田久保眞紀伊東市長(共同通信社)

「『市長こうするべきです』と、ハッキリと物の言える市議会議員。そういった議員を選んでいただきたい。片桐君なら、それができる」

 伊東市の田久保真紀前市長(55)が議会を解散したことで、行われた市議会議員選挙。上記のような前市長の応援を受けて当選した“片桐君”こと、片桐基至(かたぎり もとゆき=45)市議にも学歴詐称疑惑が浮上し、両者に対する市民の不信感は決定的なものになりつつある状態だ。

田久保前市長を支持の市議も学歴詐称疑惑

 波紋を呼んだのが片桐市議のプロフィールに書かれた「高校卒業後、航空自衛隊入隊。F-15航空機整備員、パイロット(総飛行時間230時間)」という経歴。

「片桐市議は元航空自衛官で“パイロット”の肩書きを引っ提げて市議選を戦ってきました。しかしパイロットになる前にコースアウトし、パイロットにはなれなかったと自身のSNSで説明したんです。これに“学歴詐称ではないか”との声が上がり騒動になりました」(地方新聞政治部記者)

学歴詐称疑惑について謝罪をする伊東市の片桐基至市議(本人のインスタグラムより)

 市議は「選挙時に問題があるものか法律家に確認したところ、飛行していたのは事実であるので問題ないとのことでした」と説明し、「言葉が足りず誤解を招いてしまい、深くお詫びいたします」と謝罪した。しかしこれには「言い訳が苦しい」「さすが田久保イズムを継承しているだけある」などの皮肉を言われる事態に。

 疑惑浮上後すぐにプロフィールを訂正し、説明責任を果たそうと動いた点はいつまでも卒業証書を提示しなかった田久保前市長とは異なる。しかし、前市長を支えてきた人物が同様の“ごまかし”と捉えられかねない行為をしていた事実は、二人への厳しい目をさらに強める結果になってしまった。

田久保前市長の能天気投稿

 こうした騒動の中、田久保前市長が自身のインスタグラムで片桐市議との写真とともに、

「片桐議員も一緒に笑顔でFight 何かとマスコミに叩かれてお互い大変ですが私たちはいつも前を向いて笑顔で、みんなで、どんな困難も乗り越えていきます」

 と絵文字を交えて投稿。

学歴詐称疑惑の出た片桐基至市議との“仲良し”ショットを公開した田久保真紀前伊東市長(本人のインスタグラムより)

 

 この開き直りとも取れる内容に、伊東市民のみならず多くの人たちから呆れる声が上がり、さらなる批判につながっている。

まるで自分たちがメディアに叩かれている“被害者”のような言い方に違和感を覚えた人が多いのだと思います。民主主義の根幹に関わる問題であり、履歴書は“少しぐらいなら盛ってもいいのね”と誤解する若者すら出てきています。田久保さんは自身がしてきたこと、市長という立場にも関わらず市民に対し説明責任を果たせなかったことをどう思っているのでしょうか。『卒業証書19.2秒』という言葉が流行語にノミネートされていますが、学歴詐称は単なるゴシップでもエンタメでもなく、政治的な問題だと思うのですが……。いずれにしても能天気な投稿に開いた口が塞がりません」(同前)

 政治家にとって最も重要な資質である「誠実さ」と「透明性」は、どこにあるのだろうか。