚はないのですが、普段から不器用と言われます。誠も可愛げのある不器用さがあったほうがいいのかなと思って、あまり作りすぎずに挑みました。

石津 僕の役は、そんな誠が変わるきっかけになった人物。常にノリで生きていて、友達グループの中では“お山の大将”ポジションです。実は僕も普段、少しそういうところがあって(笑)。自分と似ているなと思いながら演じました。

アドリブで「反抗シーン」

――おふたりは今回、親友という役どころですよね。実際に演じてみていかがでしたか?

石津 実は、僕と洸くんはもともと知り合いなんです。お芝居の現場は、毎回キャストやスタッフが変わるので、関係値もゼロから作らなきゃいけない。今回は、そういう過程がない状態で始まったので、めちゃくちゃやりやすかったです。早い段階から親友役として話すことができたのかなと思っていますが、どうでしょうか?

倉須 本当におっしゃる通り! ワークショップが同じで、何度か一緒にお芝居をしたことも。なので、お互いの性格やお芝居のタイプも知っている状態で臨めました。じゃれあったり小突かれたりするシーンも気を遣わずにできたので、そういった意味ではやっぱり我聞さんでよかったなと。

石津 ただ、年齢差もあって「先輩と後輩に見えちゃう」という課題も最初はありました。もともと知り合い同士でなければ、それを修正するのにもっと時間がかかっただろうなと思います。

倉須 確かにありましたね。

(左から)倉須洸と石津我聞

石津 洸くんのほうからも提案があったりして、わりと早い段階で解消できたんじゃないかな。

倉須 提案!? 僕なにか言いましたっけ?

石津 「アドリブでちょっと反抗してみる!」みたいなこと言ってなかった?

倉須 そうだ、言いました! 例えば、小突かれるシーンも、最初はおとなしく受けるだけだったのですが、親友だったら反撃するよなと思って。

石津 お互い気を遣わなかったからこそできたのかなと思います。

倉須 そうですね。お芝居に対しても知り合い同士だったからこそ、気兼ねなくお互いに意見を言い合えました。そのぶん、作品をよりよくすることができたと思います。

「主演が作品の色を決めることができる」

――共演を経て、お互いの印象に変化はありましたか?

石津 洸くんの持つ“愛され力”や混じり気のない“陽キャ感”をすごく感じました。現場は基本的にいつも和やかでしたが、どうしても慌ただしくなることもあるじゃないですか? でも、洸くんがいるとパーッと明るくなる感じがして。だから、キャスト陣も仲良くなるのが早かったです。

倉須 え~うれしい! でも、僕それちょっと意識したんですよね。

石津 そうなんだ!?

倉須 やっぱり一応主演じゃないですか? だから、僕のテンションが落ちたら、全体の雰囲気も落ちちゃうんじゃないかと思って。

石津 素晴らしい!

根岸誠役の倉須洸

倉須「主演が作品の色を決めることができる」とマネージャーさんから言われて。一番諦めちゃいけないのは僕なんだと。だから、上手くいかないことがあっても、谷(健二)監督やキャスト陣、スタッフのみなさんと逐一コミュニケーションをとって「現場をとりあえず明るくしよう」と心がけていました。お芝居以外でも思い出が作れたらいいなと。

石津 もちろん意識していた部分もあるとは思いますが、彼は本当に誰からも嫌われない人。見た目はシュッとしているので、黙っていると怖がられる可能性は十二分にありますが、しゃべるとよくも悪くも少し抜けているというか(笑)。でも、ちゃんと熱量があるから誰からも愛されると思います。

倉須 気持ちいい~! 取材っていいですね!

石津 別に褒めてないですよ。事実ですから(笑)。

倉須 我聞さんは、普段から明るい役を演じることがすごく多かったじゃないですか?

石津 たしかに多いかも。

倉須 明るさにも度合いがあると思うのですが、谷監督が高井に求めていたものは、突出して破天荒なタイプ。僕は、今までそんな我聞さんを見たことがなくて。それでも、監督から言われてすぐに方向性を変えた高井の姿にまったく違和感がなかったんです。むしろ馴染んでいたくらい。それが新しい一面だなと。これいつか伝えたいなと思っていました。

石津 取材って気持ちいいですね!

ほしいのは「色気」!?

――そんな石津さんは、過去にも舞台『ハイスクール・ハイ・ライフ』で谷監督の作品に出演されています。あらためて、谷監督から学んだことはありますか?

石津 この作品で、自分の強みを見つけられた気がします。僕は、俳優ってイス取りゲームだと思っているんです。自分のイスをずっと探していたときに、振り切ってふざけた役を演じたことによって、「こっちの路線もあるわ」と気づきました。谷監督が僕の可能性を引き出してくれたことで、まだ空いているかもしれない自分のイスを見つけられました。今後も、もしチャンスがあればこういう役柄にもチャレンジしてみたいです。

高井役の石津我聞

――倉須さんは昨年にデビューされて、1年がたちましたね。

倉須 1年たって、自分がこの世界にいる意味に気づくことができました。1年前までは「デビューしてとりあえず有名になるぞ」とずっと思っていたんです。でも、今年に入ってからは、それよりも「誰か1人でも僕の演技を見ていい方向に変わってくれたらいいな」と思うようになりました。それが自分の芝居をする意味だと思い始めてからは、お芝居が楽しくなりましたし、自然とオーディションも通るようになってきました。今は、いろいろなことに挑戦して、もっと人の心を動かしたいです!

