GACKTと小泉進次郎

「額面を見てもっと上げても良くないか?」

 11日、ミュージシャン・GACKTが自身のXで自衛官の給与について疑問を投げかけた投稿が、Xを中心に反響を呼んでいる。小泉進次郎防衛相が「防衛力の基盤は人、自衛官です。待遇改善を進めます」という投稿を引用する形で、GACKTは率直な思いを綴った。

小泉進次郎防衛相の引用したGACKT

GACKT

「“自衛官の給与アップ”というニュースの内容を見たのだが…、ちょっと待て」と続けて、「高卒2士で月23万9500円。手取りにすれば20万円前後。24時間拘束、訓練、災害派遣、有事対応。命を懸ける現場の対価が、これは安くないか?」と私見を述べ、最後には「国防の重みが増している昨今、正直もっと処遇を上げてもいいんじゃないか?命を懸ける値段がこれでいいのだろうか。オマエらはどう思う?」と問題提起。

 この投げかけには多くのユーザーが反応し、「同意です。命を懸ける仕事として安すぎる!」「駐屯地内に住む隊員は家賃や食費がかからないので妥当だとは思います」など賛同や妥当との声が相次いだ。

「2020年〜2022年の厚生労働省が出すデータによると、高卒初任給で17万〜18万円を推移しています。そう考えると、月23万9500円は全国平均から見れば高いです」

 と語るのは社会部記者。

「確かに月給だけ見ると全国平均は高いですし、駐屯地内に住む自衛隊員は家賃や食費などの衣食住の負担はほとんどないでしょう。しかし、GACKTさんの言うように自衛隊には24時間態勢での勤務、厳しい上下関係などの制約や有事の際の出動など国防の重みを抱えなければいけません。そこを抜きにして“妥当”と位置付けるのは難しいでしょう」

現役自衛官から切実な願い

 反応の中には、現役や元自衛官と名乗るユーザーのコメントも散見され「中堅層は、厳しい訓練や理不尽な環境、パワハラやモラハラに耐えながら、何も言わずに使命感で頑張ってきた世代。自衛官だけでなく、国を支えてきた“現場の世代”に、しっかりと光を当ててほしい」と切実な願いが述べられている。

 ここで国民にとって気になるのは防衛費増税だろう。

 政府は2022年末に防衛力強化のため、2023年度から2027年度までの5年間で防衛費総額を約43兆円とする方針を決定し、その財源として法人税、所得税、たばこ税の3税で2027年度までに1兆円強を賄う増税策を打ち出した。しかし、増税への国民の反発と選挙への影響を考慮した結果からか、増税の議論は棚上げされ続けている。

 こうしたなか、防衛省職員給与法改正案の法改正が実現すれば、給与は今年4月1日にさかのぼって支給されるそうだ。

 国防を担う自衛官の待遇のためなら「防衛増税は許容する」といった声も多いが、予算の配分を見直すなど防衛増税の是非を含めた国民的な議論が、今まさに求められている─。