石津 めっちゃいい! やっぱりマインドが変わって、芝居にも変化が現れたのかな?

倉須 分かりませんが、なぜか著しく結果が変わりました。今、大学4年生で、3年生くらいから周りは就職活動をはじめて。デビューしたてのときは、「将来やっていけるのかな?」と不安がありました。でも、足を踏み入れた以上、そんなことを考えても仕方がない。誰かを感動させられるだけで、僕がいる意味になると思ったんです。それからは不安も感じなくなりました。

――石津さんは倉須さんにとって俳優の先輩にあたります。今の倉須さんに伝えたいことはありますか?

石津 彼は疑問に思ったことを疑問のままにして帰れない人。そういう素直な気持ちがある人は成長し続けると思います。周りの俳優さんを見ていても、常に自分に嘘をつかないでいる人のほうが、やっぱりいいお芝居をするんですよね。だから、洸くんもこのまま、変に大人になってほしくないなと思いました。

倉須 うれしいですね。僕的にはもう少し色気がほしいんですけど……。

石津 色気は……まあ……。

倉須 しゃべらなければいいかな?

石津 無理じゃん(笑)。

倉須 無理か(笑)。

共通の趣味は「ひとりカラオケ」

――最後に“イケないマネジメント術”にちなんで、それぞれのセルフマネジメント術を教えてください。

倉須 たくさんありますが、まずサウナです。オーディション前もサウナに行って、自問自答をします。“ととのった”ときに新しい自分に出会える気がして(笑)。あとは、カラオケですね。歌うことがすごく好きで、ひとりカラオケにも行きます。大声を出すとスッキリするじゃないですか? よく歌うのは川崎鷹也さんと星野源さんです。

石津 僕も、オーディションの前にはひとりカラオケによく行きます。失恋ソングなど、自分の琴線に触れるような歌を歌ってからオーディションに行くのは、けっこうやりますね。ちなみに川崎鷹也さんは僕も歌います(笑)。

倉須 分かる! 歌ってる自分に酔うんですよね。

石津 意味合いが違うかも(笑)。

倉須 違う? あれれ?

石津 あと僕、筋トレが好きで。全てのメニューと回数を毎回記録しています。次に同じトレーニングをするときに、前回より1キロでも重かったり、1回でも多くできたりすれば、以前の自分に勝てたということじゃないですか?

倉須 たしかに!

共演前から知り合いだったという倉須洸と石津我聞

石津 だから、筋トレをするたびに「前回の自分に勝てるのか?ここでやめたら負けだぞ」とか考えながら(笑)。

倉須 その考え方いいですね。

石津 常に自分に勝ちたいんです。その後は、せっかく勝ったから自分へのご褒美じゃなく、筋肉にご褒美をあげるため、食事をとる。健康的になりますし、人生が華やかになりますよ。

倉須 でも、筋トレすると免疫力が下がるとか言いません?

石津 やりすぎるとね。適度に筋トレするのが、僕の中ではセルフマネジメントになっています。けっこうオススメです。

倉須 僕もジムは通っていたのですが…。もう3か月行ってないです。

石津 ちょっとダメですね~。

倉須 「昨日の自分に勝つ」というのを聞いて、次に会うときはちょっとパンプアップしているかもしれない。

石津 じゃあ今度一緒に行こうね。

倉須 ……はい、行きましょう!

【作品情報】
『イケないマネジメント術 童貞スタッフの風俗日記』
ショートドラマアプリ「BUMP」
2025年11月11日(火)19:00より配信開始
約3分×20話

アプリDL:https://emolebump.go.link/djCyg
作品URL:https://emolebump.go.link/eqxmo

(C)2025『イケないマネジメント術 童貞スタッフの風俗日記』製作委員会

【クレジット】
キャスト:倉須洸 矢野ななか 大岩世奈 石津我聞 岩崎武瑠 / 森脇なな 平岡明純 鈴木綺良々 北代高士
プロデューサー:佐伯寛之 脚本:原野吉弘 撮影:吉田新時 照明:一色太雅
録音:古茂田耕吉 美術:野中茂樹 スタイリスト:TAKURO
ヘアメイク:仙波夏海 村澤柚香 小夏 助監督:佃直樹 制作:大川祥吾 土持幸嗣
スチール:YURIE PEPE
主題歌:「ザリガニ -脱皮-」Creffy 作詞:はま 作曲・編曲:Creffy
音楽:諒孟(irienchy) Lumel(CROWN HEAD) 整音&ミキサー:永井秀明
宣伝:橋本宏美 宣伝デザイン:丸山雄一郎(SPICE DESIGN)
撮影協力:しろくま鍼灸整骨 整体院 上石神井院 博多満月 市ヶ谷店
特別協力:望月印刷 スタジオエビス 協賛:宇宙歯科クリニック
制作プロダクション:セブンフィルム 監督:谷健二